素顔のフォトエッセイシリーズ03 Rainbow Days~歩夢・しずく・果林~感想
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が二度目の再放送(しかもNHKで)を行い、来季にはラブライブ!スーパースター!!が控えている中でフォトエッセイ第3弾が刊行された。Aqours、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、Liella!!が三つも同時に動いている。僕はついて行けるだろうか。ラブライブ!の世界のスピードに。
chapter.01歩夢編
幼馴染の歩夢と侑。侑と歩夢も少しずつ変わっていくけれど仲良しであることは変わらない。ある日、色をテーマにしたイベントが開催され、今年はピンクであることが決まり、歩夢はスクールアイドルとしてイベントに出てくれないかと打診を受ける。一人でイベントに出ることになった歩夢だが、その日侑は家族旅行の予定が入ってしまう。歩夢は侑不在の中乗り切ることができるのか?
上原歩夢といえば高咲侑、侑といえば歩夢というくらいアニメでも強く結びつく2人。他のメンバーのフォトエッセイでも侑は出てくるが、歩夢に焦点が当たる今回の話では侑もより存在感を増してくる。しかし歩夢編では侑が不在の中で、歩夢は立ち上がることが出来るのか。という壁にぶち当たる。
しかしアニメで自分を応援してくれる存在、同好会という仲間の存在が前に進む力をくれたように。侑のこと大切に思う気持ちはそのままに本編の成長を踏まえたエピソードとなっている。もしフォトエッセイがアニメ化するならばこの話に票を入れてしまうだろう。
一人で立つことの辛さを感じ、果林もこんな気持ちに駆られていたのかなと思い出したり、せつ菜のパフォーマンスにときめいたことを再び思い出すなど、アニメ本編の後日談として良い内容となっている。歩夢視点のモノローグというのは本当に貴重でそれだけでも読む価値がある。
chapter02:しずく編
桜坂しずくは小さいころから昔の映画や小説が好きだった。そして「あの世界の人物だったら?」と空想の世界に浸るのが好きだ。それは今も変わらず。小さいころから友達にもそんな空想の世界の話をした。だがいつからか変な目で見られることに気付いてしまった彼女は自分の心に鍵をかけた。彼女は普通の女の子”桜坂しずく”を演じるようになる。
正直なことを言うならば、私は彼女のフォトエッセイを一番待っていたと言っても過言では無かった。アニメの彼女は言いたいことは分かるがなまじスクスタ他での彼女のキャラクターを知っているがために、「ど、どういうことなんだよ!」と言いたくなる部分も多く色々考え込んだ。それゆえにアニメ時空における彼女の補完としてこのフォトエッセイがとても鍵になるだろうと思っていたからだ。
本章はアニメとは異なるアナザーエピソードと言ってもよい内容で、つい空想の世界にのめり込んでしまうこと、そして周りから変な目で見られることを気にしてしまうこと。そんな自分がバラバラの個性はそのままで一緒に前を向けることが出来るからという彼女がスクールアイドルをする動機が描かれる。
それを聴きたかった!と思わずうなってしまった。アニメのエピソードは演劇部であることもう一人のしずく、1年生という切り口から彼女にスポットが当てられていたが、この章では同好会全体がしずくを大切にしている描写も描かれる。
そして最後の彼女の手記を読み、「そもそも本当の私ってなんだよ!」とずっと頭を悩ませた私はようやく腑に落ちる回答がもらえたような気がした。
chapter03:果林編
モデルとしての活動の中、北海道に2泊3日の撮影会へ行かないか?とオファーがかかった果林。部活に出られないのは寂しくなるけれど、行くことを決意する果林。専属モデルも一緒に行われる撮影会で、スクールアイドルでもあり読者モデルでもある果林は1人何を思うのか
ほんとうに良い女性ですね……。という感想を抱いた。アニメでも読者モデルとして活動している描写はあったが、本章ではそれがより綿密に描かれ専業モデル達の中で精いっぱい喰らいついていく彼女が見れる。そしてモデルとしてのファンを誘惑するような表情がスクールアイドル活動のおかげでスッと出せるようになるなどスクールアイドルとしての活動がモデル活動にも良い影響を与えており、そのまた逆も然りということが語られる。ストイックと自分で語る果林の上昇志向な面だけでなく、方向音痴の部分や片付けが出来ない部分はもちろん描写されるがクールなお姉さんがつい見せてしまう一面として昇華されている。これが本当に上手い
そしてこの人、同好会の皆のことめっちゃ好きじゃん……ということがこれでもかと描写されておりフフッと笑みがこぼれてしまう。
総評すると、リリースされた3冊のこのシリーズ。アニメのアナザーエピソードでもあり、後日談でもあり、更なる補完でもあり、アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のキャラクター性に踏み込んだ3冊だった。推しのエピソードだけでも、いや推しじゃないキャラのエピソードこそ読んで解像度をあげてほしくなる。テキスト担当の犬井さんは今後もスーパースターや虹ヶ咲でも担当を継続されるようで信頼がおける。
一番のオススメは、難しいが宮下愛のエピソードだろうか。
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