【EDH】ネコと和解せよ
先日の第5期神決定戦では、ぶりんさんの構築を元に、《ディスプレイサーの仔猫》のコンボを搭載したトラシオス&テヴェシュを使っていました。
コンボがあること自体は認知されているのですが、意外と実際の手順については余り詳細が普及していないようで、これを機に解説してみたいと思います。
本記事ではデッキ内に存在するコンボルートと、今まで使って得られた知見について触れていきます。
コンボについて
初級編 仔猫+永遠の証人
《ディスプレイサーの仔猫》と《永遠の証人》、2枚以上のマナが増える呪文がある状態で開始できます。
マナが増える呪文Aを唱える
《ディスプレイサーの仔猫》のブリンクが誘発し、《永遠の証人》を対象にとり、解決する
マナが増える呪文Bを《永遠の証人》のETBで回収する
マナが増える呪文Aを解決し、墓地へ送る(AFの場合はマナを出す)
マナが増える呪文Bを唱えることでループになり、無限マナになる
マナがあれば統率者のトラシオスの起動で、全てのカードを引けるので、任意の手段で勝利できます。
中級編 仔猫+粗石の魔導士
こちらは以前採用していたルートで、直近では抜いています。完全に無限に入れるルートもありますが、コンボ以外の不要牌が増えるため、無限は排して不確定なチェインで手札を稼ぐ用途で利用していました。
詳細は省きますが、《師範の占い独楽》と《粗石の魔道士》からサーチできるマナファクトを交互に唱えることで、サーチ先が尽きるまで《師範の占い独楽》でドローすることが可能です。
中~上級編 仔猫+願い爪のタリスマン
《願い爪のタリスマン》の起動後、能力の解決前にインスタントタイミングで呪文を唱えることで、タリスマンを相手に渡すことなく再利用ができてしまいます。
後述のルートと比較すると、起動とブリンク用の呪文にマナが必要となってしまいますが、何らかの勝ち筋に繋げることができます。
(《Demonic Consultation》を先に唱えて、後から起動するタリスマンで《タッサの信託者》を探す、儀式連打で《むかつき》など。ループも可)
上級編 仔猫+呪文探求者
仔猫が生まれた当初、こちらのadicoさんのtweetが少し話題になりました。
現在では研究が進み、冒頭で触れたぶりんさん、及び私が使用しているリストに含んでいる汎用的なカードを利用した手順を以下で解説します。
登場人物が多い・・!
一連の流れが複雑過ぎるので、ループ部分,コンボの始動と分けて解説します。実戦ではすべてのパーツがデッキ内に残っているケースは稀ですが、《忍耐》の想起を利用して《忍耐》も含めて自分の墓地を修復することで、概ねループを成立させることが可能です。
ところで最近、大事な試合でパーツを再利用不可にして困った人がいたらしいですよ。かわいいね。
《呪文探求者》ループについて
ポイントは《呪文探求者》と《忍耐》をブリンクし、必要なカードをライブラリーに戻しつつサーチのループを発生させます。
1ループで唱えるカードは以下の通りです。
《悪魔の教示者》《水蓮の花びら》《輪作》×2《有毒の蘇生》《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》マナ総量が(1)(B)以下になる任意の呪文×2(後述)
必要なマナの総量は (G)×3、(B)×4、(3)の合計10マナが必要です。
上記の呪文の解決と、《輪作》によってアンタップインする土地のマナの合計は
儀式の(B)×6
《ガイアの揺籃の地》の(G)×3
(《呪文探求者》《ディスプレイサーの仔猫》《忍耐》を想定。始動からここまで持っていきます。)土地、《水蓮の花びら》任意のマナ×2
の合計11マナとなり、(B)が余剰に発生します。
仔猫による《呪文探求者》のサーチ先は、末尾のサーチしたカードとしてみてください。
開始時点では(B)が浮いている状態です。
《暗黒の儀式》を唱え、《悪魔の教示者》をサーチ
解決後の浮き:(B)(B)(B)《悪魔の教示者》を唱え《水蓮の花びら》、《輪作》をサーチ
解決後の浮き:(B)《水蓮の花びら》を唱え、《有毒の蘇生》をサーチ
花びらから(G)を出す
解決後の浮き:(B)(G)《輪作》を唱え《ガイアの揺籃の地》、《陰謀団の儀式》をサーチ
解決後の浮き:(B)(G)(G)(G)《輪作》を対象に《有毒の蘇生》を唱え、《召喚士の契約(任意の呪文A)》をサーチ
解決後の浮き:(B)(G)(G)《陰謀団の儀式》を唱え、《輪作》をサーチ
解決後の浮き:(B)(B)(B)(G)《輪作》を唱え土地、《弱者選別(任意の呪文B)》をサーチ
解決後の浮き:(B)(B)(B)(1)《召喚士の契約》を唱え(G)のクリーチャー(現在のリストでは《極楽鳥》or《死儀礼のシャーマン》です)をサーチ、《忍耐》をブリンク
解決後の浮き:(B)(B)(B)(1)《忍耐》のETBを解決し、1~7で唱えたカードと《ガイアの揺籃の地》をライブラリーに戻す
解決後の浮き:(B)(B)(B)(1)クリーチャーを唱える
