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【三国志を語りたい】何進 〜宦官誅滅を前に散った大将軍〜

さて、今回ご紹介するのは霊帝の時代末期に活躍することになる何進です。
何進は妹の何皇后が霊帝の后となったことで、その外戚として大将軍となります。

横山光輝作の三国志では、丸々太ったやられ役のような描写、そして無惨な最後に印象を覚えている人は多いのではないかと思います。

彼は最後は無惨にも宦官の手によって散ってしまいましたが、そこに至るまでの苦悶は人としても同情できるものではないかと思います。

彼は、宦官により今の地位があることは知りつつも宦官が政治の腐敗を引き起こす原因と理解してました。
すぐにでも宦官を誅滅しようとしましたが、何進は妹に気を配っておりました。

何皇后は性格は激情型で嫉妬心が強く、協皇子(後の献帝)を産んだ王貴人を嫉妬により毒殺するくらい激しい方です。

その一件は霊帝の怒りに触れましたが、宦官が手助けしたことにより廃后を防がれます。
そんなこともあって何皇后は宦官を大事にしているのでした。
後宮は外の世界とは隔絶されていて、宦官を通じた情報しか入ってこなかったのもあるかもしれません。

何皇后にとって宦官誅滅を謳う何進の行動は理解できるものではありません。

それでも何進は何皇后を説得して、宦官から引き剥がし、政治の腐敗を正そうとしていました。
もしかすると谷底に堕ちゆく運命にある王朝から妹を救いたいという兄心もあったのかもしれません。

説得ができないとわかった何進はとんでもない行動を起こします。
それは、地方から軍を集めて、何皇后に訴えかけるということでした。
それを見せて、宦官誅滅を望む人々がいるのだぞっと伝えたかったのかもしれません。
妹の目を覚ましてやりたい、そんな思いが起こしたのかもしれません。

そしてそれは後に董卓という怪物が暴れる契機になることは未だ誰も知りません。


何進は何皇后へ最後の説得に後宮へ行きます。
腹心である袁紹には後宮は危険だと耳が痛いほど言われていたと思います。

ただ、彼はそれでも妹を説得したい、彼の思いはわからなくもないです。

そして、何進は宦官の魔手によってその命を閉じました。

何進は記録上は宦官に堕とされた大将軍、そして董卓の横暴を引き起こしたトリガーとして描かれるでしょう。

ただ、国を思い、妹を想い、心に訴えかけるその行動は、この時代では稀有な純な人だったのではないかと思います。



その後の話としては、何進の死を知った袁術らの軍勢によって宦官は誅滅されます。
そして、地方から駆けつけた董卓が政治の中枢を握り、何進が愛した妹の何皇后は董卓によってその生涯を閉じるのでした。


なんとも煮え切らないラストに、歴史の残酷さを感じてしまいますね。



次回は、董卓軍の中でも最強と言っても過言ではないあの武将をご紹介したいと思います。

なぜ、こんなに面白いのか?読めばわかる。

三国志
宮城谷昌光
文集文庫

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