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Unfinished business とMBA留学を決めるまで

今更ながら、アン・マリー=スローター著「Unfinished business 仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント」を読みました。子どもを持って感じる「ドロップアウト」の烙印と焦燥感、自分以外の他者を「ケア」することの喜びと切なさ、、核心をつくポイントばかりでした。(解説を書かれた篠田真貴子さんの紹介noteはこちら

本を一気に読みながら、自分がMBA留学を決めた時の心の流れを思い出したので、書き留めて置きます。

「留学」は社会人になってからずっと頭にありました。よほど英語嫌いでなく業務が忙しすぎなければ、留学のチャンスは若いうちからありました。ただ、結婚・出産などプライベートとの兼ね合いでずっと決断できず、自分の中で考えないようにしていました。(今考えれば、それは「逃げ」じゃなかったかと。)

いざ息子が生まれて始めて、なんと時間がなくなることか、と愕然とします。生み出したいアウトプットに必要なインプットの時間が、圧倒的に足りない。しかし同時に、時間がないからこそ、自分の仕事・キャリアに「覚悟」を持たないといけないという気持ちが強くなりました。そして、いつまでも逃げてはいられない、子どもを言い訳にするのはやめよう、と、家族との調整は最後どうにかするしかない、と、留学準備を始めたのでした。ちょうど夫の赴任(先進国)の噂もほのめかされ、いよいよタイミングが来た、という気持ちでもいました。

しかし、いざ試験が迫ってきた時に、夫のモザンビーク赴任が決定。子どもを連れて自分だけ留学に行こうか、子連れ留学も最近よく聞くし意外といけるかもしれない、という考えも一瞬よぎったものの、やっぱり家族みんなで揃っていたい、という気持ちを抑えられませんでした。また、「モザンビーク」というのも、今回を逃せば一生暮らすようなことはない、未知の世界として好奇心を掻き立てられました。そこでフルタイムMBAで調べた大学が、オンラインのプログラムを持っていることを偶然発見。これならアフリカに行きつつもしたかった勉強ができるじゃないかと、これに賭けるしかない、と受験しました。

しかし、「休職して、夫の海外赴任についていく」と言った途端に、「家族の事情に左右される仕事にやる気のない人」というような印象を持たれるのは否めません。MBAも、当初から目指していたにも関わらず、「休職中のアイデンティティ危機を埋めるためか」と言われたりもして、当初の自分の目標とずれて解されることに、どこか釈然としない気持ちになったりもしました。

ただ、この数年のワーキングマザー生活で自分が学んだことは、「人と違うことを恐れないこと」「表面の評価ではなく、実を取ること」でした。

そして、この「Unfinished business」が説くように、この社会は「競争」第一主義で、自分のキャリアを常に追求することが「勝者」のように見られがちですが、果たしてそれだけで自分はいいのか?と自問自答しました。

ここで強調したいのが、それは決して仕事で貢献したくない・できない、ということではないのです。むしろ自分がよりgiveできるように、留学という選択をしました。ただ、自分の中でもいろんな価値観があって、それを決めるのは組織ではなくて自分でいいんじゃないかと思うのです。

なお、この本では「競争」に対する価値観として「ケア」の重要性を、単なる仕事と家庭の両立に必要な義務としてではなく、社会的に価値のあるものとして訴えているのも、心に響きました。(なお、ケアの役割を担うことが、親個人の成長にとっても役立つものだと、発達心理学等でも説かれています。それは単に「育児でマルチタスク能力が上がりました」のような表面的なものではありません。ちょっと話が長くなるので、追って書きたいと思います。)

未だに、「仕事」と「家庭」をどう両立するのか迷っている人たちが沢山います。(両立、という言葉にそもそも違和感がありますが)とにかくも様々な選択の機会が波のように迫ってくる中で、予め綿密なプランを立てることなど不可能だと私は開き直っているので、軸は持ちながらも、何かあった時に柔軟に、その時々で最善の選択をしていくしかないのではというのが個人的な考えです。それを認める社会の柔軟性がもっとあってもいいし、そういう構造変化が仕事上でも求められていると痛感します。

本に触発されて、振り返りがつい長くなりましたが。テクノロジーが進化している中で、仕事も学びも、もっと柔軟にできる可能性はかなり広がっています。一つの絶対的な価値観を優先する必要性も薄まっています。そこで自分がとった選択肢に誇りを持ちたいし、そのように残りの期間頑張ろう、と思います。

まぁ、正直、モザンビーク渡航後にその苦労を知って、「これなら家族とちょっとくらい離れても、別によかったかも・・・」という気にもなりましたが(苦笑)。なるようになる、というか、なるようにする、のがモットーなので、直感を信じて、最善を尽くすのみ、です。

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