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イギリス総選挙2024結果

イギリス総選挙2024結果(7/6最終結果)は以下の通りです。

(総議席数 650 内訳)
 労働党 412
 保守党 121
 自由民主党 72
 スコットランド国民党 9
 シン・フェイン党 7
 リフォームUK 5
 グリーン 4
 他 20

以下に今回の選挙結果の分析とその背景を探ります。



それは「パニッシュメント?」


「We did it!(やった!)」

新しいイギリス首相キア・スターマの第一声でした。14年の保守党のカオス的な政治の後に、労働党党首:キア・スターマが、本日(7/5)イギリス首相に任命されました。4日の投票日の夜中には、労働党勝利ニュースが流れたほどの大勝利。

650議席のうち、過半数を大きく上回る412議席を獲得。それに対して、保守党は251議席を失い、121議席しか獲得出来ませんでした。
 
「I’m sorry.」
今は前首相となってしまった保守党リシ・スナックは、あまりの悪い結果に、国民に謝ることしか出来ませんでした。著名なコメンテーターが、この選挙は、保守党の政治に怒った人々の「パニッシュメントだ!」と分析。つまり、このカオス的な社会に対して、誰かに責めを与えたい人々の気持ちを反映していたと。
 
驚くべきことは、保守党の大物政治家が、次々に落選したことです。元首相のリズ・トラス、未来の首相候補のペニー・モーデン、保守党の重鎮:ジェイコブ・リス・モグ等々。現役の閣僚12人が落選という信じられない結果となりました。
 
イギリスの選挙はとても残酷です。結果が出ると、首相はすぐにその座を追われます。そして、その後すぐ、選挙に勝った党の党首が、直ちに王様によって首相任命されるシステムなのです。
 
労働党が圧勝ですが、票の動きを見ると、保守党が大きく票を失ったように見えます。
 
その理由の一つは、リフォームUKという、極右政党を立ち上げたナイジェル・ファラ―ジ(前ブレグジット党党首)が約411万票により5議席を獲得。この党から、保守党の票が奪われたような形になりました。
 
イギリスは4つの国から成り立っています。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド。
 
スコットランドはSNP(スコットランド国民党)が多数を占めていたのですが、今回はかなりの議席を労働党に奪われてしまいます。38議席を失い9議席しか残りませんでした。
 
ウェールズは保守党の席を全て失いました。
 
北アイルランドは、オリジナルの小さな党があり、他の地域とは少し状況が異なるのですが、シン・フェイ党が議席を伸ばしました。この党の政策は唯一つ「アイルランド統一」です。
 
とにかく、イギリス国内には、ほっとしたような空気が流れています。悪夢のような保守党政治がやっと終わったと。
 
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以下は以前書いた記事を、まとめ、さらに加筆したものです。ここに至るまでのイギリス背景を書いています。労働党が勝つことはかなり以前から予想されていました。どのような背景だったのかをもう一度追ってみます。

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