解決後の浮き:(B)(B)(B)10のクリーチャーをコストに《弱者選別》を唱え、《暗黒の儀式》をサーチ
解決後の浮き:(B)(B)(+今回は《弱者選別》したので(B)(B)(B)(B))
こうすると、《暗黒の儀式》がある状態で(B)が増えていきます。この例だと2ループ目では《弱者選別》《召喚士の契約》《死儀礼のシャーマン》が墓地にある状態で開始するため、現在のリストでは《吸血の教示者》と1マナの打ち消しなどを持ってくるとループが成立します。
(この場合は《吸血の教示者》で《呪文探求者》をブリンク、サーチの解決前に《吸血の教示者》を対象に打ち消しで《忍耐》をブリンクし、《暗黒の儀式》を探せるようにしてください)
最後の工程の呪文は、マナ総量が(1)(B)以下になるように、ループA、ループBが成立できる2組の呪文の組み合わせになれば何でも大丈夫です。ドローが入ってしまうと《ガイアの揺籃の地》が手札に来た場合再現できないため、注意してください。
要約すると、マナを増やした後に残る呪文2枚で《忍耐》《呪文探求者》をブリンクすることで、ライブラリーを修復しつつ《暗黒の儀式》がある状態に持っていきます。
《呪文探求者》コンボの始動
上記のループに入るためには、一度《忍耐》でライブラリーを修復し、
手札に《暗黒の儀式》、(B)が浮いている状態を作る必要があります。
余剰のマナがなくとも、《忍耐》の想起を利用することで、《呪文探求者》のETBからループの条件まで繋ぐことが可能です。
ここの説明では前提として、《忍耐》の想起のコストになる緑のカード、3以上のライフ、(1)以内で唱えられるインスタント、ルート内で利用するカードがライブラリーに残っているとします。
《召喚士の契約》を唱え《エルフの指導霊》、《有毒の蘇生》をサーチ
《エルフの指導霊》を追放してマナを出す
解決後の浮き:(G)《召喚士の契約》を対象に《有毒の蘇生》をライフペイで唱え、《輪作》をサーチ
解決後の浮き:(G)《輪作》を唱え(B)が出る土地、《召喚士の契約》をサーチ
タップ状態の《ガイアの揺籃の地》がある場合は、必ずコストにしてください。後のライブラリー修復で戻す必要があります
解決後の浮き:(B)《召喚士の契約》を唱え《忍耐》、《暗黒の儀式》をサーチ
解決後の浮き:(B)《暗黒の儀式》を唱え、《悪魔の教示者》をサーチ
解決後の浮き:(B)(B)(B)《悪魔の教示者》を唱え《水蓮の花びら》、(1)で唱えられるインスタントをサーチ
解決後の浮き:(B)《水蓮の花びら》を唱え、緑のカード(想起コスト)をサーチ
解決後の浮き:(B)(1)《忍耐》を想起で唱える
《忍耐》のライブラリー修復を解決し、1~7で唱えたカードをライブラリーに戻す
解決後の浮き:(B)(1)《忍耐》の想起の生贄解決前に(1)で唱えられるインスタントを唱え、《忍耐》をブリンクし、《暗黒の儀式》をサーチ
解決後の浮き:(B)
こうすると最後に《暗黒の儀式》が手札に残るため、前述した《暗黒の儀式》と《忍耐》、浮きマナの(B)がある状態となります。
上記はあくまで一例で、戦況によっては《夏の帳》から入って除去やカウンターをケアしたり、余剰のリソースがあればもっと簡単にループへ入ることも可能です。(もちろん途中で《永遠の証人》ルートに入るのも◎)
妨害が絡んで来る場合でも、余剰のマナとインスタントの限り、《呪文探求者》または《忍耐》のブリンクで除去の回避やスタック上から行動が可能なため、コンボの強度としては中々高いものがあります。
というように、相手に手順を説明するための自分の理解と、状況に応じたアドリブも求められるコンボのため、非常に難解です。
やりようによっては全てインスタントタイミングのルートも組めますが、《呪文探求者》を着地させるところが初動になるため、本記事では除外しました。(《出現領域》でねじこむ方が簡単ですし)
猫をパワフルに使うためには
ここまではコンボを解説しましたが、猫トラテヴェの真髄は仔猫が単なるコンボパーツではなく、テヴェシュと組むことで大幅にリソースを稼ぐことができる部分にあります。
パーツが何もない状態でも、テヴェシュと仔猫が並び、手札からマナファクトを唱えるだけでテヴェシュをブリンクできるため、スラルを食べてドローが進んでいきます。(そのため、特に勝ち筋は無くても警戒されることが多いですが…)
また、仔猫の能力は自身も対象にとれるため、手札に余分なインスタントがあればそのまま回避でき、除去耐性がそこそこあります。
そこで、仮に他のメジャーな統率者で仔猫を採用するとしたらどうなるか、という点について少し考察してみました。
向いていそうな統率者の候補
《秘密売り、ティヴィット》
統率者をブリンクすると、ETBでマナと手札(手掛かりですが…)を確保でき、仔猫の相方になれる《時を解す者、テフェリー》を採用できるカラーです。
しかし、《時の篩》という統率者の最高の相棒がいるため、サーチしてまで欲しいかというと微妙なポジションになってしまいます。
