R6司法試験 再現答案:憲法

こんにちは。からかさです。
こちら令和6年度司法試験憲法の再現答案になります。
だいぶ論理ガバガバですがぜひご参照ください。


再現答案

5.5枚(3.5枚+2枚弱)
第1. 規制①について
規制①は、ペットショップを運営しようとする者について、その職業遂行の自由を侵害し憲法22条1項に反しないか。
1.      憲法22条1項は、分業社会における社会的機能分担及び職業を通じた人格的発展との不可分的関連性に照らして、職業選択の自由を重要な権利として保障したものである。(薬事法判決)また、上記自由を実効的に保障すべく、同条項は職業遂行の自由も保障したものと解される。
本件事業者らはペットショップという「職業」を選択し、「遂行」していく自由が同条項により保障されているといえる。
2.      規制①により免許制が導入されている。免許が付与されなければペットショップを運営して犬猫を販売することができなくなっている。よって、制約が生じているといえる。
3.     では、上記制約は正当化されるか。
確かに、審査密度を消極目的・積極目的により判断する規制目的二分論もありうる。しかし規制目的は消極・積極では分けきれない上に、規制態様も考慮する必要があるといえる。そこで、二分論は採用できず、①規制の目的と②規制態様から審査基準を定立する(薬事法判決参照)。
まず、規制目的について、法1条は「人と動物の共生する社会の実現を図ること」と規定している。かかる目的は消極ないし積極目的ではない。そして、人と動物の関わり方については専門技術的な判断が要求されることから、立法府の裁量は広いということができる。
次に、規制態様について、免許制は職業選択の自由に対する制約であることから、立法裁量は狭いとの反論が想定される。確かに、形式的には職業遂行の自由に対する制約でも実質的には職業選択の自由に対する制約にあたる場合があり、その場合には立法裁量は狭いものと解するべきである(薬事法判決)。しかしペットショップにおいては犬猫の販売は一態様に過ぎず、犬猫販売の免許を取得せずともその開業は可能である。そうだとすると、職業選択の自由に対する制約には至っておらず、職業遂行の自由の自由に対する制約にとどまるというべきである。
そこで、①目的が正当な利益の保護にあり、かつ、②手段が目的との間に合理的関連性を有するか否かにより判断する。

