自動車学校に行った話

免許を取りたい諸兄のために書きました。










嘘です。

 免許を取りに行くことにしました。特に何も考えず、自宅から一番近い教習所に通うことにしました。何か違いがあるのでしょうか。MTを扱う機会がなさそうなのでATを選択。MT車に乗る機会が出来たらAT限定解除すればいいかなと思いました。

 免許を取りたいと思った理由は、この時期が思いがけず暇になったことが一番大きいです。いずれ取るかなぁと漠然と考えていて、そしたら大学がオンライン化してしまったので上京する必要がなくなり、意図しないモラトリアム期間を利用して地元の自動車学校の門を叩く運びとなりました。
 以降は、日記になります。2020年の10月~12月に投稿する気なしに書いたものの、もったいない精神が発動したので投稿します。文章の乱れが散見されますが、日記なのでご容赦ください。

1日目

 数人の教習生と一緒に、適性検査と座学を受けた。


 適性検査は脳トレのようなもので、この成績を基に自分の癖、例えばとっさの判断が苦手であるとか、法令を遵守する気持ちがあるかを教官と共有するのが目的らしい。結果がどんなに悪くても免許は取れるそうだ。

この中で好きな絵を選べ、だとか、一桁の加減計算をたくさんする。ぶっちゃけ、解答欄全てを埋めることは出来ないと思う。なにしろ量が多いので……。とはいえ、埋めなくても問題なかった。
 周りの教習生と結果の見せ合いっこをしてみたかったが、知り合いが誰もいなかった。初対面の人と見せ合ったとして、その人の成績がメッチャ悪かったらリアクションが取れないし、そもそも自分の成績が全体のどのあたりにあるのかもいまいち分からないのでやめた。検査結果はA~Eの五段階評価で、十数個のAと数個のBしか無かったので多分問題無いと思う。でも周りの人はオールAだったりするのだろうか。怖い。

 結果には、「おおむね良好だが自信過剰の傾向が~」と書かれていた。

 違うんだ!!免許を取った後のことについて問われたので、知識と経験に裏付けられた自信を持っている(だろうと思って回答した)からなんだ!!

 でもよく考えたら、教習の回数的に知識はともかく経験は積めていないだろうな。反省します。

 座学では、始まりの挨拶すらないことに少し戸惑った。小柄な先生から車の危険性や法律の例外について教わった。
 時々大きな声を出す先生で話し方は少し苦手だが、教習所から世界平和を願う志の高い方だった。
 運転中はシートベルトを着用すること。ただし無理な姿勢にならざるを得ない場合やお腹が大きくなった妊婦などはしなくてもよい。
 同乗者の年齢に応じて、チャイルドシートを使用すること。ただし、乗車定員以内で、使用すべき全員がチャイルドシートを使用すると収まりきらない場合はしなくてもよい。
 飲酒した後に運転してはいけない。これに例外は無かった。きっと、たくさんの人と車が犠牲になってしまったのだろう。

 試験は意地悪で、不合格者が毎回出てしまうのだそうだ。試験練習用のプリントを貰って帰った。

2日目

 オレンジの服を着てオレンジの筆箱を持ってきたのでオレンジの人になってしまった。

 標識の勉強をした。すべりやすいの標識はとっても滑っている。これのストラップをカバンに付けたら小ウケすると思ったが、その行為で既にK点越えのダダ滑りをしていることに気付けたので止めた。運転する前に事故を起こすな。目も当てられない。

 若葉マークや高齢者マークについても学んだ。先生は「このようなマークを付けた車を見かけたら、思いやりのある運転を心がけましょう。」と仰った後、小声で「本当にヤバイ奴は何も付けていないけど」と付け足した。

