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犬夜叉の原作を一気読みし、アニメ完結編を観た話

先月、少年サンデーで連載されていた犬夜叉の続編アニメ、「半妖の夜叉姫」が2020年秋公開予定な事が発表され、Twitterでは「殺生丸様」のワードがトレンド入りする事態になった。

それに伴い、サンデーうぇぶりで犬夜叉の原作漫画全558話が無料公開されていた。世代過ぎるのと、アニメも見ていたので、短い無料期間をアニメのV6のOPよろしく情熱絶やさずにひたすら読み進めどうにか読み終えることが出来た。そしてその熱冷めやらぬ中、2010年に放送していたアニメ犬夜叉完結編を視聴した。

原作の感想

ある程度まで内容は知っていたとはいっても忘れている部分も多く一気読みしてみたら綺麗に完結しており、非常に面白かった。引き延ばしされている感は否めなかったが人気作品の常だしある程度は仕方ないだろう。
犬夜叉と愉快な仲間たちが旅をし鉄砕牙ぶんぶんして敵を倒していく王道的少年漫画だというのが昔のイメージだったが、少年漫画という以上に男が女へ、女が男へごちゃごちゃ複雑な感情を抱きまくる漫画だと気づいた。
しかしそのごちゃごちゃした感情を他の一行メンバーから「こいつはこう思ってるんでしょう」とツッコミのような形で提示されるため分かりやすく、愛憎うごめく物語にならないのはなかなか面白いと思った。(特にそれが七宝から多いのが絶妙である)
ラブコメしてるのは弥勒⇄珊瑚と犬夜叉⇄かごめ⇄鋼牙くらいなものだろう。感想をいくつか書く。

・ひたすらエンチャントされていく鉄砕牙

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引用:犬夜叉完結編ストーリー第五話「妖霊大聖の試練」より

単なる武器の枠を超えもはや登場人物の一つと言っても過言ではない犬夜叉の刀、鉄砕牙。切った敵の能力を吸収するという性質があるため
必殺技のとりあえず撃っとくか感覚で放つ、風の傷。
浪漫あふれるカウンター、爆流破の他
様々な能力が作品内で付与されていった。

ダイヤモンドの槍を放つが名有り敵には大体効かず、吸収されて敵に使われると強い、金剛槍破
2.3度使われたのち、更により強い結界を貼られ効かなくなり、これまた敵に奪われると厄介極まりない、結界破りの赤い鉄砕牙
妖穴をぶった切れば防御力関係なく倒せるが妖怪ごった煮の奈落には妖穴が無いので通用しない、竜鱗の鉄砕牙
演出が冥界というより宇宙では?な親父の思惑により殺生丸に育て上げられてから頂戴した最強技、冥道残月破

殺生丸になじられるほどにどんどんキテレツな技が付与されていく「一振りで百の妖怪を蹴散らす」刀である。

・部下に裏切られまくり、逃げまくる奈落

突然暗闇の中から顔だけ出たり、体がバラバラにされて結界の中で浮いてたり、ストーリー中盤でイケガワな肉体を手に入れたかと思えば更にどんどん継ぎはぎしていく一行の宿敵奈落、早過ぎる登場の割りには最後まで一貫してボスとして君臨し続けてきたこのキャラクター、私はかなり好きだ。作中ではボスキャラとして君臨しているが生まれて50年やそこいらなので別に劇中世界最強というわけでもないのがまた面白い。強キャラを取り込みまくって自信を強化していくのでどんどん強くなってはいくのだが。

自身の分身が部下であるため、その自我の強さは親(奈落)譲りなのかどいつもこいつも奈落を裏切る。
特に自分が奈落の心臓なのだから自分こそ奈落だととって変わろうとする赤子と魍魎丸は最たるものだ。奈落対魍魎丸の回があった時は(どっちも勝手に滅んでくれ……)と思いながら読んでいた。
裏切らなかったのは夢幻の白夜と毒虫の最猛勝くらいだ。

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引用:犬夜叉完結編ストーリー第十一話「神無の墓標」より

そしてとにかく、奈落は逃げる。ラスボスキャラのわりにアクティブに行動するので用件を果たす→犬夜叉たちがやってくる→用は済んだので帰る
弥勒「みんなさがれ!風穴!」
ブブブブ🐝〜
七宝「奈落の毒虫(もしくは瘴気)じゃ!」
弥勒「くっ!」
犬夜叉「逃げられた」の流れなど何回読んだことだろう。
想定外のことが起きて身体バラバラにされても大体逃げおおせられる。イケメンは死なない。

