喜怒哀楽+個性=存在感 第ニ章 蜘蛛の糸

仮名 ( かな ) は、漢字から生まれ て発達し洗練されて、仮名の美しい線は墨にありと言われます。仮名の線を連綿遊糸と形容することがあります。

連綿の綿 (わた )が糸となって連なるように続くようすを言います。遊糸は晩秋の空に クモのように細いものが飛んでいるようす、晴れた日に、地面からゆらゆらと立ちのぼる気 (日本国語大辞典) と 説かれています。

クモが自ら吐いた糸に乗って集団移動をする時のクモの糸をゴサマー(gossamer)と呼ぶ。または陽炎(かげろう)とも呼ぶ人もいます。仮名の線は遊糸にみたてて、連綿遊糸と呼ばれました。

連綿

「いろは」から教わりました。 いろは、平仮名です。平仮名の元字は漢字です。例として、「以」から、いらない線を削ぎ落として 「い」としました。筆を使い、書き進めると、わかりやすいと思います。

いろはの漢字
削ぎ落とし
いろは 仮名
伊呂波 の 草書

最初は手首 を柔らかくするための練習をします。 曲線や転折は筆を360度使う。良い筆は尖 、斉、円、健、四つの条件を備え持ったものが、すぐれています。穂先、穂の長さ 、形で書は線で決まる。握り方は柔和に、重みを感覚で運筆し、自在に操る。 楷書の手は太くなります、仮名は動きが速いので、中鋒なら無理なく線を運筆できる。 最初は力みから太くなり7cmまでも、引けず苦戦しました、その時、私の筆を倒そうと「手」が襲いかかって来ました! 誰の手でしょうか?目を吊り上げた 先生でした😡 😂

筆は、軽く握り書きなさい、強いと長い線は引けません。軽く握ることは、長時間、書き続けるため、手首への負担を和らげるため、疲れないための教えでした。軽く握ることを、身体に入れて感覚を覚えなさい。縦棒を、先生は、13㎝以上墨はほんの少しだけ、スーィ、スー ィと、速い!ペースで13㎝以上書き終わりました。 神業 筆を360度使うための練習

筆 360度

墨の線質が、仮名の線の美くしさと品位を追究し、連綿遊糸は人々の心に感動を与えてきました。重量感や深み、弾力、耐久力も必要である。から直径7センチの筆を使用し、2メートルくらいの紙に書いた時は、両手首を痛めました。使い込み、使い慣した筆でも痛めることもあります。澄んだ線、弾力、明るい、味わい深い線を、穂先の長短、筆圧、速度、筆の個性を生かし書体を決める、感覚で覚えて気で書きなさい、つまり、柔和な精神、貪欲な魂、抑揚、探究心を忘れず続けること、日々修練し、誠実に務めなければ上達には繫がりません。

糸のように澄んだ線を、柔和に墨色は美しさや品位を左右する、文房四宝を使いこなし、私の一色を見つけ出し、目的、内容を表現する手段であるための墨色を選択する力を身につけること 鍛えた技法を生かし品良く、美しさを表現する。草書も散らし書きも、時間をかけて身につけていきましょう。

百人一首

百人一首のカルタ、 上のカルタは平仮名で、 散らし書きで書かれています。平安時代 の 和歌 五 七 五 七 七 です。仮名の線を遊糸に見立てて連綿という。自然美のほのぼのした美しさが漂っています。


書は文字の形と線の変化によって、書く人の個性や感情を表現し、線質に芸術性が生まれます。筆づかいの美しさや品位や人間性や 、柔らかさや丁寧さが線質に表れます。鍛錬によって、磨かれた技が滲み出てくるもので、息長く続けていれば、必ず身についてくるものです。そこに、学ぶ喜びがあります。 墨色も書く目的により、青墨色、茶墨色、紫墨色などがあり、濃墨、淡墨の使い分けも重要視されます。 川邊 尚風 著より


百人一首とは百人の歌人から歌を一首集めたものです。四首掲載しました

君がため 春の野に出でて若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 光 孝 天 皇

人はいさ 心も知らず 古里は 花ぞ昔の 香ににほひける 紀 貫 之

めぐり逢ひて 見しや それとも わかぬ間に 曇隠れにし 夜半の月か 紫 式 部


花の色は 移りにけりな いたづに わが身世にふる ながめせし間に 小 野 小 町


草書は、美しく書き上げるためには、筆も弾力があり、曲線や転折を書くとき穂が割れないもの、筆の寿命が長いこと!要は使いかた次第である。書に欠かせない「文房四方」は、墨、硯、紙、筆、のことです。よく見たり、触れたり、使ったりして心を豊かに楽しみ、先生やベテランの方に相談することもよし、自身が納得したものを選ぶのが最終的には上達に繋がります。諦めたらここで終わってしまいます。 静かに呼吸を整え、精神を安定にして、緊張を飲み込みます。続けることが忍耐力を育てることに繋がります。清く澄みきった 筆線が、自由に空を飛び交うようなリズムに筆を動かしましょう。

高野切りを臨書します。最初はわくわくします、学ぶ喜びがあります。散らし書きも手本がありますので、毎日ひたすら、よく観察し集中して、臨書します。お手本どおりに疎密、バランス、墨継ぎはどこでするのか、軽く柔らかく、伸びやかに書けるよう、何十回、何百回修練し、感覚で書けるよう日々努し、 継続は力なりです、続けることが、上達に繫がります。


白雪の ともに我が身は 降りぬれど 心は消えぬ ものにぞありける         高野切第三種 大江千里


散らし書きの作品を書くときに料紙や和紙、唐紙、画仙紙などは、墨の粒子が浸透しやすいと、美しいかすれ線がでます。目的や内容に見合う紙を選びます。世界に一つ、創作作品を書きます。自分の作品は、我儘に、神秘的に、直感を信じ、閃きのままに書きます。潤う雫のように、手漉きの味わいを出し、墨色を楽しみ、自由に存在感を示めし、個性的な作品を仕上げていきましょう。


人はいさ 心も知らず 古里は花 昔の香に にほいける     紀 貫 之


画仙紙も厚みのある、紙面が密な紙と吸収力のある滲みとかすれ、墨色の濃淡について、潤滑を美しく、墨色を考えて筆と紙の、かみ合いが書線の良し悪し、切れ味を感じとれれば一人前である。お手本を臨書し、何度も書いて、何度も失敗した所から、見えてくるものがあります。

手本通りに書くことを臨書、書いてある短歌の意味を考えて書くことを意臨、そして、手本を見ないで書くことを背臨と言います。



古今和歌集巻第十七 より なりひらの朝臣「 灯り」 展示会に出品したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?