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【ゲーム感想文】『ペルソナ5タクティカ』〜「ペルソナ」らしさの追求が生んだ秀逸なS・RPG〜
評価:★★★★☆
2023年最後にクリアーしたゲームは、ペルソナシリーズの最新作にして『ペルソナ5』(P5)のスピンオフタイトルである本作『ペルソナ5タクティカ』(P5T)になりました。
P5は個人的にも大大大好きなゲームなので、怪盗団の新たな物語、それもシミュレーションRPGと言う事で発表当初から期待していた一本でした。
とは言え、本家P5はハイテンポなコマンドバトルRPGであり、それがS・RPGになる事で「らしさ」が薄れたり、ゲーム自体が間延びしないかと言う不安はもちろんありました。
しかし実際遊んでみたら、ジャンルは変われど間違いなくP5だと実感できる、ハイテンポかつスリリングな戦闘に加え、P5の「らしさ」もしっかり再現されていました。
それどころかP5の持ち味ーー言うならば「ペルソナらしさ」を追求した結果、本作P5Tはこれまでにない斬新かつ秀逸なS・RPGになったと思います。
あまりに秀逸なゲームシステムなので、本作だけで終わらず、システムを流用した新作ゲームも作ってほしいと、プレイ中は常に思っていましたね。
後半のステージが戦術性と言うよりパズル要素が強くなってしまった事、メインストーリーがやや短めである事を踏まえて、自己評価は4/5点(良作)としました。
「ペルソナらしさ」とは何か?
ゲームシステムについて語る前に、まずここで言うところの「ペルソナらしさ」について簡単に定義しておきます。
・敵をダウンさせて畳みかけるプレスターン・バトル
・ペルソナの合体と育成、そしてそのペルソナを自在に付け替えるキャラクターのカスタマイズ
・スタイリッシュで使いやすいUI
・人間の精神世界をテーマにした良質なストーリー
・オシャレでノリの良いBGM
etc…
他にも色々ありますが、本作P5Tでもこれらの要素はしっかり引き継がれており、更に独自の魅力として前述したゲームシステムだけでなく、ディフォルメされたキャラクターのビジュアルと、可愛くコミカルな立ち絵のADVパートも魅力的でしたね。
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戦術性と爽快感を両立させた、スリリングなシステムとステージ
真・女神転生3から始まり、ペルソナらしさのひとつに挙げたプレスターン・バトル。
P5Tは弱点属性を突くのではなく、敵のガードを解除して無防備状態にした後、更に追撃する事でダウンを奪える仕様になっています。
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戦闘は銃による射撃がメインで、フィールド内のオブジェに身を潜めながら敵にダメージを与えるのが基本中の基本。
肉弾戦がメインの日本のS・RPGでは珍しいですが、海外のS・RPGではよくあるスタイルですね。
しかし銃だけではガードを崩せず、敵のHPも中々減らせないので、そこで重要になるのがペルソナの持つ魔法や特殊攻撃。
魔法攻撃された敵は物陰に隠れていてもガードを解除されてしまうため、追撃すると確実にダウンが奪えます。
敵がダウンするとプレスターン・バトルでお馴染みの再行動(1more)が発生し、しかもダウン状態の敵を三人で囲い込むと、ペルソナシリーズでお馴染みのタコ殴り……もとい一斉攻撃が発動可能に。
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P5Tの一斉攻撃は画像の様に三人で囲い込む事で発生条件が整いますが、面白いのはダウンした敵だけでなく、他の敵も囲い込める事。
つまりダウンした敵ごと敵集団を囲い込めば、ガードしていても一気に大ダメージを与えて殲滅できるんですよね。
これにより敵一体一体をダウンさせて追撃させなくとも、敵と味方の配置から逆算して、ちょうど良い位置にいる敵をダウンさせて一気に複数の敵を倒す、というのが基本戦術になります。
なのでP5Tはフィールドの位置取りがとても重要なのですが、味方のターン中はユニットを自在に切り替えて移動や位置調整もストレスなく行えるので、じっくり試行錯誤した後、一気に戦局をひっくり返すのが実に爽快でしたね。
この基本戦術に加えて近接攻撃でのノックバックや、フィールドの高低差による地形効果、敵を高所から落としての追撃など様々な要素が加わるため戦術性は極めて高く、難易度を上げれば上げるほど、歯応えたっぷりの戦闘が楽しめます。
ちなみに標準の難易度は基本戦術と育成をサボらなければサクサク進めるので、カジュアルに楽しみたい人にも安心。
スタイリッシュなのに見やすいUIは今作も健在
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オシャレに動いてインパクトも抜群なのに、ちゃんと見やすいから凄い。
ペルソナと言えば、ビジュアル的なインパクトと視認性の高さを両立させた、職人芸のようなユーザーインタフェース(UI)も特徴ですが、本作でもそれは健在。
更に今作は「革命」がテーマという事で、UIのデザインもそれにちなんだ意匠になっています。
詳しくはネタバレになるので言えませんが、ちゃんと一つ一つにストーリーに絡んだ意味があるんですよ。
コンパクトかつシンプルだが、P5らしい罪と更生のストーリー
最後にストーリーに関してですが、物語の規模としては比較的コンパクトで、ミステリー要素はあれどシンプルな筋書きでした。
物語はP5の後日談で新キャラクターを主軸にした、OVAとか劇場版オリジナルストーリーみたいな感じでしょうか。
それでも人間の精神世界を舞台に、過去の罪とそこからの更生を描くドラマは感動的で、新キャラもすぐに好きになれましたね。
ただストーリーはP5本編を履修済みである事が前提なので、完全に初見の人にはやや分かりにくいのが唯一の難点ですかね。
本作P5TはP5のスピンオフタイトルとしては満点以上の出来であり、またS・RPGとしては既知の要素を「ペルソナらしさ」と言う文脈で組み合わせた結果、とても秀逸なゲームシステムが生まれたと言う事で、これ一本で終わらせるには勿体無いゲームだと思います。
なのでセガ様ATLAS様、このシステムを使った新作S・RPGを是非! 是非に!!
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