『君たちはどう生きるか?』所感

公開2日目。TOHOシネマズ新宿。レイトショーで鑑賞。ほぼ満席。

作品が始まってしばらくは「流石に絵が綺麗だな」「主人公の所作(靴を履くところ/着替えるところ)が細かいなぁ」とか絵の美しさで気持ちが上がるものの、話の展開がゆ〜っくりな割に、動き出すきっかけ(青鷺が人間の言葉を話し出す)はあまりにも突然で、且つ急にファンタジーを入れてくるから、途中からついていけなくなる。後半盛り返してくれるかも?と期待して見届けるも、結局は山場を迎えることなく終わった。エンタメ的観点で言えば歴代の宮崎作品の中でワースト。『かぐや姫の物語』という傑作を残した高畑勲とは対照的な結果になった。

期待値で言えば、『スラムダンク』の方が遥かに高かったはず。だけど、あちらはきちんとハードルを超えてきた。満足度は人に寄るにしても、少なくとも"納得"できた。それに比べると『君たちはどう生きるか?』はただただ「よく分からない」。見終わった後に???だけが頭の中に残る。『2001年 宇宙の旅』のように作品として高尚過ぎて理解できなかった訳ではないと思う。単純に力を感じなかった。パンフレットも欲しいと思わない。同じアニメーション映画で言えば『すずめの戸締まり』の方がよほど力がある。こちらの場合は、作品を見終わった後に、監督の意図を知りたい。日本史を勉強したいと、見終わった後の行動にまで影響を与えてくれた。

上映途中でトイレで席を立ったときに観客の表情をチェックしたら、意外にも皆、作品に集中していた。退屈してる様子はない。スマホをいじってる人は1人も見つけられなかった。上映が終わって帰り道の観客から聞こえてくる感想は「思ったよりも面白かった」「面白いは面白い」と前向きで、映画サイトのレビューも悪くない。「この作品は宮崎監督がやりたいことをやったんだと思う」的なコメントには共感する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?