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子どもの難聴 どこの耳鼻科にいく?

耳鼻科は日本中にたくさんあるため とくに考えずに近場の耳鼻科に行きがちです。わたしも同じです。ただそれは子どもの場合には より慎重に選んだほうがよいです。 

まず、子どもが幼ければ幼いほど 検査は正確にできにくくなります。
そのため 子どもに特化した検査機器をそろえているところが 理想となります。


乳幼児聴力検査

BOA(聴性行動反応聴力検査)

乳幼児の聴性行動反応(びっくりする、目を閉じる、目が覚める、音を探すなど)をみて難聴の有無やおおよその程度について調べます。
音源は、鈴・紙もみ音など。

COR(条件詮索反応聴力検査)

スピーカから音が聞こえるとその音を探したり音のする方を見るなどの反応を利用して行う聴力検査
※ピープショウテストが可能になるまでの乳幼児に行う

ピープショウテスト(遊戯聴力検査)

スピーカから音が聞こえてきたらすぐに手前の赤いボタンを押すと、部屋の中が明るくなって、室内が見える仕掛けを利用して行う幼小児向けの聴力検査。レシーバが装着できれば大人と同様の左右別々の聴力検査が行える。
※音が聞こえたらボタンを押すという条件付けができないとこの検査は行えないので知的発達年齢で2歳代ごろから適応可能

他覚的聴力検査

音が聞こえた時に発生する電気信号をキャッチすることでおおよその聴力がわかる検査。音がする方を見るなどの自覚的な反応を必要としないため新生児や乳児だけでなく発達障害を伴った児についてもある程度の聴力レベルを推定することができる
<種類>
・主に高い音を反映するABR(聴性脳幹反応)検査
・低音から高音まで複数の周波数の聴力を推定できる
 ASSR(聴性定常反応)検査

これらの子ども向けの検査があってはじめて難聴かどうかがわかる。
成人の聴力検査(健診などで受ける検査)は音がしたら積極的にボタンを押す反応を示すことができる条件が前提なため、ルールが理解できる発達年齢5歳くらいないと難しい。

ただし これらの検査をパスしてしまう難聴がある。
それはAPD/LiD(聴覚情報処理障害)だ。
また音に反応しようとしないASD(自閉症スペクトラム症)と難聴の鑑別も難しい。
そういった難しい理由がいくつかあるため子どもの聴力検査機関は慎重にえらんだほうがよい。

上記の検査機器があって 言語聴覚士がいて 発達の訓練などもおこなっている耳鼻科が理想である。

あと、意外と知られていないが ろう学校も地域のセンター的役割を担っている。ろう学校に通っていなくても相談や聴覚検査をしてもらうことができる。幼稚部からあるため子どもの聴覚検査全般はそろっており、発達の検査なども可能である。利用しない手はない。
もちろん医療機関と並行で通うことは可能だ。

耳鼻科も千差万別。発見の難しさも相まって5000人に1人の割合で(みつけられなかった)難聴児が難聴と知らずに就学している。難聴を発見されない場合の負のリスクが大きいため 個人的にはこういった検査体制が整っているところを2~3ヶ所 保険として訪れておくほうが良いと思う。


子どもが ききとれたかどうかだけで 難聴と判断するのではなく 子どもがあまりしゃべらないということがあれば 頭の片隅に難聴ということを入れておくこと。我々言語聴覚士は特に、コミュニケーションの障害があるすべての人に難聴を疑って評価すべきだと思う。

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