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メタバースで飯は食えない

 半年くらい前から私の周りでも、「うめさん、メタバースってどうなの?」と聞いてくる人が増えました。私は、実態としてどういうものになるのかもよくわからないし、バズワード化してしまい「オレ様のメタバース」状態に突入しているので、「まあ、よくできたセカンドライフみたいな遊び&広告空間じゃないの?」というようなあいまいな答えをしておりました。

 で、今日(2022年2月12日)、関連する記事を少し読んでみた感想。

 まず、メタバースが完全に仮想空間に構築されるものになるのだとしたら、もちろん、セカンドライフ時代に比べればはるかに快適な空間ができるだろうけれど、それはやっぱり遊び&広告空間を超えることはないだろうと思うのです。要するに、ゲームするか、ググるか、tiktok見るか、Youtube見るか、メタバースでもやるか、というような余暇の選択肢が増えるに過ぎないということ。だから、消費空間であって、我々の生活や仕事を根本的に変えることはできないと思うのです。
 どういうものが世界を変えるかというと、現実空間と仮想空間、ネット空間をしっかりと結び付けられるテクノロジーだろうと思うのです。ご存じの通り、iPhoneやスマホはそういう世界を生み出したわけです。また、「現実世界のものを何でも検索できるようにする」というようなGoogleの戦略も価値を生み出しました。一方、純粋なVRにできることはゲーム、コミュニケーション、言論、広告あたりに限られるでしょう。

 だから、IT企業はメタバースで大儲けできるかもしれないけれど、それ以外の人たちはユーザとしてお金を払うだけ。Youtuber みたいな一握りの人(Metaverser ?)がメタバースの中で人気を集めて、Google的広告ビジネスに参入できるのかもしれない。でも、今だってそうだけど、だれでもYoutuber になれるわけではない。圧倒的な人たちは、Youtube を見てるだけのユーザで、通信費を払うためにバイトしたり、今日も残業したり、休日出勤して普通に仕事しているわけ。

 大胆に予想すると、世界を変えるようなテクノロジーは、身に着けるものになる。仮想空間・ネット空間と現実をセンサーとAIで結び付けたようなもの。そういうものだったら、iPhoneみたいに世界を変えるよね。

 メタバースのバーチャルな価値、そこで得られる情報やコミュニケーションであったり、そこで得られるバーチャルな体験であったりは、残念ながらそのまま現実世界の価値を生み出すことができない。メタバースは、100円ショップのための商品を工場で生産したり、耕運機で田圃を耕したり、トラック網で商品を配送したりしている世界に対して、極めて限定的な役割しか果たせないのですよ。せいぜい、みんなが tiktok やってるから、広告出すと商品が売れるよねとか、有名 tiktoker になれば案件が来ておいしいよねとかいう、「遊び&広告空間」を超えられないと感じるんです。

 なぜって?セカンドライフがそういうものだったからです。だから、「メタバースすごい」っていう人たちは、セカンドライフと何が違うのか説明してほしいんだけど、どうもそれを避けているように見える。10年~20年単位でブームが再燃するだけの現象が「メタバース」なんじゃないか、というのが目下の感想なのです。

 いずれにしても、ITの人たちは「価値」とは何かということを深く考えるべきです。メタバースじゃ、減った腹は満たせない。

 異論、反論、お待ちしております。まだまだ感想の域は出ませんので。

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HyacintheLuynes, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Second_Life_11th_Birthday_Live_Drax_Files_Radio_Hour.jpg

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