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最初はグー✊でも今は…

昔からジャンケンで一番初めに出すのはグーと決めている。

私は三人兄弟の中間子。
兄と弟の男に囲まれて育った。

年も近い三人兄弟だから喧嘩も日常茶飯事だけど、そんな私たちが何かを平等に決めるため活躍したのがお馴染みのジャンケンだ。

私たち兄弟が事あるごとに揉め出すと母も
「じゃあ、ジャンケンで決めなさい!」

お菓子を選ぶ順番、コップの色を選ぶ順番…
なんでも順番はジャンケンで勝ち取ってきた。

小さいながらにパーは薄っぺらくて弱そう。
チョキでは固いグーを切れない。
だからやっぱりグーが一番強い!
ちょっと安易過ぎる理由ではあるがグーを推していた私。


あまりにグーを出すものだから兄と弟がコソコソと
「ゆりこは絶対に一番最初はグーを出すから、一緒にパーを出せば勝てるよ」だなんて口裏合わせて負かしてきたりもした。

だが、ある夏の出来事をキッカケにグー推しを覆されたのだ。

私が小学校低学年の夏、父と兄がカブトムシとクワガタを捕まえてきた。
当時は今ほど虫が苦手でも無かったし、ペットも飼っていなかった我が家には新しい生き物が家にいるだけで、それはもうイベントだった。

カブトムシといえば図鑑でも
「虫の王様 カブトムシ!」と紹介され
私はクワガタよりも圧倒的にカブトムシ推し。
なんといってもフォルムがかっこいい。

一方、兄と弟は
「クワガタかっけ〜!」と完全に二本のハサミに魅了されていた。

冷蔵庫からきゅうりや食べ終わったスイカの皮を虫カゴに入れて私たち三兄弟はずっと眺めていたの。

寝る前にカゴのフタがしっかり閉まっている事を確認して私達は寝た。

翌朝、私よりも先に起きていた兄と弟が慌ただしくしていたの。

「おい!ゆりこ!大変だ!カブトムシが!」

何事かと思って飛び起きて急いで虫カゴまで走った。

カゴを覗くといつも通りのクワガタと、カブトムシがいるんだけど、、、

様子が違った。

カブトムシの頭が、、、切られてカゴに転がっていた。

小学校低学年の私には衝撃的だったし、二つ下の弟も目を丸くしてあんぐり口を開け驚いていた、、、

父を呼び、朝起きたらカブトムシが…
状況を説明すると父が口をひらいた

「夜中にカブトムシとクワガタが喧嘩して、クワガタがカブトムシの頭をはさんだんだな、、」

それを聞いて信じられなかった。
だって「カブトムシは虫の王様」だもん!
仮に喧嘩が起きても負けるわけない!

でも、目の前で起きた現実は
「虫の王様カブトムシを伏っしたクワガタ」だった。

これは昆虫界の新王者誕生?
ずっと信じてた。
一番強い虫はカブトムシって。
だって王様だもの。

だけど目の前に起きている現実は違った。
幼いながらに信じていたものが間違っていた。
無敗のカブトムシ…

見せつけられる現実の衝撃は物凄かった。

それから私のジャンケンスタイルは変わった。

一番強いのはグー(カブトムシ)だと思って推していた。
仮に負けようが自分が信念を持ってグーを出していたから。

だけど違った。
本当に強いのはチョキ(クワガタ)と知ってから、
私の信念はまんまと寝返った。

今では
「最初はグー、じゃんけんぽん!」
私の右手は迷いなくチョキをだしています。

小学校低学年の頃に起きた私の中の革命の瞬間だった話ね。
あと一つ言うなればカブトムシとクワガタは同じカゴに共存させてはいけないって事だよね。
知らなかったよ。

共存した結果、うちの父と母みたいに離婚になるんだなと。笑
この夏の出来事で色々な事を改めて考えさせられた出来事でした。

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