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東北へ!(4)安比高原とか編
東北の空気にもだいぶ慣れてきました。
関西には列車本数がスカスカの路線というのがほとんどありません。
ものすごい田舎の駅でも一時間に一本ぐらいは列車が来ます(名松線とかは少ないですけど……)。
スッカスカの時刻表が大好物の私にとって、東北での毎日はスリルと興奮に満ちており、痛いぐらいに生きてる感じがします。
さて、行ってみたい場所がまだまだあるのです。
が……これがちょっと交通の便が悪すぎて、八戸に泊まったものの、迷っていました。
行ってみたいところ。
新郷村の「キリストの墓」です。
キリストの墓が青森にあるというのです。
知る人ぞ知る珍スポットで、こんなの行ってみたいに決まっているわけです。
でもここに辿り着くには八戸からバスを2本乗り継いで、片道で2時間だか3時間だかかかってしまう。
しかも折り返してくるには滞在時間が30分も取れないということで……
「せっかく青森まで来たのに、丸一日キリストの墓でつぶすの?」
「違うよ、そもそも青森まで来ないとキリストの墓には行けないんだよ!
そのために青森まで来たんじゃないの?」
「行ったってゆっくり散策する時間もないのに?」
私 vs 私の討論はヒートアップし、どうにもこうにも結論が出せません。
駅前のお土産屋さんで買い物をしながら、バスをずっと気にしてしまいます。
「どうするの? 行きたいんでしょ? 行けばいいじゃん!」
「行きたいよ、でもせっかく行くならゆっくり行きたいの!」
私 vs 私が激しくぶつかり合い、もうバスの発車時刻も迫っています。
バス停の前で逡巡すること数分、キリストの墓を諦めました。
今回は初青森なので、いろんなところをできるだけ多く見て帰りたいという思いが勝ったのでした。
とはいえ、バス停前で迷いまくっている間にお昼になっており、ちょうど青い森鉄道の便がない谷間の時間になってしまっていました。
ああ、困った。動けない。
……いや?
周遊きっぷを諦めて、もう新幹線に乗っちゃえばいいんじゃない?
ということで、はやぶさ乗車! いわて沼宮内までひとっ飛びです。
はやぶさははじめて乗りました。やっぱり新幹線って楽しい!
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いわて沼宮内からいわて銀河鉄道に乗車。
銀河鉄道……なんてロマンを掻き立てられる名称でしょうか。
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好摩駅で下車。
さあ、行きますよ、花輪線に!
花輪線の秘境駅といえば、そう、安比高原です。
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かつてはスキー場があってとても賑わっていた駅らしいのですが、静かなものです。
列車が来た方向は森、進んでいった方向も森、駅前も森。
ああ、なんにもないなあ。
ここでは私以外にも、鉄道研究会っぽい青年のグループと、外国人カップルが降りました。
私は駅の外に出てちょっと歩いてみたり、待合室に入ってみたり。
帰りの時間が近づいたのでホームに戻ったときでした。
大変な光景を見てしまったのです。
外国人カップルが線路に降りて写真を撮っている!!
我が国のルールではそれはダメなわけですが、彼らは知らないのでしょう。
いや、いやいやいや、列車がそろそろ戻ってきちゃう!!
危ないから!! 上がって!! 線路ダメ!! 上がって!!
列車きちゃう!!! 危ないから!!
身振り手ぶりで大騒ぎする私(※日本語)を見て、カップルたちもなにかやばそうだという気配を察したようです。
すぐに上がってきてくれました。
ああ、よかった……
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折り返してきた列車に乗って、花輪線を脱出します。
盛岡から東北本線に乗って花巻へ。
楽しかった旅もそろそろおしまい。
東北最後の夜は花巻のホテルです。
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なぜかわからないけど地名を見ているだけで切ないような恋しいような、激しい郷愁に駆られてしまう土地が私にはいくつかあって、花巻はそのひとつです(もうひとつは島原です)。
花巻の駅名標を見てるだけで、なんだかとても切なくて苦しいです。
ああ、帰りたくないなあ。
薄暗くなった駅前あたりを目的もなくさまよい歩きながら、東北の地との別れを惜しみます。
また来るよ。
親切にしてくださったみなさん、ありがとうございました。
お陰様でものすごく特別な一人旅ができました。
翌朝は東北本線で仙台へ。
この道中、乗り換え駅で「金太郎」を見つけました。
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関西では「桃太郎」が走っています。
なに! こっちでは金太郎なの?!
などと俄然テンションが上がってしまい、列車を追いかけて右往左往。
するとホームの売店の女性が迷子かと思ったようで親切に声をかけてくださいました。
まぎらわしい動きをしてすみません…
小牛田からの車内では、隣に座った女性が私の荷物を持つのを手伝ってくださいました。
お礼を言って、なんとなくふたりで話し始め、談笑していたら仙台に着きました。
親切なご婦人、楽しいひと時をありがとうございました。
また飛行機に乗るわけですが……
実はこのあとプチ同窓会の約束があるので、東京へ飛びます。
成田空港に到着した私が大人しく都内に向かうわけもなく、"日本一短い鉄道"芝山鉄道に乗り、なんの用もない芝山千代田駅で下車したのもいい思い出。
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初めての東北ひとり旅は大充実で終了したのでした。
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