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東急百貨店本店に捧ぐ

渋谷の東急本店が解体されるらしい。

1996年に上京したての時、新歓コンパで先輩に引率されて大学の裏門から松濤を抜け、渋谷ちとせ会館あたりの居酒屋まで歩いた時。車や人の多さに閉口していた中、妙にゆったりした建物があると思ったのが東急本店との出会いだった。

現在の旦那との出会いは実は学生の頃で、彼がその裏手に住んでいたのでよく渋谷で遊んだ。Bunkamuraのエグジビションが好きだった。エッシャー展よかったな、あれはだいぶ最近のことだったかな。

社会人になって裏渋谷で一人暮らしをしていた時期も。屋上のペットショップには、よく雛鳥の匂いに癒しを求めて散歩に行っていた(インコ好きなんです)。

昔は百貨店の上にはペットショップがつきものだった。業態の余裕が失われるに伴い、真っ先に消えて行ったコーナーだけど。

ベビーカーもそこで買った。抜群のカスタマーサービスに感動させられたのは2016年だった。そして、ヨーヨーが乗り物の中でも特にバスが大好きだった2〜3歳の頃は、原宿から代々木公園を抜け、裏渋谷を通る散歩コースの仕上げにレストランフロアでゆっくりご飯を食べ、あの循環バスに乗って渋谷駅に帰るのが、我が家の街散歩の定番だった。

もしや、電鉄系苦しいしコロナで息を止められたのかと思ったが、跡地にはLVMH系投資会社と何か作るらしい。

まあ、老地区化に伴う発展的取り壊しと言えるのか。

渋谷駅前店がヒカリエやストリームという新しい商業施設に取って代わられたのと同様の、代がわりなのか。

ガチャガチャした駅周りとは一味違う裏渋谷のゆったりした空気が好きなので、新しい街を牽引するランドマークに生まれ変わって欲しいな。

最後の「古き良き百貨店」だったような気がする。

なんとなく。すこしさみしい。

東急本店、ありがとう。さようなら。

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