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「T-34」を見たオタクの記録(ネタバレ)

結論 いい悪役が登場する映画は名作


「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」っていうロシア映画をみてきたよ。このnoteを書いた人は、ガルパン、ヘタリア、艦これ等今まで触れてきたオタクコンテンツの影響で、ロシア軍やソ連については、非オタクの女性よりは、ある程度のにわか。みたのはインターナショナル版じゃなくて、追加シーンのある完全版。「黒騎士物語」が好きなのでドイツ軍贔屓。戦車には詳しくないよ。

コロナウイルスの影響でそんなに人がいないと思って映画館に入ると、めちゃくちゃ席が埋まってた。レディースデイだったからめちゃくちゃ女性が多かったし(リピーターっぽい)や、戦車好きっぽい中年男性、中学生くらいの集団などに囲まれながらの観賞。休日の昼間に一人で見に行った。地方ではこういう映画が公開されるのに、東京と3ヶ月くらい期間がずれるので……東京だと去年にはもう公開していたみたいですね。

事前情報としては、色眼鏡や偏見なしで見たかったので、ツイッターではタイトルをミュートにして(フォローしてる人に洋画好きが多い)、上坂すみれさんの動画と予告映像だけ。
予習としていまさらですがソ連邦」「壮烈! ドイツ機甲軍団 復刻版」を読破した(積読してたのでちょうどよかった)

で、見た。

総評


戦車でドンパチやっているシーンとそれ以外のシーンのメリハリがいい。ストーリー上の緩急のつけ方が上手かった。戦闘シーンもワンパターンではなく、街の構造を利用した駆け引きだったり、不利な状況からの逆転が気持ちいい。
物資もない、使える武器も少ない、という状況で頭を使って一発食らわせるのが大好きなんだ!!!

映画始まっての一発目、壊れた戦車と兵士の遺体が転がる雪の平野で、雪の上に兵士のものらしき写真や、遺品が無造作に転がっている。この情景だけで一気の映画の世界にのめり込める。炊事するための車両で戦車から逃げ切るシーンでは、自分も追われているかのようにハラハラした。と、同時にイヴシュキンが機転の利く切れ物であることがわかる。いい登場シーン。
それに、ロシアの寒村の雰囲気がよく出ている。戦車が学校に突っ込むところは、日常生活が営まれていたことがわかる。細かいところにも拘って制作してくれてありがとう……

で、こういう映画には珍しく収容所の外に住んでいる一般人が出てくるし、恋愛要素もある。平和な田舎を戦車がドカドカ進んでいるシーンは面白い。湖があるドイツっぽい森(語彙力不足)も、ロシアの雪が吹き付ける荒野の画の対比になっている。画面的に見ていても楽しい。後味も悪くないし、エンターテイメント的な映画だったので見終わったあとはリピートしたくなった。
戦争映画が苦手な人でも楽しく見れると思う。それに、犬が死なないのがポイント高いです。

「内臓がちぎれろ!」などの痺れるパンチラインの効いたセリフが笑いを誘う。

(字幕のセンスがいい)(応援上映行きたい)(映画館さん、コロナが落ち着いたらどうですか)(吹き替え版の上映も見たいです)

<ここから細かい話>

まず、音の話

私は映画を「いい音」で見るために県をまたいで映画館に行くくらいには映画を観賞する際の音響にはこだわりがある。地元の映画館では上映されなかったので、少し遠出をして見に行ったおかげで、本当に戦車に乗っているかのような没入感があった。砲弾が貫通するときにスローになる演出のところや、「キーン」と耳がおかしくなるようなところや、戦車が走行するときの地面が揺れる音、最高!!!!

パンフレットを読んで、本物の戦車を役者が実際に操縦しながら演じているというのをしって、すごいなぁと思いました(小学生の感想)

ダンケルクを見た時も思ったんだけど、戦場に実際に立っているような感覚は、映画に没入するためには超大事

ガルパンの時も音に感動したんだけど、この映画は実際に戦車に乗って撮影しているから、車内が煩くて、役者も叫びながら演じている。なので、「実際の戦車の中ってこんな感じなんだな〜」と創作者の資料としても使える。