4.     以下本件について具体的に検討する。
(1)   まず、目的について、動物愛護法の「動物の虐待及び遺棄の防止…とともに、動物の管理に対する…もって人と動物の共生する社会の実現を図る」(1条)の目的に沿ってその特別法として制定されたものとして、「国民の間に動物を愛護する気風を招来するとともに、生命尊重…もって人と動物の共生する社会の実現を図る」(骨子第1)ことを掲げている。そして、ペットは購入するものである一方で、生命を取り扱うという特殊性を有している。そうだとすると、経済合理性のみに着目し、資本主義原理を貫徹すべきではない。そうだとすると、上記特殊性を踏まえて、動物の命を大切にして社会で共生することは正当な利益の保護にあるといえる(①)。
(2)  手段
ア 免許制自体
犬猫の飼養頭数割合が高く、業者による遺棄・大量廃棄や飼い主による安易な放棄が問題になっている。そして、免許制を導入することにより、犬猫を取り扱う業者の数を調整することを通じて流通量を調整することができる。よって、目的と手段に関連性があるといえる。
そして、規制の対象は犬猫のみである。ペットを飼っている人の犬猫の割合は31%、29%だが、これは従来までに犬猫を飼った人の傾向も反映したものである。その一方で、現在は犬猫以外の動物を飼う人が50%近くにも上り、ペットの種類が多様化しているといえる。このような状況のもとでは、犬猫について免許制を導入した場合でもペットショップの営業を継続するにおいて大きな不利益は生じないといえ、利益の均衡が認められる。
したがって、手段と目的との間に合理的関連性があると認められる(②)。
イ 犬猫飼養施設要件(骨子第2の1)
販売業者による売れ残りの遺棄・買取業者による大量廃棄などが横行することで、犬猫の劣悪な取り扱いや命の軽視が社会問題となっている。そして、飼養施設要件は販売頭数に応じた施設の設置を義務付けるものであり、犬猫の体調等に合わせた檻や運動スペース、証明・温度設定についての基準を定めている。かかる基準を設けることで、業者における過剰な頭数の取扱いを抑制することができ、適切な飼養体制を図ることができるといえる。ゆえに、手段について目的との間に関連性があるといえる。
ここで、現行の基準より厳しいため不利益が不相当に大きくなるのではないかという反論が想定される。しかし、この要件は諸外国の制度や専門家の意見を踏まえ、国際的に認められている基準の範囲内で定められたものである。そうだとすると、求められる基準として現段階で相当性を欠いているものとはいえない。ゆえに、利益の均衡が認められ、合理性が認められるといえる。
したがって、手段と目的との間に合理的関連性があるといえる(②)。
ウ 需給均衡要件(骨子第2の2)
そもそも、ペットの多様化の一方で犬猫の飼養頭数割合が相対的に高いままであることにより、遺棄・大量廃棄・殺処分が行われている。ここで、規制すべきは売れ残ること自体ではなく売れ残りの犬猫の不適当な扱いであることから、本要件は関連性を欠くのではないかという反論が想定される。
しかし、日本では生後2、3ヶ月の子犬・子猫の人気が高く、生後6ヶ月を過ぎると値引きしても売れないという状況にある。そうだとすると、限られた期間の子犬・子猫を常に店頭に供給するため、業者としてはどんどん仕入れを行い、結果として売れ残りが生じることになる。このような事情を踏まえると、売れ残りの発生自体を抑止しなければ全体として不適切な処分を減らすことができないというべきである。したがって、売れ残りの発生抑制を目した需給均衡要件には関連性が認められる。
そして、需給均衡要件は都道府県ごとの人口に対する犬猫の飼育頭数の割合や取引量等を考慮して各都道府県が基準を定めるものである。そうだとすると、都道府県ごとに犬猫市場の規模に応じた規制がなされるため、制限としては相当なものといえ、利益の均衡が認められる。
したがって、手段と目的との間に合理的関連性が認められる(②)。
エ 犬猫シェルター要件(骨子第2の3)
そもそも、飼い主による持ち込みの増加は直接的には販売業者のせいではないとして、手段と目的との間に関連性はないのではないかとの反論が考えられる。
確かに、売れ残りを減らそうとする犬猫販売業者による無理な販売も飼い主によるシェルター持ち込み増加の要因となりうることは事実であり、現に収容頭数が現在引き取っている頭数を超えないようにする方策を都道府県から求められている。しかし、犬猫シェルターが制度化されたことにより、飼い主による安易な持ち込みの増加が懸念されているところ、そもそもシェルターへの持ち込みについては無計画な繁殖や多頭飼いなど飼い主の側における問題が非常に大きいといえる。さらに、販売の場面でも最終的な決定権をもっているのは飼い主になる者である側面が大きい。そうだとすると、シェルターへの持ち込みは、このような飼い主に対して働きかけるべき問題であるというべきである。他方で、事業者による持ち込みへの影響は間接的かつ微弱なものにすぎず、要件を設けてその参入を防ぐことで無理な販売を防ぐことについて関連性があるとまではいえない。
5.     以上より、規制①はシェルター要件は22条1項に違反するが、それ以外は合憲である。
第2. 規制②
規制②は事業者などの広告における営利的表現の自由を侵害し、憲法21条1項に反しないか。
1.      そもそも、憲法21条1項は思想・人格の形成・発展に資する権利であるとして表現の自由を保障している。そして、営利的言論も豊かな消費生活を促進し人格形成・発展につながるものであるから、同条項で保障されていると考えられる。本件における事業者らについても、ペットショップの犬猫の広告を行う自由が同条項で保障されるといえる。
2.     そして、本法案により広告において犬猫のイラスト・写真・動画を用いることができなくなる(骨子第4)。ゆえに、表現方法が制約されており、上記自由に対する制約があるといえる。
3.     上記制約は正当化されるか。
制約の強度について、表現の自由に対する制約である以上制約は強度であり、厳格に審査すべきであるとの反論が想定される。しかし、表現の自由の重要性の根拠は意見の表明を通じて自己統治に資する点にあるところ、営利的言論においてはかかる自己統治の価値がほぼ認められない。また、本件規制は表現内容ではなく表現方法に対する制約であり、萎縮効果は内容に対するそれに対して小さいといえる。
そこで、上述と同様の基準から、①目的が正当な利益の保護にあり、かつ②手段と目的との間に合理的関連性があるかにより判断する。
4.     以下具体的に検討する。
まず、本件規制の目的はイラスト等を用いた広告により安易な購入が行われている事態への対処し、もって人と動物の共生社会を実現することにあり、上述の通り正当な利益の保護にあるといえる。
次に、手段について、そもそも規制は不要ではないかという反論が想定される。しかし、イラスト・写真・動画は視覚的に文字よりも影響力が大きく、安易な購入を煽る効果がある以上、関連性は認められるというべきである。
そして、文字情報のみの広告となった場合、広告としての影響力が非常に小さくなり、ひいては営業利益の損失にも繋がりかねないといえる。しかし、広告のその他の手段が禁じられているとはいえない。その上、対面販売において情報提供等が義務付けられていることを踏まえると、結局は対面での交流が必要であり、視覚的接触の機会が損なわれているわけではないと考えられる。そうだとすると、利益の均衡を欠いているとまではいえない。ゆえに、手段について目的との関係で合理的関連性があるといえる(②)。
5.     結論
以上より、規制②は21条1項に反さず合憲である。

感想

問題文を読んで、昨年と違って比較的オーソドックスな問題が出たなあと感じました。
事前の対策としては、答案構成に時間をかけすぎない(最大40分)こと、とにかく問題文中の事実を拾いまくることを意識しました。
再現してみての反省として
規制①
・新規参入者と現行事業者の利益状況を分けて検討しなかった
→一緒に検討するにせよ、体系や相違を意識した論述をすべきでしたね…
・犬猫の飼育割合の事情がどこで使うかわからなかった
・免許制自体の利益の均衡について検討がだいぶ雑になった
・犬猫シェルター要件
→関連性が欠けるとしたロジックは本当に合理的関連性の基準の検討にあったものかと言われると非常に怪しいです涙
・割と手段審査の内容は会議録書写しになった
→審査密度を下げたとはいえ、ここまで立法担当者の言い分を鵜呑みにしてよかったのか疑問が残りますね。

規制②
・実質的関連性の基準にしたかったが論理が出てこなくて合理的関連性の基準に下がったまま
→イラスト等の代替手段がないという意味で内容中立規制の審査密度が下がる根拠が妥当しないという点に触れられていれば…
・前者の基準であれば違憲やな〜後者の基準でどうやって違憲にもっていこうと迷った結果、ご覧の通り訳のわからん論理で合憲に
→利益の均衡が欠けているって点で書けていればよかったなあと思います。
(そもそもここの部分は時間もなく何書けばいいか迷いまくったため、構成
のレベルですら再現度が低いです。)

再現しているとどうしてもロジックの飛躍や無理筋っぷり(特に規制②を合憲にしたあたり)が目について嫌になりますね。
どれくらい点数がついていることやら…

それではまた。

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