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何気ない朝(2024年3月21日(木)の300字小説)

 朝起きたときは、まだ人間になり切れていない。低血圧がひどすぎて、朝はどん底なのだ。
 やっとの思いでベッドを出て、コーヒーを淹れる。煙草はやめた。でも、コーヒーメーカから香るコーヒーの匂いを嗅ぐと、少し恋しくなる。
 熱々のブラックを飲みながら、食卓テーブルでボーっとする。夫が新聞片手にキッチンにやって来た。
「あ、さっちゃん、おはよう」
「おはよう」
「朝ごはん食べれる? 卵焼くよ」
「うん、ありがとう」
 ホントはまだ食欲がないが、夫が用意してくれるので有り難く頂くことにする。
 夫の後ろ姿。卵がフライパンの上で焼かれる音。
 窓からは朝陽がキラキラとしている。観葉植物の緑が綺麗に映える。
 何気ない一日の始まりだった。
おしまい

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