見出し画像

韓国ドラマの繊細さ、日常を丁寧に描き泣けるヒューマンドラマ5選

❸ナビレラ 나빌레라(2021)


いつからでも何歳からでも遅くない、その努力する姿に背中を押してもらえる再生ドラマ

踊りに夢を見出した70歳の老人と、才能あふれる23歳の青年。厳しい現実に直面しながらもバレリーノを目指す2人の間に、やがて強い絆が芽生え始める。
引用元:Netflixドラマ『ナビレラーそれでも蝶は舞うー』より

回を追うごとに主人公2人を応援し、どんどん引きこまれていくドラマ。
最初はこんな設定あり? と感じていましたが、俳優陣の演技力、繊細な演出で感情移入していき、中盤からあたたかな涙がとまらず、最後は号泣でした。

老人ドクチュルは長年の夢を迫う、青年チュロクは挫折からやり直す。
そんな2人はマネージャーとダンサーのようでもあり、弟子と先生のようでもあり、ファンとスターのようでもあり、励まし、守り、いたわりあいながら、まるで家族のように絆を深めていく。
その過程が本当にあたたかく繊細に描かれていて、改めて韓国ドラマの表現の深さに感銘する。

主人公2人の周りの人があたたかい。
特にドクチュルの妻や息子を筆頭に、優しく、誠実で、正直な人に囲まれ、人を信じること、ひたむきに何かに向き合うこと、そのなかで自分も変わっていけること、そして希望を持てること、見ている側も同じように感じられて涙が止まらない。
年老いていくことにも。

1.主人公2人の見た目の差の演出と俳優の演技力がすごい

ソン•ガンの身体のバランスが驚異的、2人のビジュアルで和む
おじいちゃんの身体のバランスも和む


ソン•ガン(チュロク)は、顔、身体のバランス、踊り、全てが驚異的に美しく、3Dなのか?とも思えてくる生身の人間に思えないビジュアル。
踊っている姿をみたら、老若男女関係なく引きこまれてしまう映像で、圧倒的な画力でした。
少年のようなピュアさとダンサーとしての力強さ、身体からも表情からも、演技からも伝えられる、こんな俳優が韓国にいるなんて、これまた韓国の凄さを感じてしまいます。

パク•イナン(ドクチュル)はこの時すでに数え年77歳。
主演はこのドラマが初らしいですが、実直に生きてきた役と本人がシンクロするほど自然な演技で素晴らしかった。
チュロクへの愛が、
憧れの尊敬するバレエダンサーを応援するファンであり、
可能性を信じて応援し続ける本当の家族のようであり、
一緒に練習し支え合う友人のようであり
上から目線の年寄りじゃなく、とにかく応援して支えてくれる、そんな関係性を可愛らしく優しく演じていて、こんなおじいちゃんいたら理想!と誰もが思うはず。

チュロクを虐める同級生ホ•ボムに
「君に侮辱されるような人間じゃない」「今後大きく羽ばたく人なんだ」なんて、言っているのを聞いたら、孤立しているなかで応援してくれる人がいる希望を見出せます。

相当バレエを練習したと想像できるほど、お2人ともバレエの姿が決まっていたので、その姿も役柄とシンクロしてリアル感がありました。

2人の発表会のシーンはバレエシーンの集大成

2.ドクチュルによって変わる周囲の人の変化

まず、1人目はもちろんチュロク。
才能はあるのに、あきらめざるを得ない環境で希望を見出せなかったチュロクが、ドクチュルの支えによって変わっていく過程と絆が泣けます。

チュロクもドクチュルも忘れたくない思いに泣けるシーン

2人目はチュロクの同級生ホ•ボム。
夢を諦めるしかなったのはチュロクと同じ。
ドクチュルのように支えてくれる人がおらず、チンピラ風情になってしまったけど根は純粋。
チュロクとドクチュルを見て変わっていく姿に希望を感じさせてくれる。

そして、ドクチュルの家族達。
長男、長女、次男、孫娘。
最初は父親がバレエをやるなんて恥ずかしいと公言していた家族も、ひたむきな父親の姿を見て「やりたいことをやろう」と変わっていく。

封建的だった長男は自分の娘に、
『舞台に立つ父さんを見て、お前のことを考えた。やりたいことをすれば、ああやって笑顔になるかなって』、ごめんと謝る。

子どもを産むのを諦めることを決めた長女は、
『父親がやってくれたように子どもしてあげたかった、でもこれで良かった、子どもじゃなくて父さんに返せるから』、『文字を忘れたら私が教えてあげる』と泣きながら伝える。

自信をなくし突然病院を辞めた医師の次男は、
少しでも長く父親と過ごせる時間を過ごしたかったと、父親のバレエ姿をドキュメンタリーで撮っていく。
そしてそんな父親の姿を見て、患者のために病院に戻ることを決意する。

もちろんこの家族には気が強くて理解力がある優しい母親がいて、だからこそこんな風に変われる人間性をもった人達がいるという背景。
ドクチュルとの夫婦の姿、夫婦愛、これまた泣ける。

この写真を見ながら泣くドンチュルの姿にまた泣ける

3.年齢をとること、希望と現実を描く脚本

演出は『元カレは天才詐欺師』と『バッドガイズ2』のハン・ドンファ。
脚本は『愛の迷宮』のイ•ウンミ。
ヒューマンドラマが主軸の2人ではないのに、こんなに繊細にあたたかく描けるとは次のドラマも楽しみ。
展開がうまく変わっていく感じはさすがでした。

友情や家族愛、夢を追うひたむきさ、だけじゃない。
根底には年老いていく虚しさがあるからこそ、やりたいことをやる、の深みが増していく。

今までひたむきに生きてきたのに、と思わせるこの姿に涙が止まらない

4.言葉がなくても伝わるOST

たくさんの感情が交錯し、勇気をもらえる素晴らしいドラマでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?