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オークス 川田と中内田の忘れ物

明日22日はオークスである。桜花賞から800mも距離が延長し、3歳牝馬には過酷な距離となる。この距離については、ゆりかもめ賞を使ってきたならともかく、桜花賞路線を歩んできた馬にとっては未知である。また、桜花賞はマイルであり、それなりに速いペースに対応していかないといけないが、オークスは距離が長い分、落ち着いたペースにも対応していかないといけない。ということは、折り合いがつかないと最後の直線で既に脚がない状況になってしまう。

今年のオークスは実に混戦である。桜花賞の勝ち馬スターズオンアースから0.5秒差は11着のプレサージュリフトまで、さらに1秒差ともなれば15着のアネゴハダまでとなる。基本前走先頭から0.5秒差なら次走逆転可能、1秒差なら馬券内に入る可能性がある。従って、桜花賞で負けたとしても逆転は十分可能な馬がひしめき合っている状況である。また、フローラS、忘れな草賞の勝ち馬も参戦してくるので、より混戦具合が増してきている。

今年のオークスは、桜花賞馬スターズオンアースの乗り替わりが注目を集めている。この乗り替わりについては賛否両論あった。個人的には忘れな草賞でアートハウスが勝った時点で川田Jはこの馬でオークスに参戦することは予想していた。

アートハウスはパールコードの子であり、川田Jと中内田師にとっては、思い入れの強い馬でもある。パールコードについては、クラシック戦線でフローラSで2着に入るも、連続輸送となり、馬体がかなり減ってしまう懸念から、オークスは回避、その後紫苑S、秋華賞では好走するも、結局は重賞勝ちはなし得ぬまま引退。その第一仔への想いは中内田師と川田Jは強く持っているのだろう。だからこその川田Jの決断である。アートハウスはオークスへの出走に漕ぎ着け、母が成し遂げられなかったクラシック制覇を狙う。

コースと展開考察

東京芝2,400m、お馴染みのクラシックディスタンス。前半は緩やかに下り坂、向正面から3コーナーにかけて一旦登ってそしてまた下る。直線は525mもあり、長く、そして残り300mから坂があり、タフなコース設定である。しかも直線が長いだけに瞬発力も要求される。また、スタートから1コーナーへの進入までの距離短いことから、位置取りはかなり激しくなり、先行を取りたい馬にとって内枠が有利に働くし、また、1コーナーから隊列が決まるまで馬群がごちゃつきやすく、馬同士の接触もあり、そこで折り合いを欠いてしまうこともある。

馬場についてはBコース2週目であり、さらに本日稍重で開催され、内が傷んでいる印象で、各騎手とも内ラチから3頭分くらいまで空けて直線進めている。明日にかけて雨がまだ降るようなので、もう少し馬場が悪化する可能性がある。明日22日は晴れ予想であり、馬場が乾くものと思われるが、その際には内から良化していくものと考えられることから、外というよりは馬場の3分どころを進められる馬が伸びそうなイメージである。7Rに同距離のレースがあり、9Rも1,800m戦であるので、そこで芝の状況を確かめるようにしたい。

ペースは距離が長いことから、一応は遅めをメインとして想定している。確たる逃げはパーソナルハイのみであり、競りかける馬も特におらず隊列がすんなり決まればそのまま向正面をゆっくり進む展開となるだろう。しかし、3歳牝馬にとって初めての距離でもあり、またクラシックディスタンス特有の落ち着いたペースに戸惑う馬もおり、折り合いを欠いた馬がそのまま行ってしまい、パーソナルハイと競りかける場面もありうる。昨年のオークスはスローが予想されていた中、強力な先行馬であるソダシを追いかける形となって多くの馬が好位を取ろうとする中、結局先行勢の折り合いが効かなくなり、飛ばす形になってしまって、後方待機のユーバーレーベンに交わされる展開となった点は意識しておきたい。ここ10年でも前半1,000mを59秒台のラップで刻むことも多くあり、遅くなる、と決め打ちするのは避けたほうが無難だろう。