パンツァーリートを流しながらの演習シーンは

「あッ!ガルパンで見たことある!!!!」

って思って、あとで検索をかけたらみんなそう言ってた。

戦闘時のBGMのダン……ダン……ダン……みたいなやつ(伝われ)もブチあがりますね

補給を受けた街では「エーリカ」が流れているのがまた「ドイツ」を感じる。街の中も石畳でメルヘンな感じがしてかわいいですね。

この質量のある音は、映画館でしか味わえない。円盤を待っている人は、いますぐ映画館で見よう。戦車に乗る感覚は、劇場の環境でしか味わえないので。


登場人物に関して

ここが本題。冒頭にドイツ軍贔屓と書いたけど、いや、今回の敵として登場するドイツ軍、めっちゃいいですね……(大体ナチスって敵役やん)


イェーガー大佐、良………


これに尽きる。最初のタイトルは「T-34で大佐に堕ちたオタクの記録」にしようかと思っていたけど思いの外音の話が長くなったのでやめました。

っていうかみんな、パンフレット見た???最後のページよかったよね……買えなかった人のためにパンフレットはブルーレイの特典にもつけて欲しいです。(あのページはこの映画を見た全ての人間に見てもらわないと気が済まないので)

まず、目がめっちゃ綺麗ですよね??暗い車内で大佐の目だけライト当たってるの、わかってる……

最初の方の大佐は、「典型的な職業軍人の悪役」という感じがするのですが、結構愉快なキャラクターであることが見ているとわかってきます。
部屋の中に変な置き物があったり、車内にグラビアが貼ってあったり、白鳥の湖のシーンではにやけていたりして、ユーモアのある人です(「五分待ってやる」のポーズとか可愛いよね)
戦車に鉤十字の布幕垂らして愛国心アピールも忘れない。
「奪還大作戦」のタイガー戦車の車長とか、「大脱走」の所長とか、敵役として出てくるドイツ軍人はみんないいキャラしてるな〜〜〜〜

「ニコライ」と「クラウス」で名前の語源が一緒!という共通点を見つけてニコニコするシーンなんかはまさにそうで、結構感情の触れ幅が大きくないですか????KAWAII……
戦車を見つけるために低空飛行させてめっちゃ必死に探したり、「軍人なので感情では行動しない」って言っていたのにイヴシュキンを本当に引き抜きに行ってる。確実にとどめをさせるところで、戦車の動きを封じ込むよう指示して、本当に的中させてるのすごいよね。めちゃくちゃイヴシュキンのこと気に入ってるやん。絶対自分の手元に置きたいという「意志」を感じる。

作中で「悪魔」と呼ばれたり、パンフレットでは「鬼将軍」と紹介されていて、実際に有能だし、大佐役のヴィンツェンツ・キーファーさん、目が綺麗で、シュッとしていて、軍服やスカーフェイスが似合っていてめっちゃかっこいいですね。髭生えてた時とのギャップがすごい……中の人の年齢見てびっくりしました。そんな年に見えねぇ〜〜〜〜〜!!!!他の役の時とのギャップ、ヤバ……

パンフレットのインタビューで、

「様々な障壁によって隔たれた双子の兄弟のようです」

と、イヴシュキンとイェーガーの関係を語っていて、「えっ、わかる……」と読んだ瞬間にオタクは死んだ。映画のパンフレットは日本にしかないので、海外のT-34のオタクにも教えてあげて……という思いでいっぱいです。

本当に、大佐の最期のシーンは作中随一の名シーンですね。二人の因縁は、一騎討ちで終止符を打たれる。

まだ一回しか見れてないし、近隣での上映も終わったので円盤を待つしかないのですが、これはあと十回は見たい。吹き替えも見たい(イェーガー大佐はドイツ語をしゃべるので吹き替え版の声優さんはいなかった、無念)し、友人に布教するために上映会もしたい。プロメアにハマった時に好きな映画は見れるときに見るべしと教わったので関西圏で追加上映が決定されたら這ってでも行く……(プロメアの時は東京で用事があったついでに見に行けたのでラッキーだった)

ここまで映画を見た人向けに書いていたけど、まだ見ていない人は上映館が少ないですが、見に行ってみてください。絶対損はさせないので。

追記 二回目見てきました。パンフレットを読んだ後での鑑賞だったので、戦車の内装とか細かいところがよく見れたよ。

他にもT34が出てくる映画を掘ったので、見ます

昼ご飯代が欲しいです