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暇人は消費活動に飽きて、自分を探し出す。体と心を鍛える。

この記事は2020年夏?発売予定の書籍「暇の研究マガジン」から6本目の記事です。

予めお伝えすると、本記事は前半のパーソナルトレーニングより、後半のコーチングの話の方が、ターゲット読者にとって学びが多いと思う。

ゆえにペイウォール(課金の壁)を置いておきました。

2章で代表的な消費活動を紹介してきたが、消費活動だけでは人は満たされなくなっていく。

消費活動は一定レベルに達すると、飽きてしまう場合が多いのではないだろうか。

年収1,000万円まで上がっていくときには幸福度が上がるが、2,000万円以上はそれ以上上がってもさほど幸福度が変わらない。むしろお金に関する悩みが増えて、幸福度が下がるケースもあると聞いたことがある。

人は変化率に対して反応する生物であり、毎週のように銀座で鮨を食べていると、飽きてくるし、ありがたみも薄れてくる。クラブやラウンジも習慣化すると日常になってしまい、刺激が減っていく。

消費活動が一巡すると、持て余した暇な時間を何に投下するようになるのだろうか。

中田英寿のように「自分探しの旅」から逃れられない時代に


多くの人は、自分自身をもっと向上させることはできないか?と「自分活動」を始めるのではないだろうか。

サッカー元日本代表の中田英寿氏が2006年ドイツW杯後の引退発表時に「自分探しの旅に出たい」と発言したことが当時たびたび世間に取り上げられていた。

中田英寿氏のファンだった当時大学生の僕は「なるほどなあ」くらいにしか捉えていなかったが、大学の先輩が「自分探しの旅(笑)」と嘲笑していたことを覚えている。

そこには、「いい年して、まだ自分を探したいのかよ」というニュアンスが含まれていた。

おそらく、世間でもそういうニュアンスの反応の方が多かったような気もする。

「自分を探し続けて、何が悪いのだろうか」と僕は思った。

「自分探し」を揶揄する意味が、僕にはよくわからなかったのだ。

ここからは僕の仮説だが、少なくとも多くの日本人にとっては、「大人になり、社会に出る」ということは、会社員として、組織の歯車になり、自己を犠牲にして懸命に働くことを指す。

マインドセットとして、組織の一員であることが「個」としての存在より重きを置く価値観。そのような世界の中で「自分を探し続ける」ことは害悪でしかないと考えているのではないだろうか。

海外生活が長い中田英寿氏にとって、個を追求するために、自分探しをしたい。というのはごく自然な発想だったのだろうと思う。

自分が何者なのか。

それを知ることを追求するのは、人生そのものであり、「息をしたいですね」と同じくらい、僕にとっては自然な活動に思える。

中田英寿氏の「自分探し」を揶揄した先輩は、日本を代表する大企業に勤めている。しかし、そこに明るい未来があるようには、僕には思えない。

昭和の日本人的な、「自己犠牲の元に(家族を含む自分の)幸せが成り立つ」的な発想が根本にある人にとっては、自分を探し続けるより、幸せになるために所属組織である会社に奉公することが必須条件だと思っているのであろう。

しかし、終身雇用が崩壊した今となっては、今この瞬間に自己犠牲を伴っても、「安定した未来」というリターンを得る確率が大きく下がっている。

アホでもそんなことは理解できるか、40代くらいになって、「はい終身雇用終わりましたよ!」と言われても、いきなりYouTuberに転職できるほど器用な人は非常に稀である。

会社員の多くが「自己犠牲の元に幸せが成り立つ」というマインドセットを持っていることをベースに、業務に日々忙殺され、時間がないことを考えると、「自分探し活動」に時間を割けるのは暇人の特権ともいえる。

アッパー層は消費活動の次に、いやそれと並行しつつ、どのような自分探し活動をしているのだろうか。3章ではそれを見ていきたい。

3-1.パーソナルトレーニングでカラダや健康と向き合う


消費活動の結果、多くの人が陥る悩みがある。

高級グルメ活動の頻度が増え、体重が増えていく。

加齢とグルメ活動と、移動手段がほとんどタクシーになることで日頃ろくに歩きもしなくなる運動不足。これらのシナジー効果で、毎年体重と体脂肪率が右肩上がりに成長していく。

「自分のことを言われているかもしれない」とドキッとした読者も、少なくないのではないだろうか。

僕自身がまさにそうだった。身長は180cmだが2018年末には体重は多い時で76.4kg、体脂肪率は26.4%あった。

高校生の頃のローレル指数は「痩せすぎ」だった。

社会人になってから徐々に腹が出てきたなと感じ、薄手のニットを着ると「なんか妊婦っぽいな...妊娠何ヶ月目だよ」というレベルだった。

ぽっこり腹が出ていた。体質的にあまりお酒が得意ではないので、ビール腹ではない。

さすがにこれはどうにかしたいな。と感じ、2019年1月からパーソナルトレーニングに通い始めた。

麻布十番に住んでいるので、自宅から徒歩10分程度の麻布十番のジムにした。「薄手のニットを着ても、腹が出ないようにしたい!」という目標で始めた。

最初の半年は週2で通い、多少の食事制限もした。炭水化物大好き人間だったが、炭水化物を控え、たんぱく質を多めに摂取するように心がけた。

タクシー移動も人と一緒の時や天気が悪い時以外は避け、天気が良ければ極力歩くように習慣化した。

結果として半年程度で体重7kg、体脂肪率8.4%ほど下げることに成功した。その後も継続し、執筆時点では開始前と比べて最大で体重は10kg、体脂肪率は10%程度下がった。

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今年の冬は薄手のニットを着ても、全然腹が出ていない。目標を達成できたのだ。

