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コーヒー・モーニング

ロンドンでよく耳にする言葉の一つに「Coffee Morningコーヒー・モーニング」というものがあります。

これは東京の若いビジネスマン界隈で一時期はやった(コロナのせいで下火になった?)「朝活あさかつ」的なやつ。実際にコーヒー飲むのが目的ではなく、参加者がリラックスしてワイワイ交流する時間です。

そういえばGoogleでは「Power Breakfastパワー・ブレックファスト」ていう朝会議や、「Brown Bag Meetingブラウン・バック・ミーティング」という昼会議(ランチドキにするから食べ物持参していいんだが、アメリカのテイクアウトのお弁当箱って茶色い箱だから)がありましたっけ。「Coffee Morning」は聞いたことがなかったけど、これは最近の流行りなのかな。

そういえば、そもそもイングリッシュ・マンはコーヒーじゃなくて紅茶飲むんでしょうという先入観があったんだけど(I don't drink coffee, I take tea my dear !)、ロンドンの街にはコーヒー・チェーンがいっぱいあるわね。



それはさておき、ヨーヨーの小学校では、毎週水曜日の朝、先生と保護者が話し合う「ペアレンツ・コーヒー・モーニング」が定例開催されています。

参加は任意で、各回のテーマは先二ヶ月分くらいが公開されているので、みんなそれを見て興味があるところだけ入ってるみたい。

外部から専門家をゲストスピーカーとして招くこともあれば、がっちりプレゼンを聞く日もあれば、所与のお題に対して皆が自由にディスカッションする日もあります。

私は今は、できるだけ毎週参加しています。Teamsを使ったオンライン開催なので耳だけ参加もできるし、何より現地の保護者の関心事やノリを知ることがてきるのはありがたいです。

たとえば、テーマが「子供を反社会勢力から守る」という回では、最近、喧嘩(?)にナイフを持ち出したティーンの1人が死んでしまったというニュースがあった(離れた地域の事件でしたが)ことをうけて、みんなの議論が白熱しました。

「地元のギャング集団が熱心にティーンをスカウトするのにしてるから気をつけなくちゃ」とか、

「こっそりナイフを持ち歩く子供(いるんか!)に気づくために、学校が抜き打ちで持ち物チェックをしてはどうか」とか、

「社会見学で警察署を訪問して、何かあったら警察が味方になるということを伝えるのがいいのではないか」とか、

いろんな人が案を出す中で、

監獄に社会見学に行ってはどうか」と言った人に対して、チャット欄が、ノー!牢屋はやめてー!(子供に囚人を見せてどうする!)というブーイングでで埋め尽くされてたりして、面白かったです。

Coffee Morningが「毎週」というのは他のOfsted Outstandingの学校とくらべても頻度が高いようですが、このような細やかな情報開示は、保護者としては安心できる一方で、学校サイドの負荷も高いはず。

どうやってるのかなあと思って観察してたんだけど、Coffee Morningも含む(学校と生徒の家族との)コミュニケーションの運営は、アドミンの専門窓口だけに頼るのではなく、クラス担任の先生たちも一人ひとりが役割と主体性を持って関わっている様子です。

そして、それを下支えする仕組みだなと思ったのは、年に数日の|Inset day《インセット デイ》(In-service training day)というものが設けられているのです。別名、TD day(teacher development)、PD day (professional development day)ともいうようですが、その日は、子どもたちは休みだけれど先生たちは出勤して、スキルアップの講習をうけたり、学校の経営について話し合ったりするみたい。

現場の先生たちにも業務の一環として勤務時間内に学びの機会が与えられるのってすごく大切だと思います。だからこそ、学校として主体的に新しいことに挑戦し、取り入れていくこともできるんですよね。

献身的な一部の先生の努力と根性にたよるのではなく、このような仕組みとして公教育全体が前進するようになっているのは強いと、改めて思います。



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