最愛(2024年4月11日(木)の300字小説)
最愛の弟を亡くしたとき、私はその喪失感と悲しみを一生飼いならしていかなければいけないという覚悟をしなければいけなかった。
弟を亡くして、15年が経つ。彼の面影は少しずつ薄れていく。あんなに可愛いと思っていた笑顔が不鮮明になっていく。笑い声が思い出せなくなる。それでも生きて行かなければいけないことに、また絶望した。
21年前の今日、彼は生まれた。あの日も暖かく晴れていた。今日も快晴で、私は涙が出てきた。
もうよく思い出せない、弟。ずっと大好きだよ。
おしまい