星の骸 自動記述実験掌編

墜ちゆく鳥は架空に繭籠められた天使の似姿だ。そのフレスコ画の月天にわたしの星辰は震え、朱に染まった眼という球体の見極める溶けた蝶の屍を手に取り、その姿を君も美しいと言う。落下、そして受胎。落ちてきた生命の源を享受する美しい彼女の口から蛾のような、もしくは蝶のような小さな天使が溢れ出す。そして月天は去り、憎き日が昇る。きみの蒼い頸筋につたう紫水晶の涙は脆く太陽に背き、わたしの頌歌はまた美しい彼女を歌う。死したる太陽。天空の黒点。その孔はキリストの掌の隠喩だろうか?熱の過ぎ去るまでを海岸の墓標を臨み歩く僕たちは太陽の魄を想像し、そこに居る炎熱の神々を咒い、「僕たちは彼らの創造物ではない」と宣言する。僕たちは神々の創造物ではない。今は地下に棲む嘗ての第一天使の人間を拒絶するという倨傲、そしてそれ以降の溶ける生命の黑き針を刺された海から生まれたエディプスなのだ。樹々の溶けゆく時刻が過ぎ、私の炎天は死者の夜となる。星蝕、聖痕、燃焼、墜ちる、月の裏側に棲む兎の眼のような紅き星は死んだ。その星の骸の後を追って僕たちは旅に出る。あらゆる神々が死に、星も既に骸に成り果てたと思え。これが僕の日記の、最初の一頁だ。

滅紫水晶の砕け散る朝、美しい針の受胎者としての僕たちは清らかに夜に向かう。

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