 この世の真理を見た。その通りである。

 本当にヤバい奴は、自分がヤバイことを自覚していない。ヤバい奴とは、ヤバいかどうかを気にしない奴の事である。


 見せられた動画が古かった。人々が90年代の顔立ちをしているし、車が懐かしのデザインをしている。今とは違う輝きを持っていた。

 今の10代は悟り世代だと揶揄されることがあるが、僕たちは悟りたくて悟ったわけではない。夢を持ちたいに決まっている。それはゆとり世代も同じで、上が決めた教育方針に則っていたらこの様なのでいい迷惑だなと思います、これは大人たちの責任だ。え、そうだよね?
 それでも僕はこの時代に生まれたことを後悔していません。日本で生まれ育った人は誰だって、自分の生まれた時代が一番良かったと思う生き物なのです。良し悪しの尺度は人によって違うのにね。そして、子供たちにこの時代に生まれてよかったと思ってもらえるような世の中にするのが大人たちの責務なんじゃないですか



3日目

 教習の前に図書館に寄って、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの本を借りてきた。待ち時間に、薄暗くなっていく風景を眺めながら少し読んだ。

 今日の記憶が薄い。慣れない教習所の雰囲気よりも眠気が勝った。
 ところで、教習所の先生は全部で何人いるのだろうか。今まで受けた授業はすべて違う人が担当している。教習車も、すべてが稼働状態にあるわけではないだろうが、それなりの数あるし。
 デカい声でビビらすのは初日の小柄な先生だけだ。あとはみんな優しく授業をして頂いている。


4日目

 先生が本当につまらないダジャレを言った時、教室にいた名前も知らない皆の一体感を感じた。遠くに教習車のエンジン音が聞こえる、沈黙だった。そのダジャレの内容は日記に載せるまでもない本当につまらないものなので、載せないでおく。

 薄暮に紛れるようにして、某新宗教の勧誘が教習所出口に居た。お腹が空いていたので勧誘をすり抜けて帰った。
 新宗教の信者と本気で討論したらどうなるか考えたことは結構あるが、自分が勝てるビジョンが見えない。なにしろ向こうの常識は違うのだ。頭の良い人ですらカルト系にハマって凄惨な事件を起こしたのだから、自分なんてすぐに搦め取られるに違いない。


5日目

 授業に積極的な人がいた。受動的かつ無口な生徒が多いことに最初こそ驚いていたが、いざ積極的な人を見てもやっぱり驚いた。そして、本日最後の授業、8時間目にやっと前と同じ先生から授業を受けた。何だか嬉しかった。

 習った内容は、そんなに目新しいものが無い。信号の見方なんて常識の範囲だと思うが、事故を起こして「教えられてなかった」と宣われないようにするためのものだろう。

 帰りに、買う気はないが自販機コーナーに行ったらカップコーヒーが70円から売っていた。ペットボトル飲料も100円のものが多い。どうしてこの安さで提供できるのか。


6日目

 初めて座学以外の事をした。シミュレーターと実車教習の日だった。
 シミュレーターはとても古くて、半分壊れかけていた。ブラウン管がチカチカして画面が見にくかったし、自分の操作で画面が動く訳ではなかったのでつまらなかった。基本の操作・姿勢を確かめるのには十分だけど……。

 実車教習は、比較的新しい車だった。箱庭で助手席に乗って死角の説明や見え方を学んだあと、箱庭の外周をくるくる走らされた。ブレーキの遊びとアクセルの遊びの無さに驚いた。

 教官、お願いだから補助ブレーキに足を置いておいてほしい。助手席で足を組まないで。僕は初心どころか初回なんだ。挙句、大して広くないコースなのに「この直線で40km/h出せ」と宣う。勘弁して。


 車を運転するゲームを時々やっているが、実車に乗ってみると加速度があることで恐怖を感じた。ここでの恐怖とは、視野が狭くなるような感覚と加減速時にかかるGのことで、これがあるだけでリアル感が増す。


7日目

 実車。教習車の助手席で待っていたら、向かいの車庫の前を茶トラの猫が横切って行った。稼働率が高い教習車は暖かいのだろう。
 交差点を走った。方向指示器のタイミングや車の寄せ方など、実施・確認する内容が少し増えた。昨日より少し慣れて、教官とおしゃべりをする余裕が出来た。
 教習が終わるとき、前回はコース脇に寄って教官と場所を交代して車庫に入れたが、今回は車庫手前からクリープ現象でゆっくり走って、教官が助手席から運転して車庫に入れた。一発で。すごい。


