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乱暴な怒声が響き渡る。近所中にブチギレられていることが伝わって恥ずかしい。そう思いながら、それよりもさらに大きな泣き声を響かせる。物心ついた頃には既に母さんはいなかった。父さんと2人で暮らしている一軒家。けれど間違いを犯すと言われそう、「どうせあの家の子供だから」って。

小学生の頃は首から鍵をぶら下げた。そして帰ると殴られて気分を下げられた。殴られた後は家を追い出される。深夜に、もちろん子どもは自分しかいない。通りがかりの人に目を向けると向けられた白い目。新しい母さんが来た時も反抗しなかった。幼いながらに理解した、世の中、お金よりも愛情だって。

殴られる瞬間は体が凍ってしまう。
グラスの氷が溶けて水かさが増している。

人生は上手くできていて、得ばかり追いかけると結果的に損をしてしまう。行動に対しての足し算ばかりで、引き算ができない人は新しい挑戦ができるスペースがないから足踏みばかりしている。まるで前回と一緒の理由でバツ2になったあの人と同じ、同じことを繰り返す愚か者だ。



幼い頃に泣き声を響かせていた姿は無力で、まるで負け犬の遠吠えみたいに思える。今は無口の口下手になった。なぜなら口数が増えると手が止まるから。俺はやりたいことが多すぎて全く時間が足りていない。

有難いことに反面教師が身近にいた。
俺はブチギレる人生よりも頭がキレる生き方を志す。




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