有力馬の評価

ウォーターナビレラ

前走桜花賞は、内枠先行有利の馬場であったことや、武豊Jの絶妙なエスコートもあり、ゴール寸前まで勝ちを意識させる内容であった。しかし、折り合いを欠くことはなく、スムーズに道中運んでいたことから、レースセンスの高さを証明する形になった。これは2歳時には見られなかったことであり、精神的に大きく成長したことが窺える。今回も先行していきたいので、内枠は歓迎だろう。但し、(内枠に入った馬には全てにいえることだが)スタートが決められないと馬場の悪いところを通らされ、直線も進路を内に求めざるを得ないところは留意が必要。また、長距離で折り合いが効くかは未知数であり、追い切りでもそこは不安材料として意識させられた。

アートハウス

忘れな草賞は圧勝といえる。メンバーは確かに桜花賞よりは劣るものの、道中はインで先に馬を置かせる形で馬込みの中でも折り合いを付けることに専念し、直線抜け出してからは着差を広げる形となった。跳びが大きい馬であることから、広い府中のコースの方が合う。決め手もあり、2,400mを走り切るだけの能力もある。但し、中間の関係者のコメントにおいてトーンが低く、輸送もあり、当日の馬体重には注意が必要なのと、休み前のエリカ賞はやや不可解な負け方で、キャリアも浅く精神面はまだ改善余地があるだけに、その点は割り引く必要があるものとみられる。

ルージュエヴァイユ

前走のフローラSは、先行勢で決まり、後方待機組からすればやや不向きな展開となっていた。ルージュエヴァイユも同様後方待機となり、直線もスペースがなく、追い出しが遅れたことが響いた。ただ、前走の上がりは最速の33秒6をマークしており、持っている瞬発力はオークスのメンバーでも屈指のものがあるだけにここでも瞬発力勝負となれば確実に伸びてくるし、決め手もある。

サークルオブライフ

内先行優位の桜花賞では、最も向かない外枠に入り、かつスローで流れる中、後方から追い込みの競馬となってしまった。それでも上がり33秒3の豪脚を繰り出し、4着に入線する内容は高く評価できるものであった。折り合いには特段問題なく、道中はリズムよく進んでいき、勝負所からの追い出しにはきっちり応え、直線確実に脚を使えることから、出走メンバーの中では完成度並びに信頼度が高い。追い切りもラスト11秒1をマークしており、臨戦体制は整っている。連覇がかかるミルコの闘魂注入に応えられるか。

ナミュール

前走は1番人気ながら、大外枠に入ってしまい、直線も決め手がやや不発となってしまって期待を裏切る形となった。チューリップ賞で見せているように、決め手はメンバー中屈指のものを持っているが、折り合いにはやや難を抱え、この距離についても不安が残る。また、前走馬体重を減らしており、かつ輸送もあることから、馬体重がこれ以上減るのも、マイナスといえる。

エリカヴィータ

前走フローラSを勝利し、権利を獲得。インをつき、粘るパーソナルハイを捉えて勝ち切った点は評価できる。折り合いはなんとか我慢が効く方であり、今回も好位で溜めることができれば脚を使ってくれそうなタイプであるため、軽視はできない。今年のフローラSはそれなりにレベルが高いものであったことから、そこで勝ち切り本番へ駒を進む以上、軽視はできない。

プレサージュリフト

前走の桜花賞は出遅れて最後方からの競馬となってしまい、なす術がないまま終えてしまった形ではあるが、確実に33秒台の中盤の脚を繰り出してくる点からすれば、長く広いコースである府中の方がパフォーマンスを発揮しやすい。クイーンCでは、先行馬優位の速めの馬場であり出遅れての後方待機は致命的な状況ながら、好位で競馬を進めていたスターズオンアースを直線最後で交わす豪脚を繰り出しており、並々ならぬ能力を見せつけている。巻き返しは十分にある。

スターズオンアース

勝ちきれないレースが続いていたが、桜花賞では川田Jの冷静な追い出しによりウォーターナビレラを差し切り本番で勝ち切った。センスがよく、折り合いは抜群につくタイプ。どの位置からでも競馬が出来、距離も対応可能な点からしても総合力は高いといえる。あとは大外枠をどう克服するかが焦点であり、二冠に向けて、最大の試練といえよう。

結論

◎サークルオブライフ
○アートハウス
▲ルージュエヴァイユ
⭐︎プレサージュリフト
△ウォーターナビレラ
△ナミュール
△エリカヴィータ
△スターズオンアース

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