四魂の玉を完成させるべく暗躍するが、奈落の本当の目的は結局のところ「桔梗の心が欲しかった」という人間臭いところが好きだ。しかも自分の手で桔梗を殺めた以上絶対叶わない願いなうえ、それに気づくのも自身が消滅する寸前なのだが。

・弥勒と珊瑚のラブコメは癒し

桔梗⇄犬夜叉⇄かごめの三角関係と違い、弥勒と珊瑚の関係はスッキリしていてもはや清涼剤感すらあった。珊瑚の尻は撫でるけども。
昔弥勒が口説いていた女と出会い、珊瑚が嫉妬のオーラを放つなど、犬夜叉たちの単純に三角関係とは言えない関係では出来ないラブコメは読んでて楽しい。

終盤、風穴の酷使した弥勒の命を救うために珊瑚が自身の武器飛来骨を犠牲にし、飛来骨を修復するために「私は法師様と生きていく」と飛来骨を基になった妖怪たちに自身の覚悟を伝え、弥勒も珊瑚を救うため、風穴の痛みを感じなくなる薬を服用するのは互いの想いを象徴するシーンだと思う。

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引用:犬夜叉完結編ストーリー第十二話「珊瑚の想い弥勒の覚悟」より

昔から思っていたがやっぱり珊瑚は可愛い。でも今見ると戦国時代にそのボディスーツは無理でしょ。
最終回で子供三人も生んでてびっくりしましたよ……。

・殺生丸

殺生丸一行、良い三人組(時に琥珀もいる)だ。
「それ以上(邪見の背が)縮んだら消えちゃうね」など悪意なき毒を邪見に放つりん
巨大犬へ妖怪化した殺生丸に「あんまり頭良くなさそう」「犬だし…」など割と内心殺生丸へ暴言を吐く邪見は読んでで癒される。

神楽との別れのシーンや「りんの生命と引き換えに得る物など何もない」など、これは私が女性だったら夢女子化まっしぐらだっただろうとくらい熱くて好きなシーンだ。

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引用:犬夜叉完結編ストーリー第九話「冥界の殺生丸」より

特に殺生丸の自身の刀、爆砕牙を得るためには鉄砕牙=大妖怪の父への執着を捨て独り立ちすることなのは分かるが、冥道残月破を育て上げてそれは犬夜叉にあげてね!はいくら殺生丸が純粋な妖怪で犬夜叉が半妖だからってあんまりではないだろうか。爆砕牙がまるでゲーム2周目スタート時のようなチート武器だったから良いようなものの。


アニメ完結編

犬夜叉のアニメは2000年から2004年まで時にアニオリを挟みながら167話放送していたが、原作にアニメが追いついてしまい、物語の決着がつかないまま放送が完結した。打ち切りENDみたいだ…
その5年の時を経て、2009年に犬夜叉完結編として全26話で放送された。原作は2008年に完結していたため、物語のラストまで完結させることが出来たのだ。

しかし、タイトルが変わりこそすれどもその実態は5年休んでた168話目からと言ってもよく、1話からいきなり簡単なこれまでのあらすじすら挟まずに物語が始まる。完結編というよりはアニメ放送休載からの復活といった方が近いのかもしれない。
原作を読んでから観始めたから良かったが、逆だったら「???????」となっていただろう。
しかも何度もアニオリを挟んできたアニメと思えないくらいハイペースで進む。単発のエピソードをカットしたり、原作ではA→Bの流れをアニメではB→Aにする(不自然にならない程度に)などして、どんどんテンポよく進む。1話で白童子が風穴に吸い込まれ、2話で神楽が消滅し、1クール目で原作の後半消えていくキャラたちが次々と退場していく。
しかし原作は一つのエピソードが「長いな……」と感じてしまった分、アニメはほどよく凝縮されて見やすいと感じる部分もある。これは人によって評価が分かれるかもしれない。作画のクオリティは高いので全く知らない人にはあまりお勧めできないが、原作を読んだ人、原作で奈落が新生肉体を手に入れ、赤子と白童子が出たあたりまで知ってるならば観るのもありだろう。そんな限定的な人いるのだろうか……

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続編をきっかけに、今回原典たるこの作品を楽しませてもらったわけだが、読み終わってみるとこの綺麗に完結した作品の続編という存在に一抹の不安を覚えるのも事実だ。
殺生丸様の……娘?果たして……。


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