ななめぐり手筋・作問のコツ集
ななめぐりはニコリ181号初出のオモパです。
斜め境界ありの領域が特徴で、そのすっきりしたデザインが魅力の1つです。
また、表出記号が境界線以外に無いことから、部屋の形がデザイン・解き味に直結します。
この記事ではななめぐりの手筋・作問上のコツなどを紹介します。
ルール
4つのルールのうち、特に4つ目の「 線は、ナナメの太線があるマスを必ず通りますが、線がナナメの太線をまたいではいけません。」が大きな特徴です。
これにより、部屋間の相互作用が生まれているんじゃないでしょうか。
手筋
ここからは、ななめぐりの主要な手筋を難易度順に紹介していきます。
ルール上、表出記号が数字とかではなくただの境界線しかないため、場合によっては想定よりとっかかりが見つけ辛くなる傾向があると思います。
という訳で、今回は独断と偏見で各手筋に難易度と隠しやすさを付けてみました。
・直角三角形の部屋
難易度:★
隠しやすさ:★
0.5マス分の三角形の部屋は、必ず斜辺で反射するように線が引かれます。超基本手筋の1つです。
同様に、0.5マス三角だけで構成される部屋は線が決まります。
大きくしすぎると入り口としては若干見つけづらくなるので、お好みで端っこ1マスだけ三角にすると見つけやすくなるんじゃないかと思います。
・壁際の斜め線
難易度:★
隠しやすさ:★
壁際のマスにある斜め線はすぐに決まります。
上記の「直角三角形の部屋」と合わせて、易しい問題の基本的な入り口になります。
既に決まったループの線に斜め線を隣接させると、壁際以外でも似た展開ができます。
・1通りにだけ通れる部屋
難易度:★
隠しやすさ:★〜★★
四隅の1マス部屋、壁際の2マス部屋など、1通りにしか通れない部屋は入り口になります。
斜め線を組み合わせて部屋を大きく見せると、どんどん見つけづらくできます。
・向かい合う斜め線
難易度:★
隠しやすさ:★〜★★
斜め線が向かい合っている時、小ループ禁によって線を外側へ跳ね返すように決まります。
同じ構造として、斜め線を向かい合わせずとも、小ループの両端が閉じそうになるところに斜め線を置くことでもできます。
個人的には「ななめぐり感」をお手軽に作れて、コスパの良い手筋だと思います。
・縦横2辺の領域
難易度:★★
隠しやすさ:★★〜★★★
ある部屋の境界について縦横の辺が2本しか無い時、必ずその2辺に線が通ります。
これは
・部屋の境界には入り口と出口で2回線が通る必要がある
・斜めの境界は越えられない
から決まります。
発展系として、太線で囲まれた部屋でなくても同様の性質が成り立ちます。
・三方斜め
難易度:★★
隠しやすさ:★★
斜め線が3つ向かい合っている時、必ず線は外側へ向かうように通ります。
これは内側に線を引くとループが閉じちゃうからですね。
発展系として、斜め線だけで構成されている中に入れない領域も、線は外側を通ります。
・斜め線の予約、鉤形と矢形
難易度:★★★
隠しやすさ:★★★
斜め線のあるマスの4辺のうち、2辺に必ず線が通ります。
この4辺のうち、2辺を"うまいこと"同じ部屋の境界にすることで、どちらかの境界で線が出入りする予約を作れます。
2辺を"うまいこと"選ぶ方法は下の2通りあり、それぞれ「鉤形」「矢形」と勝手に呼んでいます。
1つの部屋の境界は2本までしか線が通れないので、この予約を2箇所作ることで、間の通路を線が通り、それ以外の境界は線が通らなくなります。
かなり見つけづらい一方、部屋全体に影響するヤバい決まり方です。
似た考えとして斜め線にタテヨコに隣接する4マスのうち、最低2マスは必ず線が通ります。
これを使うと、「何となくこの辺りのどこかを線が通る」という予約が発生します。
さらにこの予約を2箇所作ることで、上と同様の決め方を作れます。
個人的にはこの手筋必須の問題はアゼン相当になると思います。
作問のコツ
ここからは、手筋というほどではないですが知っておくと作問時とかに役立つ事柄を紹介します。
・タテヨコ隣接のナナメ線は一心同体
タテヨコに隣接した複数の斜め線は、どこか1か所が決まると連鎖して全体が一気に決まります。
逆に、斜め隣接の斜め線は互いに独立しています。
長い斜め線なんかは各部分で違った決め方を作れます。
・すみっこに注意
作問時にありがちな状況として、四隅で線が通るか決まらない場面がしばしば起こります。
こういった場合の対処法として、隅を通させるなら「斜め線を追加して線を曲げる」や「部屋を分割する」といったパターンがあります。
逆に隅を通させない場合は、「部屋を削る」といったパターンがあります。
好みの展開になるよう、臨機応変に使い分けていきましょう。
・通らないスペースの斜め線
既に線が1度出入りした部屋に斜め線が残っているとき、部屋の外側を通るように線が決まります。
これは非常に強力で、例えば次のように線が決まっている部屋があったとします。
このままだと次の展開としては線の両端ぐらいですが、部屋の形をいじることで割と自由に新しい線を発生させることができます。
最後に
今回ななめぐりの手筋・展開をまとめてみましたが、実は斜め線が絡むものしか載せていないので、他の領域ループ系に共通する手筋ももちろん適用できます(ちょうど2つの領域と接する部屋はそれらの領域と続いて線が通るやつとか)。
もちろん、新しいパズルなので未知の手筋もあるかもしれません。
ななめぐりは領域ありループ系の中では線が制御しやすく、「どうやっても決まらない」みたいな場面は少ないと感じます。困った時は斜め線を置いたら大体どうにかなります。
その小回りのききやすさも長所の1つといえるでしょう。
一方で、境界しか表出がないゆえに、取っ掛かりのステルス能力が高くなりがちな面もあると思います。そういった見やすさと解き味とのバランスをどうするかも、作問上は重要なのかなと思います。