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一貫斎始末記

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幕末の近江、鉄砲鍛冶の村・国友に一貫斎という鍛冶師がいた。時代の流れにより、鉄砲は時代遅れのものに。そこで、一貫斎は鉄砲に代わるものがないか模索を始めるが……。
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#鉄砲

日輪を望む4―一貫斎魔鏡顛末

 又兵衛は、以前に鏡作りの工場にいたのだそうだが、そこから独り立ちをして、今は自分の腕一…

日輪を望む3―一貫斎魔鏡顛末

 盆を手に、火を小さくして隅々まで掃除された鉄砲鍛冶の現場を通り、棟梁・一貫斎の作業場へ…

日輪を望む2―一貫斎魔鏡顛末

 国友一貫斎藤兵衛は、当代随一の鉄砲職人だ。  その名は近江のみならず、全国にとどろく。…

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日輪を望む1―一貫斎魔鏡顛末

【月に届く鏡】 「佐平治様。お仕事終わりに大変申し訳ございませんが、お客様にお茶をお持ち…

鉄の華(くろがねのはな)10

 八日後の朝、ニレの待つ山村は、あの日藤内の様子を見に行った時よりも拓けていた。四半世紀…

鉄の華(くろがねのはな)9

 試射の二日後、「今宵、江戸から客人が来るんだが一緒に話を聞いてくれないか」と藤兵衛が云…

鉄の華(くろがねのはな)7

 食事が終わり、囲炉裏の周りには私と藤兵衛二人になった。 「江戸では、得ることが多かったようだな、一貫斎」  藤兵衛は越後の本間平八から一貫斎の名を継いでいた。湯呑から酒を飲みながらうなずいた。 「今まで通り、藤兵衛と呼んでくれ。村に帰って真っ先に思ったのは、各家から槌音が当たり前に聞こえるということだ。帰参の途中に、そこの日吉様の中の伊都伎島様にもご挨拶をしてきた。なぜか境内の内堀を見た時に、故郷へ戻って来たと実感したがなあ」  国友一貫斎の家から北へすぐ。札の辻を

鉄の華(くろがねのはな)6

【星斗をつかむ】  文政五(一八二二)年の年が明けると、筆まめな藤兵衛は江戸からの帰郷を…

鉄の華(くろがねのはな)5

 この傷が原因で藤内は床に臥せるようになり、三年後の寛政一〇(一七九九)年五月に亡くなっ…

鉄の華(くろがねのはな)4

 大きな音で扉が叩かれたので、作業場の視線がそこに集まった。  藤内様が出発して数日。ち…

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鉄の華(くろがねのはな)3

 こうして、羆(ひぐま)用の鉄砲づくりが始まった。  翌日の晩、その日の作業が終わったの…

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