中野で見つけた黒魔術の本を実践したら世界を救うことになった話

現代において黒魔術はスマホの数百倍、実用性がある。

先日、馬越は中野の本屋さんで、一冊の本を手に入れた。
本棚の隅にひっそりと置かれていたその本は馬越を呼んでいるように思えた。

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『魔導書〜護符魔術と72人の悪魔召喚術』

タイトルを口に出してみると、ほぼ「ドラえもんのび太とブリキのラビリンス」であるが、この本は”古代ユダヤ最高の秘儀”が記されたとんでもない本である。
古代ユダヤのソロモンという王様が黒魔術を駆使して、国を意のままにしていたと言われており、そのソロモン王が用いていた悪魔召喚のノウハウがこの本に余すことなく記されている(らしい。)

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この本のすごいところは、悪魔の召喚方法のみならず、かっこいい銀の箱に入った「神秘の魔法円」が付録としてついてくるところ。
帰宅後、すぐに悪魔を召喚することができるのだ。

家電製品で電池が別売りだということに後で気が付いてがっかりさせられることがあるが、この『魔導書』ではそういった心配は一切不要。
ソロモン王はかなり仕事のできる人なんだと思う。


そして馬越は、この魔導書をバイトのシフトも忘れて読み込み、完全にマスターすることに成功した。
それにより悪魔だけでなく、どういった物でも召喚することが可能になったのだ。

例えば、お昼を食べ終わった後、「歯につまったネギが気になる。気になってバイトに集中できない。」という時は、




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こうしてつまようじをその場で召喚することができる。

布を広げるスペースと、大衆の面前で呪文を唱える恥ずかしさに耐えることさえできれば、いつでもどこでも歯に詰まったネギを取ることができる。


他にも、バイトの休憩時間に小腹が空いた、何か食べたいというときは、





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こうして、


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こうだし、


うどんを食べようとしたときに「しまった!七味がもう切れちゃった!新しいの買ってない!」というときも、



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こうして、


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こうである。


このように魔導書を手に入れて馬越の生活は激変した。
日々のストレスが減り、仕事、健康、勉強、部活、人間関係すべてがうまく行くようになった。
進研ゼミと同じ効果である。


そんなある日、馬越はトンデモないひらめきをした。
魔導書では、悪魔の召喚方法だけでなく、悪魔を魔界に返すこともできる。

ということは・・・
試しに家で食べ終わったチップスターを魔界に返してみる。

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やはりそうだ!!
魔導書を使ってゴミを消すことができる!!

それからというもの、馬越は身近なゴミをどんどん消していった。

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小さなものから自宅に溜まったゴミ袋まで。
これでゴミの分別やゴミ出しもしなくていい。

いや待てよ。これは世界を救う大発見じゃないか。
ゴミの廃棄やリサイクルは世界中で問題になっている。
これさえあればそういった問題は一気に解決する!!

その次の日から馬越は近所のゴミをすべて黒魔法で消していった。
町中のゴミを消し去り、リサイクルできずに埋められようとしていたゴミ、山に放置されたゴミなど、計り知れない量のゴミをみごとに消し去った。

馬越の家にはゴミ処理事業者やマスコミが殺到するようになった。
市から表彰をされ、多くの方の協力により、市のゴミ処分の事業を任されるに至った。

馬越はこの世界を救うかもしれない。
世界に名を轟かせ、後世にも名を残すようになるだろう。

そんなある日、馬越は、顔に軽い痛みを感じ、夜中に目を覚ました。
寝ているときに何かが顔の上に落ちてきたのだ。

眠い目をこすりながら電気をつける。
ぼうっとする視界に見えたのは、遠い昔に魔界へ葬ったはずのチップスターの空箱であった。

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