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無用の人

原田マハさんの短編小説集
「あなたは、
 誰かの
 大切な人」
の中から「無用の人」のお話しを書きたい。

少し内容を…

自分の50才の誕生日
2ヶ月前に他界した父親から職場に宅配便が届く。
荷物の住所に心当たりはなく、
中身は鍵が1つだけ。

と言うシーンから始まる。

両親は熟年離婚をして、父の死に目にも会えていない。

両親の回想シーンでは

 父親は家庭の事情で大学を中退し、スーパーマーケットに勤め同僚だった母親と結婚する。
母親は出産を機に専業主婦となり、出世しない旦那を疎み始める。
「愛想もなく地味で気が弱い。だから出世できない。無能な人」と娘に愚痴る。
娘は母親からの影響を多分に受ける。
「お父さんはダメな人」のイメージの出来上がりだ。

ある日、父親の手垢にまみれた汚い本を盗み読む。
「茶の湯」に関する本。

おのれの存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、
他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである。


西洋人に日本の美の真理を教えるための美学書であり、哲学書。
主人公の感想は
「この筆者が生きていた時代には、
確かに真実だったかもしれない。
だけど、美意識っていうのは、時代によって変わっていくものなんじゃないか。」だ。

この本を読んだ影響で、主人公は現代芸術を学ぶ道に進み、美術館の学芸課に務める事になる。

父親が一度だけ主人公の職場の美術館に訪ねて来た時、父親が立っていたのが画像の
「マーク・ロコス」の絵だ。

原田さんのその様子の描写は相変わらず素晴らしい

ロコスの作品を見上げた。茜空に吸い込まれるようにして。

娘が幸せを確信する父親に
「どうしてそう思うの?」と尋ねる娘。

だって、こんなにうつくしい絵に、毎日触れてるんだから。幸せじゃないか

とても単純な言葉だったが、そこには、やはり真実があった。

真実は時空を越えるのだろう


ラストは心を震わせる。

美しいものを愛でる心を持った父親と娘が繋がるシーン🌸

主人公は大人になるにつけ、父親は
「無能な人」ではないが、
母親や社会には「無用の人」だったのかも知れない。
と思うようになる。

なかなか厳しい言葉だ。

しかしこう言うことはよくあるのではないか?

私の夢分析に出てきている。
「優しすぎる罪」
に通じるストーリーで、感動とともに何ともいたたまれない気持ちに襲われた。

私はこの「優しすぎる人」と今までどう接して、これからどう向き合うのか。

もう、そろそろ夢は私に答えを見せてくれるだろうか?


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