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World Monster Stories 【Episode 1】

「リントヴルム」


世界中で語り継がれる、伝説のモンスターを紹介!「World Monster Stories」。第1回目は、北欧諸国に伝わる「リントヴルム」。

パズドラなどのソーシャルゲームや、カードゲームをやってる人にはご存じの方も多いと思われる、伝わる伝説のドラゴン。ワイバーンやアンフィスバエナと同様、中世以降の紋章にしばしば描かれており、紋章学においては雄々しさや容赦なさを表していたという。

ドイツの自治体ヴルマンスクイックの紋章


主に伝説が残っている国は、ドイツ、オーストリア、デンマーク、スカンディナヴィアなどがあり、その姿は国によって、蛇であったり、ワニであったり、赤い目の怪物であったりと様々。

ドイツでは、蝙蝠の翼に、尾は鏃のように尖り、ワニのように長い頭で鋭い牙を持つドラゴンの姿である。
ドイツにおいて、ドラゴンは8世紀以前に伝わった外来の概念で、ゲルマン民族に元来知られていた地を這う怪蛇と、南方由来の空を飛ぶ竜とが同格視されるようになったのは15-16世紀頃のことだそう。
ドイツでは、白のリントヴルムを見た者には幸運が訪れるとも言われている。

オーストリアでは、クラーゲンフルト市の伝承が有名。川をゆく旅行者を襲ったため、その討伐に懸賞がかけられ、そこで数人で雄牛を鎖につないで餌とし、リントヴルムがそれに食らいついた時、魚のように釣り上げて殺して退治したと伝えられている。

クラーゲンフルト市のリントヴルム像

デンマークでは、「レンオアム」と呼ばれ、「しなやかな蛇」を意味する。スカンディナヴィア元来の竜であり、北欧では元々翼のある竜は知られておらず、シグルズの竜退治を示した『ルーン文字碑』でも、ドイツの『ニーベルンゲンの歌』においても、竜は巨大な蛇の姿で表現されている。

スカンディナヴィアでは、海の怪物をリンノルムと呼ぶ場合が多く、たてがみを備えた馬の頭と蛇の胴をもち、赤い炎のような目をした巨大な怪物であり、船を襲って沈めることもあったそう。
スカンディナヴィアでは特に18世紀から19世紀にかけて遠洋漁業の漁師や水夫や乗客からシーサーペントの目撃も絶えなかったという。

イギリスでは、蝙蝠の翼、尖った尾、長い頭で鋭い牙という姿で、翼を持たないものはリンドドレイクとも呼ばれている。

北欧には、こんな民話がある。

とある国の王妃様にはなかなか子供ができず、悩んでいました。
ある時王妃様の前に魔女が現れ、「庭にある赤いバラを食べれば男の子が、白いバラを食べれば女の子が産まれてくるよ。ただし、二つを同時に食べてはいけないよ。」と言いました。
王妃様はバラを食べたのですが、そのバラがたいそう美味しかったそうで、魔女の言ったことを無視して、二つを同時に食べてしまいました。
その後王妃様は無事身籠ったのですが、いざ産まれてきたのは醜いドラゴンでした。
この醜いドラゴンこそが「リントヴルム」でした。
成長したリントヴルムは花嫁をもらうべく、各国から王女様を集めようとしますが、いずれも拒絶されて食い殺してしまいます。その噂が国中に広がり、どの国も王女様を差し出さなくなってしまいました。
そんな時、遠くの山に1人のたいそう美しい羊飼いの少女がいるという噂を聞き、リントヴルムはその少女を連れてくるように配下の者に命令します。少女の家族はたいそう嘆きましたが、少女は覚悟を決め城へと旅立ちました。
その途中、少女は王妃の元に現れた魔女と出会い、助言を受けます。リントヴルムと対面し、少女はその魔女の助言の通りにすると、リントヴルムはみるみると姿を変え、なんとも美しい青年の姿になったそうです。
やがてリントヴルムは王位を受け継ぎ、竜王と呼ばれ、少女と結婚します。
ある時リントヴルムが戦に出ている時に王妃が双子を身籠っていることがわかり、リントヴルム宛てに手紙を書きます。ですが、少女の成金を妬む手下や、別の妃の恨みを買い、リントヴルムから王妃に戻ってきた手紙は、大きく改ざんされたものでした。
その手紙には「二人の子供をよそに預け、国から逃げよ」というものでした。王妃はひどく悲しみましたがその手紙の通りにします。
しばらく時間のたったある時、王妃はとある山で、王座につく白鳥と鶴を見ます。この二匹に昔魔女に助言を受けリントヴルムにした時と同じことをしました。すると二匹はみるみる人間の姿に変わり、それは王妃の産んだ二人の王子でした。
城に帰ったリントヴルムは、王妃が国を出されたことを知り、ひどく憤慨しました。後に王妃を探し旅に出ると、とある山のガラスの城を見つけます。中に入ると王妃と二人の王子の姿があります。
しかし二人の王子はリントヴルムに王妃を渡したくないため、王妃に「王と私たち、どちらを取りますか?」と、問います。
王妃はその問いにリントヴルムを取るとこたえ、ガラスの城をリントヴルムと共に出て行ってしまいますが、その後二人の王子はリントヴルムと王妃についていくことを決め、4人で幸せに暮らしました。

世界の神話・伝説「waqwaq」より

調べていくうちに、スイスの「シュタイン・アム・ライン」に『リントヴルム博物館』というものがあることを見つけたのですが、中身はあまり関係がないよう…

ただ、名前の由来はやはり伝説の生物からなのかもしれない。


我々の住む日本でも、「竜」として伝わり、広くは「ドラゴン」として伝わる。これだけ世界中に名称こそ違えど、似たような姿で伝わる伝説の数々。これには、何らかしらの共通の意味があるのかも。

ということで、今回は、「リントヴルム」をお届け!
今後も世界の伝説のモンスターたちを特集していくので、お楽しみに~



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