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出し切る、出し尽くす。

ひとつのクラブを長く応援していると、そりゃあいいときもあるし苦しいときもある。

少し気が早いかも知れないが、夏が近づいてくるとあるシーズンの絶望を思い出す。



2017年。


口だけなのか本気なのか、ここ数年ずっとシーズン開幕時に掲げる目標は「優勝」ただ一つ。もちろん、競争なので。優勝を目指すこと以外ありえない。


高い目標に対し、万全の投資。大型補強を経て開幕したこのシーズンはいきなり連勝をマークしたこともあって、かなり期待値の高いものだったと記憶している。


ただ振り返ってみると、この年で最後に浮かれることが出来たのは、ホームの多摩川クラシコで大久保嘉人が勝利を決定づけるダメ押しゴールをぶち込み、手を合わせながらゴール裏に走っていったあの瞬間じゃないか?


この時点でまだ3月。多くのサポーターがこのシーズンの大半を煮え切らない気持ちで過ごしたはずだ。






少し私の話になるが、この時私は高校2年生で、部活もやめてしまった頃だった。

高校生ながら週に4日アルバイトをして、それなりにお金を作ってそれでも行くことのできない試合はあったけれど、なるべくゴール裏に足を運んで力尽きるまで選手を鼓舞することに徹していた。


フットボールに関してはド素人なので、プロレベルの技術的なこと、体力的なこと、戦術的なこと、メンタル的なことに、あまり知見がなかった。


だが、このシーズンの試合観戦を通して感じられたのは、ピッチにいる選手たちが全くサッカーを楽しんでいないということ。


一向に顔を上げない選手たちに、私はゴール裏から何を届ければよいのか分からなかった。






そんなシーズンの中、もちろんいいゲームもあったということを踏まえてあえて挙げたい試合がある。


9月3日。この年の東京を象徴するゲームと言っていいだろう。

ホーム&アウェー方式で行われたルヴァンカップ準々決勝。

2-0で負けて折り返しを迎えた2nd legで5-1で負けた。


https://youtu.be/x4LyOMKiCrw?si=6hbvISLU9gKs7sxl




試合後、選手たちへブーイングすらもない。ここでこのシーズンは終わったなと深い絶望を覚えた。あの日のことは忘れられない。



タイトル獲得の可能性がなくなり、その後はずっとふわっとした試合の繰り返し。

レジェンド石川直宏を送り出すあの日でさえ、スタンドから最も大きく上がった声は社長へのブーイングだろう。






ナオが度々語ってくれた、「出し切る」「出し尽す」という言葉。


今になってすごく響くようになった。


2024シーズンの現時点では、


出し切る選手も、出し切るサポーターも、以前より増えたように思える。


その中には悔しいシーズンを知らない新参者がいるかもしれないし、私が知るよりももっと多くの絶望を味わてきた古くからのサポーターもいるかもしれない。


例えエンブレムが変わろうと、FC東京はFC東京である。


過去に出し尽せなかった想いやアクションは、今いるヤツが出し切ればいい。



だから明日もゴール裏から声を張り上げる。


かちてー。




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