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床屋の経営戦略


最近会社の研修で中小企業の経営戦略を考える機会があったのですが、なかなかうまく考えることができませんでした。ただ、戦略を考えること自体は楽しいなと感じており、もっとうまく考えられるようになりたいです。
不慣れなことは数をこなして慣れるのが大事だと考え、試しにプライベートで利用した床屋の経営戦略を考えてみることにしました。

経営戦略提案のために考えたこと

顧客は誰か

床屋の顧客は、主に男性客です。美容院ではなく床屋を選ぶことを踏まえると、オシャレさよりも清潔感を気にする人々だと考えられます。年齢は幅広く、特に中学生までの子供と結婚して以降の大人がとなります。逆に言うと、恋愛の重要性が高い高校生から30代前半ぐらいの男性は美容院に行くと考えられます。
これらの人々は、わざわざ遠くのお店ではなく生活圏内の床屋を選びます。また、家族と行くショッピングのついでや、予定のない休日など、2,3か月に1回利用する人々がメインと考えられます。

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自社の強みは何か

今回はショッピングモール内やスーパーマーケットに隣接する床屋を対象に戦略を検討します。
この床屋の強みは、美容院と比較して安価であること、早いこと、品質が安定していることがあげられます。また顔そりなどのサービスがあるため、清潔感を保つための高品質なサービスが提供されることに強みがあります。
またショッピングモールの近くということで、立地の面でも強みがあります。買い物を目的にした人々が「ついでに」床屋を利用する機会があるため、独立した店舗よりも見込み客が多いと考えられます。

提案する戦略

まずは来店客数を上げる取り組みとして、近隣のスーパーマーケットやショッピングモールにある休憩スペースに広告を掲載します。これらの場所は家族や夫婦で買い物に行った際、良く男性が暇つぶしに休憩している場所です。これらの場所に広告を掲載することで、暇つぶしをしている男性に対して1時間程度で散髪するという機会を提供することで、来店客数を増やします。

次に、顧客単価を上げる取り組みとして、顔そりやシャンプーなどのオプションサービスの無料クーポンをLINEで配布します。床屋の強みである清潔感を保つためのサービスは、一度体験すると次回も定期的に利用したくなるものです。その1回目のキッカケとして、店内に訪れた人に対してLINEの登録とクーポンの配布を呼びかけます。

最後に、来店頻度をあげる取り組みとして、月に一度LINEクーポンを配信します。髪は定期的に伸びるものであり、ズボラな人ほど伸ばしすぎてしまうものです。これらの人を対象にクーポンを配信することで、来店感覚を狭め、定期的に店舗へ訪れてもらえるように仕掛けます。

まとめると、

  1. 来店客数を上げるために、近隣スーパーの休憩スペースに広告を掲載する。

  2. 顧客単価を上げるために、LINEクーポンでオプション無料クーポンを配布する。

  3. 来店頻度を上げるために、月に一度LINEクーポンを配信する。

これらの取り組みを実施することで、売り上げを向上させることができます。

調べたこと

上記を考えた後にネットを調べてみると、H24と少し古いですが、厚生労働省の「理容業の実態と経営改善の方策 P.35」には以下のように記載されていました。

サービスの見直し及び向上に関する事項 営業者は、それぞれの店の立地条件及び経営方針に照らし、営業日及び営業時間を見直すとともに、 精神的な癒し(リラクゼーション)のための店内の雰囲気作り、接客技術の向上、毛髪や顔そり後の肌の 手入れ等の知識の提供など、顧客の立場に立ったサービスの見直しに努めることが必要である。 提供するメニューについても、目標とする顧客層に応じて、主として若者を対象とした新しいヘア スタイル、毛染め(カラーリング)、男性向けネイルケア等のファッション性を重視するメニュー、女性 向けシェービング、美顔を含めた身体全体のエステティック等肌の管理を重視するメニュー、シャン プーと頭皮ケア等の育毛・スキャルプトリートメント、アロマセラピー等のリラクゼーションメニュ ー、中高年齢者向けのヘアカウンセリング等のメニュー、高齢者を対象とした福祉理容の出張サービ ス等のメニューなど、顧客の要望と自店の経営方針に合ったメニューの見直しや開発を行うことが望 ましい。また、クールビズヘア、冷シャンプー等の社会性を配慮した新たな取組について利用者にア ピールすることも考えられる。

riyou_housaku.pdf (mhlw.go.jp)

「髪を切る」という手段を売るのではなく、肌の手入れなどの知識も提供することで「清潔感を保つ」というサービスをトータルで提供するという目線かなと思います。また、ヘアカウンセリングなどの提供は店員の質に左右される取り組みのため、他店との差別化にもつながりそうです。

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