ありがとう地球

いつからだろうか、食卓に並べたご飯を前に目を瞑って、その日に使った食材のオリジンに想いを馳せて感謝してから頂くようになった。

カナダに住んでから99.9%くらい自炊している。外で食べてもお値段の割に感動が少なくて、これなら自分で作った方がいいのではないかと思うようになったから。

母曰く私は幼い頃から味覚が発達していたらしい。実家にいた頃は、祖母から毎週送られてくる新鮮なお野菜とお魚を母がまるで魔法をかけるように、美味しいご飯にして出してくれていたので、大学生になって初めて友達と外食して、外で出されるもののクオリティに天地がひっくり返るくらいの衝撃を受けた。だから今も実家に帰っても外でご飯を食べようと思わず、いつも家でご飯を食べるので、母には友達がいないのかと心配される(それもそうなのだが)。

自分で食事を作るようになってから実は何でも自分で作れるということに気付いた。これまでは買って食べるものと思っていたものも、どこかで作られていて、それは自分でも作れるというのは大きな気付きだった。食材の持つパワーやオリジンにも関心が向くようになった。そして、私にできるせめてものことは一つ一つの食材を一番美味しい方法に調理して頂くことだと思っている。

私が住んでいる街は人口180万人くらいいるので、それなりに大きいのだが、街の外に出れば農地が広がっていて、牛や馬が放牧され、彼らはいつ見ても草を食んでいる。昔、日本で乳搾りの体験もしたことがあって、その時のお乳の感触もよく覚えていて、それもよく思い出す。食卓で頂くお肉や乳製品(私はチーズが大好き)も元を辿ると大地に生えた草が栄養となっていて、即ち地球のパワーを頂いている。つまりは私の身体も地球と一体と思うとなんだか心が震える。

放牧されている牛が道路に出てくることも

一噛み一噛み、食材の、地球の美味しさを味わいながらその力を分けて頂く。大袈裟でなく、なんて私は幸せなんだろうかと思う。このために地球に生まれてきたのかなと思うほどに毎食感動がある。

最近、天候不良と病気の発生で、カカオの価格が年初の3倍以上に高騰しているというニュースを読んだ。学生時代にベルギーに留学して以来、チョコレートの虜になり、以来、自分へのご褒美として何か頑張ったら一粒、二粒頬張るのが習慣。
でも、そういえばこんなに好きなチョコレートのオリジンについてあまり考えたことがなかった。作り方を調べて、早速カカオバターとカカオパウダーを買ってみた。レシピによるとこれらとメイプルシロップでできるそう。

チョコレートの材料

型も必要なので、あれこれ調べていたら沼に嵌ってしまって、もちろん工業大国の大量生産された型もたくさんあるのだが、ベルギーやイタリア等で作られているものもあることを知った。丁度ヨーロッパに出張予定があるので、現地のサプライのお店に行ってみるつもり。気に入る型を見つけてチョコレートを作るのが今の楽しみ。

美しくて美味しい自然の恵みに溢れる地球に生まれた本当に良かった。神様ありがとうございます。