8~11日目

 面倒臭くなった訳ではなくて、感じたことが減ってきただけです。

 車を発進させる前に、各ミラー・座席の調整をする必要がある。準備に手間取って、焦って座席をメッチャ倒してしまった。アホ。寝る気か。教官は見て見ぬふりをしていた。

 外周内周交差点の右左折を繰り返す。左側の死角が怖い。

 S字とクランクは、見えないところを想像する必要がある。特にクランクは、ポールに車体前部を当てないように注意する必要があり、前と後ろを良く見る必要があって大変だった。何回も通って、車からどう見えるかを確認した。

 あと、複数人でシミュレーター教習も行った。一人目が電柱の陰から飛び出してきたボールを追っかけてきた子供ごと轢いたのを見て、同じ轍を踏むまいと仮想の住宅街をゆっくり走っていたら教官から急かされた。
 飛び出してきたボールを見て急停止。それを追いかけて飛び出す子供を余裕の笑顔で見送って発進しようとブレーキを緩めたら、ボールを拾った子供が慣性を無視した180°ターンを決め車のバンパーに激突してきてゲームオーバー。これでも僕が悪くなる。ドライブレコーダーの大切さが分かった。

12日目

 今回の指導教官は、やたらと雑談を振ってくる女性だった。自分は、場内の走行にいい加減慣れてきて、雑談をしながらでも特に問題なく走ることが出来るのでいろいろな話をした。アメリカ大統領選挙の話(この日は2020年10月下旬でアメリカ大統領選挙が盛り上がっていた頃でした)や、女性の地元の話が面白かった。

13日目

 みきわめ。つまり、模試的なやつをした。教官の声がやたら小さい。教習車のエンジン音でかき消される。自分も小声で返事をした。特に問題は無さそうだった。何言ってるか聞き取れなかったし。

14日目

 試験をした。50問の〇×問題と場内の走行で測るもので、正誤問題は教科書の通りなので、直前の復習で問題ないと思った。しかし、当日試験を受けた10人の全員が合格した訳ではなかったので、まぁ舐めてたら落ちる人もいるよな~と思った。

 場内を走行するときは、教官の他に生徒複数人(2-3人)一緒に乗った状態でテストをする。自分が一番最初だったので緊張した。特に失敗なくクリアしたので安心した。走行中は、指示以外終始無言だった。静かすぎて怖かった。

次の人が落ちた。一時停止の交差点で止まらなかった。緊張するとやらかすのはあるあるですよね。

受かった。特に問題ないそうだ。次から場外だ!

15日目

 対向してくるロードバイク、頼むから歩道を走ってくれ。左ミラーでラリアットする所だった。というか進行方向左側を走れよ。命が惜しくないのか?
 そもそも教習車に全幅の信頼を置き過ぎじゃないか?こちらは君の生殺与奪の権を握っているが、怖くないのか?

16日目

 教官の、「運転の上手い人はモテるというが、運転の上手さとはドライビングテクニックの事ではなく周りへの気遣いの事です」と仰ったのが印象的だった。車庫入れをしている車を待つため微速前進していたが、教官から止まって待てと言われた直後の言葉だ。接触事故のリスクはないが、煽られていると思われたりする。少なくともいい思いはしないだろう、と言われたので、自分の浅慮さを思い知った。

17日目

 夜間の教習の日に限って、やたらと電灯のない道を走ることになる。非常に不安だった。
 走行中、進行方向の歩行者信号が赤になったのでブレーキを掛けたら車用の信号がすぐに黄色にならなかったので後続車に迷惑をかけてしまった。教官にも怒られた。

18日目

 人通りの多い道を走る練習と称して、コースから外れた道を走った。しかし、平日昼間だったので大して人が居なかった。生活圏内の道路だが、車道から見ると景色がだいぶ違って見えた。

