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うましき台所帖 第8回 「続けることが暮らしをつくる。齋藤かおるさんと仕込む冬のがっこ」レポート
うましき台所帖とは?
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2022年7月より、秋田市文化創造館の1階キッチンスペースを拠点に開催している料理教室。毎月、講師が代えて開催しています。(2023 年3月までの全9回)ここで学ぶのは料理の手順やコツだけではありません。ともに手を動かし、味わいながら、講師と参加者がともに語り、学び合い、この土地の魅力や生き方をあらためて考える場です。
第8回「続けることが暮らしをつくる。齋藤かおるさんと仕込む冬のがっこ」
■ 講師:齋藤かおるさん(にかほ市 )
■ 日時:2023年2月23日(木・祝)
■ 場所:秋田市文化創造館 1階 コミュニティスペース
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秋田県にかほ市、鳥海山の麓にある横岡という山里に暮らす齋藤かおるさん。山から採ってくる山菜、畑で穫れる野菜など、季節ごとに訪れる自然の恵みを「漬ける」ことで保存し、日々の食卓をつくってきました。
あたりまえに受け継がれてきた季節の手仕事の数々が、暮らしを豊かにするということ。
かおるさんが毎年行う冬野菜のがっこ(漬け物)づくりから学びます。
かおるさんに教わる「がっこ、三段活用」
この日、かおるさんから教わるのは以下の3種。
前半は、ご参加のみなさんとがっこマスターを目指すべく実践していきます!
①がっこ作り初心者でも簡単にできる「大根のゴロゴロ漬け」
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②がっこ中級者向け、米、麹、砂糖、塩でできた万能漬け床「寒麹」
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③がっこ作り上級編ともいえる「白菜漬け」(かおるさんによるデモンストレーション)
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3種を漬け終えたところで、かおるさんお手製のがっこも試食。いろとりどりのがっこに、歓声が上がります。
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トークの時間
【かおるさんの、がっこ歳時記】
私は、にかほ市の象潟町の横岡という集落に生まれて、嫁ぎ先も同じ横岡。ずっとここで暮らしています。鳥海山の麓にあって、集落じゅうに伏流水が流れています。人口は90人くらい。子供は10人くらいの小さな集落です。
今日、みなさんに食べていただいたがっこに使っている野菜や米は、だいたいがうちの畑や田んぼで作ったものです。
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春は、主人が山で採ってきた山菜(わらび、さしぼ、たけのこ、ふき)を塩漬けして一年中食べられるようにしています。
夏は、ナス、キュウリ、ピーマン、ズッキーニ、ゴーヤ、ピーナッツ、ヘチマなんかを育てています。「今年は何を植えようかな」って、毎年考えて。できるだけ新しいものに挑戦したいと思っていますが、漬物はキュウリやナスの浅漬けとか、ナスの奥漬けとか。
秋は、いぶり大根といぶり人参。いぶしはよそにお願いしています。それと、かなかぶ。かなかぶは由利本荘市やにかほ市の伝統野菜で、小さくて細長いカブ。育てる前に焼畑してから育てるので「火野(かの)かぶ」が訛ってかなかぶになったと言われています。
冬は今日みなさんと作った寒麹を漬けます。寒麹は大寒の時期に作ると雑菌が入らないと言われていて、この時期に樽に一年分を作ります。
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【漬物教本】
漬けものを始めたのは、義理の母が病気でできなくなった頃から。義父から「漬けでけれ」って、頼まれたけど、私はその頃、仕事に出ていたので全くやり方がわからなくて。なので、両隣の家のおばあちゃんたちに聞いたんです。
でも、漬物って、一人ひとり違うんですよね。だから、聞いたものをまずは自分のノートに書き込んで、作ってみて、最終的には自分の口に合うものを選んだり、変えていったりしているんです。
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「なすの辛子漬け(浜ノ町の洋子さん)」とか「村本さんから聞いた、長く保存のきくカブ漬け」とか、レシピと一緒に、教えてくれた人の名前も書いて、大根漬けだけでも、「平成5年10月20日はこんな分量で着けました、11月はこういう分量に変えました」とか、美味しかった、美味しくなかったなんかもメモして。
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集落では、誰かがよそで作り方を教わったときに「これだば、みんなさ教へだほうがいいな」と、みんなで集まって作ってきました。
「受け継いでいる」という感覚はなくて、これが当たり前でやっていますね。最低限、私が野菜を作っている間じゅうはは「教えてちょうだい」って言われたら、教えてあげたいと思っています。自分が周りの人から教わってきたようにね。
【あるもので】
主人が蕎麦の栽培をするようになって、私も手伝っているんですが、自宅では蕎麦打ち教室を開いたりもしています。そこでは、できた蕎麦と一緒にみなさんにお膳を出すんです。
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蕎麦の他に、自分で育てたからみ大根を薬味として出したり、育てている野菜を使った天ぷら、主人が作った干し柿、菜の花のごまあえ、お煮しめ……それから、寒天に使っている桜の花びらは、私が通っていた分校に、結婚したときに桜の木を植えたんですが、その花びらを毎年とって塩漬けにしているんですよ。そういった料理と一緒に季節の漬物も出すんですね。
特別、魚を買ってきたり、肉を買ってきたりはしていなくて、山のものとか自分が作った野菜……「あるもので」料理してるだけ。だから本当は、お客さんが来たときは恥ずかしいんですよ。
思わず「まんず、あんまりごっつおねくてごめんなさい」って言ってしまうんですけど、そしたら、ある日食べてくださったお客さんから「体が喜んでますよ」っていう言葉をいただいて。
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それを聞いたら、こういうもので喜んでもらえるんだって思えて。それから、家にあるものにちょっと手をかけて出すことを自然にできるようになって、ちょっと自信が持てるようになったんですよ。
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参加者の声
●漬け方を教わるのはもちろんですが、お話も興味深く聞かせていただきました。そば打ちなど、体験ができる機会があればぜひ参加したいです。
●漬け物のレパートリーが増えてよかったです。いろいろ漬けていきたいと思います。第2弾もまたやっていただきたいです!
●私が小さい頃は、ご近所からお風呂も借りたし、お醤油も借りたし、お米も分けてもらったりした。近所と密な生活をしていた。今はスーパーも、24時間の店もあって、便利になりすぎてるのかもなって思いながらお話を聞きました。
●自分がお客さんを招いたときに「あるもの」で、何ができるだろうと考えましたが、スーパーで買ってきたものしか思い浮かびません。かおるさんの生活との違いを考えて、自分がこれからどう過ごして行こうかなと考えるきっかけになりました。
うましき 台所帖の詳細・今後の開催については、こちらでご確認ください!
https://www.facebook.com/umashiki.kitchen
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