見出し画像

グラニト・ジャカ        ~復活までの道のり~

グラニト・ジャカがスイスの年間最優秀選手に受賞した。

プレミアリーグ首位を直走るチームにおいてキャリアのベストシーズンを過ごしている彼にとっては文句なしの受賞となっただろう。

彼の喜ぶ姿を見ると喜ぶファンは多いのではないだろうか。

彼のアーセナルでのキャリアでは山あり谷でいう谷の連続だった。
エミレーツでブーイングを浴びたあの時代から、今では彼の歌声が響き渡る。

We’ve got Granit Xhaka


グラニト・ジャカ~復活までの道のり~

ミケル・アルテタと出逢うまでの彼は見るに堪えなかった。

危険なタックルは日常茶飯事
両足で足裏を魅せるタックルをシーズンに何度やったことやら
気合が空回りする前からのプレスも連動性がなく、DFラインの前にポッカリスペース作ってしまう事も多かった。あいつがいるとボールが回らないとチームメイトから揶揄されることもあった。

そんな彼を救ったのは紛れもなくミケル・アルテタだろう。

ローマへの移籍が決まりかけていたグラニト・ジャカを引き留めたのは有名な話

ミケル・アルテタから見える、どん底にいたジャカは目に見えない彼が映っており、今シーズンの彼をイメージ出来ていたのかもしれない。

相手の逆を取るドリブルが出来るわけでもなく
プレス回避が高いわけではないが、

コミットメント力
怪我をしない身体
チームを引っ張る言葉
90分間上下運動を繰り返せるフィジカル

そういった彼の長所がアルテタの信頼を勝ち取る事になる。

アルテタのジャカに対する信頼は揺るぎない。
それは選手起用にも表れている。

勝敗が決まった試合はまだしも一進一退の攻防が続く試合で交代は今までほとんどない。
ジャカよりも若いキャプテンのウーデゴールが交代する事があっても、彼がピッチの外に出る事はほとんどない。

整備されたチームで活きる選手というのは、基礎技術が優れ、90分間走り切る能力が高く、何よりコミットメント力が高い選手なのだ。

整備されたチーム
もう少し具体性を持つ表現をするとなると
アルテタ・アーセナルの特徴は、選手の立ち位置に原則があり、どこにパスコースが出来るのかが選手たちが同じ共通理解をもっているところにある。証拠に現代フットボールで難しいとされるビルドアップにおいてアルテタ・アーセナルは再現性があるものが多い。

直近のマンユナイテッド戦のウーデゴールが後ろ向きで受けてからの1タッチで反対再度のジンチェンコヘ通したプレス回避は試合で何度も披露しサポーター達を唸らせた。

たまたまではないのだ。
チームとしてプレス回避の手段をチームにアルテタは落とし込んでいるのだ。
それを練習し試合で実施する。選手たちからは練習と同じ作業をやっている感覚でいとも簡単に実演する。だからこそアルテタは普段の練習の姿勢を重要視する。全てが繋がる。

そこにはまるのがグラニト・ジャカなのだ。

やる事を明確化してあげて、選手の長所にスポットを当てる。
ジャカの長所は、走り切るフィジカルとコミットメント力
組み立てやプレス回避は最小限にとどめてあげる事で彼の長所がより新しい長所を引き出す。

彼のランニングがあるから、ガビ・マルティネッリの活躍があるのだ。

昨シーズンのニューキャッスル戦

痛い敗戦を喫したチームにジャカは檄を飛ばした。

「試合の準備ができていないのなら年齢にかかわらず家にいるべきだ。この試合が僕たちにとって重要な試合であることは分かっているのだから、こんなパフォーマンスは許されるものではない」

メディアは若い選手たちに逆効果だと非難した。
逆にジャカの発言がなければ、チームにリーダーがいないと揶揄するのだろう。

勿論彼は熱くなりすぎてしまう部分がある。

この前のノースロンドンダービーが良い例だ。
チームは勝ったもののチームメイトを護るために、売られた喧嘩を買おうとした。

アルテタが引率の先生のように彼をなだめる姿は今シーズンのハイライトとなるだろう。


何て言っていたか分からない調べてもいない、想像するにこうだ。
「グラニト。君の気持ちは理解できるが、俺たちは勝ったんだ。サポーターたちとこの喜びを分かち合おう」

彼はジャカの性格の良し悪しをしっかり理解しているからこそああいった場面が生まれる。

若い選手たちにとって、クラブの酸いも甘いも知り経験を伝えてくれる選手は非常に重要だ。後悔、挫折といった感情を人一倍知っているから、彼は檄を飛ばすのだ。

そしてそれをサポートする ミケル・アルテタ

両足裏を向けるタックルを魅せる彼はもういない。
最強のサポーターを一番身近見つけたグラニト・ジャカは私達にどんな物語の結末を見せてくれるのだろうか。私は君が大好きだ。期待しよう。

Congratulation Granit Xhaka

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?