今後はダイエットというより、体重は増やして良いので、筋肉量を上げてより筋肉質な体を目指した方が良いとトレーナーに言われているので、その路線で頑張りたいと思っている。

ちなみに、パーソナルトレーニングは決して安くない。僕は60分程度のトレーニングの後に10分程度のクールダウンのマッサージが付いて、1回1.2万円だ。

月に8回通うと、10万円近くになる。麻布十番のHANARIというジムに通っている。

パーソナルじゃないと無理だったのか?普通のジムに通うだけではダメなのか?というツッコミがあると思うが、高い確率でダメだったと思う。

ダイエットの最大のコツは「習慣化」だ。

筋トレ、食生活を習慣化すること。2019年の下半期に入ってからは、必要に応じて芝浦にある港区スポーツセンターや宿泊先のホテルで、1日30分のランニングも取り入れることを習慣化した。

一瞬だけ頑張っても意味がなく、筋トレ、食生活、ランニングの3つを習慣化する。

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この習慣化のハードルが非常に高く、パーソナルトレーニングで毎週強制的に実施したり、トレーナーに今週食べたものを聞かれて「なんでスイーツばっかり食べてるんですか!」と喝を入れられることで、自分を律していく。そうしたプロセスを通して、習慣化していくことに価値がある。

本書の編集者である箕輪厚介はライザップに2回取り組み、減量したそうだが、すぐにリバウンドしている。

僕はライザップを受けたことはないが、ライザップは過度に追い込むトレーニングが主であり、トレーニング期間後にその生活を習慣化させるところまで設計できていないのではないか。

目に見えて太ったことを気にして、パーソナルトレーニングを始める。これはアッパー層あるあるな現象ではある。

一方で体型ではなく、健康面への意識が高まった結果、パーソナルトレーニングを始めた人もいると聞く。

暴飲暴食して運動をせずに体型を維持しているスーパーマンなど存在しない。脂肪吸引などで解決したいという人もいるが、個人的にはあまりオススメしない。

加齢を認め、それ相応の習慣を身に付けることの方が、大切ではないだろうか。

自分探し活動の初歩として、健康への意識の高まりの事例としてパーソナルトレーニングを挙げたが、美容への意識も高まっていく。

僕は歯医者が嫌いで、若い頃サボっていたのだが、意を決して全て治療したり、若干歯並びが悪いのが気になっていたので、現在2年コースでの歯科矯正をしている。

「太っていない」「歯並びが悪くない」というのは、ある意味相手に不快感を与えないためのビジネスマナーともいえ、時間もお金もあるのであれば、本来優先的に投資すべきだと思う。

そのような文脈から、女性であれば真っ先に美容への投資が嵩んでいるであろうが、男性の美容意識も高まっている。

僕も今年からまずは頬だけのヒゲ脱毛を始めた。ヒゲ脱毛をしているアッパー層男性の比率は上がっている気がする。

僕は痛いことや手術が大の苦手なので、かなりの抵抗があるが、アッパー層男性の美容整形も増えていくのではないかと思う。

自らの健康や見映えを良くしたいという、目に見えてわかりやすい結果が得られる活動が、自分探し活動初級編と言えるだろう。

一方でランニングやトライアスロンにハマるアッパー層もいるが、健康のためというよりは、自らの限界を超えたいというドMな欲求を満たすためのように思える。

特に経営者にとって、経営は外部要因に左右されるものも多く、自らの手でコントロールできる範囲は限られている。

ランニングやトライアスロンは「自分さえ頑張れば望む結果が得られる」という点が、経営と比べてイージーゲームに感じ、その達成感を得たいからこそ、ハマってしまう人が多いのではないかと思う。

ちなみに僕は無駄にランニングを頑張り、Nike+のアプリを利用し、走行距離を伸ばしていた時期があったが、結果としてそれが全くダイエットに繋がっていなかった経験があるので、あくまで無理の範囲で、30分の有酸素運動として取り組む。という方針に転換した。

暇だからこそ、パーソナルトレーニングをサボらずに肉体改造に取り組むことができた。

これが日々フルタイムで働いている会社員だと、疲れが溜まってサボってしまうとか、ストレスで食べ過ぎてしまうこともあるだろう。

特に健康は加齢と共に気になるはずで、本来は暇ではない人とっても取り組む必要性は高いはずだ。

もしこれからダイエットに取り組みたい人がいれば「筋トレ、食生活、ランニングの習慣化」を意識していただきたい。

短期間で急激な減量を目指すトレーニングは、習慣化意識とは異なるため、トレーニング後にリバウンドしてしまう。長い視野で取り組むことが、大切だと思う。

3-2.コーチングで自己理解を深める


自分探し活動の初歩として、主にパーソナルトレーニングに代表されるダイエットや健康意識向上について話した。

実際にアッパー層にはパーソナルトレーニングで体を鍛えている人が少なくない。

一方でフィジカルは鍛えているが、メンタルも鍛えているという人は少ない。

「メンタルを鍛える」という活動は2020年の日本においてはまだ一般的ではないように思える。ただ、日本でも経営者層を中心に、コーチングの重要性に目覚め、定期的にコーチングを受けている人が徐々に増えてきている。

コーチングという言葉自体は聞いたことがあるという人も多いと思うが、いまいちイメージしきれない人もまた多そうである。

なんとなく怪しいと感じる人もいるかと思う。コーチ・エイ アカデミアという機関による定義では

コーチングとは「目標達成に必要な知識、スキル、ツールが何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイド(個別対応)で備えさせるプロセスである」

と紹介されている。この紹介でも、まだ全然イメージできないという人が大多数だろう。僕がコーチングに触れてきた実体験を元に、紹介していきたい。

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