マナファクトが多い性質上、1枚で勝ちに行くなら《船砕きの怪物》に軍配が上がりそうなため、個人的には微妙な評価です。ネコ科同士なのに・・・。
《偉大なる統一者、アトラクサ》
統率者のETBが非常に強力な為、軽量なブリンク呪文と共に採用されているケースを見かけます。無限のコンボはなくとも、数回ブリンクが発生するだけで必要なパーツを集めることが可能なため、相性が良いです。
《欲深き者、エヴリン》
統率者と組み合わせると、不確定なチェインコンボができそうです。マナの支払いが不特定でよいため、《魔力の櫃》と統率者を交互にブリンクすると、軽量スペルの続く限り繋げることが可能です。
《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》
統率者と軽量アーティファクトでチェインを行う過程で、仔猫がいるとマナファクトをブリンクして、マナを誤魔化すことが可能です。
初動の前に仔猫を設置しようと思うと、意外とマナが足りなくなりそうなことと、直接のサーチ手段に乏しい辺りが懸念点です。(追加のビルギくらいの感覚)
マナ以外にもブリンクして美味しい物はあるため、構築次第でしょうか。
《湖に潜む者、エムリー》
切削されないようにお祈りしましょう。自壊できる(0)のアーティファクトとエムリーの速攻の付与手段があると、ライブラリーをすべて堀りきることができるため、統率者との相性は良いです。
ただ、冒頭で述べたように切削されると悲しみを背負うことと、直接探す手段がほぼ無いことがネックです。迷子の仔猫チャン…
《トリトンの英雄トラシオス》/ 赤の共闘(ログラクフ etc)
《波止場の恐喝者》をブリンクしたい。これに尽きると思います。仔猫のルートは概ね無限マナになるため、統率者が吐き先になっていると困ることがないです。
ログラクフは基本的に《雲石の工芸品》に寄せる構築になるため、あまり仔猫を搭載する余地が無さそうです。
クラークの場合だと、コイントスの成否に関わらずマナファクトをブリンクできるため、面白い動きになるかもしれません。(強いかと言われると?)
最後にダーゴですが、赤の共闘の中では一番他のデッキパーツとの兼ね合いが良さそうです。《呪文探求者》から探せる先が《生命の遺産》《新生化》《最後の賭け》儀式系などになるため、自然に勝つルートを組むことができます。ただ、統率者とのシナジーが単体で無い点はネックです。
《トリトンの英雄トラシオス》/《織り手のティムナ》
トラテヴェのパーツと、追加で前述の《時を解すもの、テフェリー》を採用することができます。このカラーであれば、無数にコンボの組み合わせが作れますが、テフェリー単体が対話拒否として機能する部分が腐りづらいです。
全体的に仔猫に寄せた構築にする必要が出てくるため、一般的なクリーチャー軸とは離れてしまうことと、仔猫のみの場合に仕事が無い点が懸念点でしょうか。
少し変わった構築が好き、仔猫への愛情などとの天秤にかけましょう。
《空想の友人、トゥーシー》/《空想小僧、ピール》
トゥーシーをブリンクすると気持ちいい。そういうことです。実際相性はいいと思うのですが、チェインしようとすると、ドロー後にマナを捻りだす必要がでてくるので、アンタップする呪文や、フリースペルを駆使する必要がありそうです。
総括すると、単に統率者を絡めてブリンクできれば良いというわけでもなく、デッキ全体が歪まないかなどの観点で総合的に見て猫を飼い慣らしましょう!
まとめ
猫トラテヴェは儀式の連打、カードの再利用で無限マナをつくる
統率者と非常に噛み合っているのが売り
他の統率者で採用を検討する場合、猫以外の最適解やデッキ全体のバランスも考慮する
こんなところでしょうか。
追記
開祖から《忍耐》ブリンクの方がケアできるよと有難いアドバイスをもらいました。説明の上でそちらの方が簡単そうな気がするため、後で改稿するかもしれません。(しました!)
改定前はこちら https://note.com/umeko17n/n/nda1e29b42eaa本稿で説明したのは最低限のルートです。実戦だと妨害や余剰のリソースなど勝負になると思います。アドリブでよければ、余分に唱えられるインスタントの数≒バックアップになりえますし、今なら《風に運ばれて》などで更に上から動くことも考えられます。和解の日は遠い。
This Article is unofficial Fan Content permitted under the Fan Content Policy. Not approved/endorsed by Wizards. Portions of the materials used are property of Wizards of the Coast. ©Wizards of the Coast LLC.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?