19日目

 バイパス教習。信号がないので、周りの車の流れを見ながら走ることになる。相変わらず複数教習なので、自分の番が終わったら後部座席で外を眺めることが出来る。

20日目

 高速教習。普段と違う車に乗った。普通の教習車と仕様が違いすぎて大変だった。周りの車に合わせて100km/hで走っていたら、80km/h制限だったので教官に注意された。晴れていたし、高速教習の前の座学で、高速でビビって速度を出さない人がいて教習にならないという話をされたので意気込んでアクセルを踏み抜いたんです。ごめんね。
 追い越しや料金所通過などをしたが、運転は兼ね安定していて、注意は一回で済んだ。この教官には、高速教習直後に入れた(通常の)教習で再会し、君は運転が上手だから応援してるよと言ってもらえた。

最終日

 テストをした。95問の〇×問題と、5シチュ×3問=15問のシチュエーション別〇×問題。まぁ暗記すべき所を勉強したらできた。これに合格すると、教習車で検定を行う。直前にルートが発表されるが、以前運転したことあるコースから選定される+コースが地元なので特に問題なかった。自分含め3人で試験を受けるが、一番最初に走ったので緊張している時間は少なかった。
 全員の試験が終わり、教習所に戻った後、教官から総評を貰った。確認の時間が短いと指摘されて肝を冷やしたが、ロビーで合否発表を待機していると、自分の番号が合格していたので嬉しかった。合格後の手続きに関する説明と合格に関係する書類を貰って帰った。二度と来ないだろうから、せっかくなので自動販売機でジュースを買って帰った。


免許センター

 まだ免許は取れていない。というのも、前回受けた試験は「教習所の卒業試験」であって、免許を取るには免許センターで試験を受ける必要がある。基本は卒業試験と同じ〇×テストで、稀に運転の試験が科せられるそうだ。どちらも練習したので問題ない。平日のはずだったが、200人近くの人が受験していたので、会場はなんとなく混雑していた。手続きは収入印紙関係で少し混乱したが、係の人に教えて貰って手続きを済ませ、受験会場に入った。

スマホの電源を切って指定の袋に入れる。さらに筆記用具も机に用意されていた。試験時間は余裕があり、問題を解きマークする時間よりも教室に掛けられた大きな文字盤の時計を見つめる時間の方が長かった。

 ホールに戻ってしばらく待つと合格発表。教習所の試験と大差なく、なんなら満点で合格した自信さえあった。

 会場の半分以上が脱落した。

 そして、合格発表のモニターが点灯した瞬間、歓声(悲鳴の方が大きい)が上がった。

 君たち大学入試じゃないんだからさぁ…

 いや、受験料は有料だし免許センターはクソ立地悪いんだから勉強してから来いって。確かに、免許あるあるで100万回擦られた不条理な問題もあるけど、それにしても半分も落ちるかね。

 そして免許あるある100万1回目、「写真撮影で不気味な顔になる」。僕も例外なく前科二犯フェイスになりました。さようなら。


 ちなみにパスポートはキメ顔です。これはこれで変。

    さて、合格者は免許の交付費用を支払う必要がある。試験前に支払ったのは受験費用だけなので、不合格者は金と時間を呑まれてしょんぼりしながら帰宅するみたい。受付の女性に交付費用の他に交通安全協会(?)の入会金1800円を取られるところだったので気が抜けない。入ったら何の得があるかすら説明が無かったのでこれはマジで不明。ただ、入らなくても全く問題ないと思う。何故なら教習所で習わなかったから。任意保険とかじゃないみたいだし、保険は自分で選びたい。

    そしてまた教室に入る。教室は合格者が談笑していて、なんとなく浮かれた雰囲気が漂っていた。やがて入室した先生から、安全運転をしなさい、なぜなら初心者の事故が多いからだ。とか、免停くらったら面倒だぞ、金も時間もかかる。とか、ネガティブな脅しのお言葉を頂いた。免許貰ってハイテンションのまま事故られたらたまったもんじゃないですよね。


免許を取って

豪雪につきしばらく運転できなさそうです。怖すぎる!!



もやし炒めに肉を入れたいです