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ボカロP、作曲と批評。消息不明音楽を作っています。 https://www.ukiyojingu.com/

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    2000年代インターネットと初音ミクについて

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初音ミクの表皮——ボーカロイドの15年から見る「初音ミク」と「私たち」

(約27,000字) 本企画はobscure.さん主催の、ボーカロイドに情緒を破壊されている人々による企画「#ボカロリスナーアドベントカレンダー2022」の15日に投稿したnoteです。うきよさんはメイン枠に出遅れたので、ゆるめ枠の12月15日に参加しました。私もボーカロイドに情緒を破壊されつくされているので、そんな思いがいっぱいな長文が以下に続きます。休み休み読んでいただければと思います。 はじめに2022年11月17日に紅白歌合戦の出演アーティストが解禁されたとき、そ

    • 都市の摩擦熱——近代と前近代がもたらすもの

      (約7,000字) はじめに 2022年の夏、私は京都から大阪の泉北ニュータウンまで通う日々を送っていた。午前6時に起床し、朝食をとり、メールを確認して大阪へ向かう。泉北に到着するのはいつの間にか9時頃だ。用事が終わるのは18時ごろで、そこから京都に戻ると20時を超える。すでに9月11日に音源のリリースが控えていた自分はその準備にも明け暮れ、あっという間の夏だった。とはいえ、2時間超もの時間をかけて向かう土地の風景はやはり新鮮で、ニュータウンの区画整備されたその風景は、以前

      • 全く異なる思考をするあなたへ――「思考実装#10」にあたって

         この曲は9月に作ったが、気づいたらもう3か月も経過してしまっていた。今日も私は京都の6畳間から音楽を作り、写真を撮影し、それを電波に流している。今日は今年の冬になって初めて雪が降っているのを目にし、季節が変わっていることを身に染みて実感した。寒暖差の激しい盆地にあるこの都市では、数年に一度大雪で数十センチほどの積雪さえ起きている。私は自室から見えるそんな京都の都市を、数週間前に買ったミラーレス一眼で撮影し、そして毎日、Twitter上で更新している。写真とは動態的都市の断片

        • 美術の地層を巡って——「すべて未知の世界へ:GUTAI 分化と統合」展感想

          (約4,000字)  先日にスペースで都市についての話をしてから、意識するように都会の景色を眺めるようになった。近代建築が数多く残されている大阪のビルを観察すると、一方で昔ながらの景観を保ちながら、他方で昔ながらの外装の上からまるで生えてきたかのように巨大な摩天楼が建築されていることが分かってとても面白い。中之島美術館に向かう連絡橋にかかる「中之島ダイビル」も、モダン建築のような低層の上に、まるで増築されたかのようにガラス張りの建築が生えている。日本有数の土地面積の狭さを誇

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          集合体への諦念・リアルな景色——「思考実装#9」にあたって

           ときおり、突然海を見に行こうと思うことがある。大学受験のとき、どうしても海を見に行こうと思い、朝から新快速に乗って福井県の敦賀まで行ったこともあった。結局、海は見られなかった。あの頃はまだ自由な行動もできなかったから自由に図書館に行くこともできなかったものだが、一人暮らしを始めた今では自分の裁量でどこまででも行ける。不意に大阪湾に向かったり、あるいは京都市内からは遥か彼方にある須磨まで行ったりしたこともあった。この文章を書いている今、私は快速列車に乗りながら、神戸と姫路の間

          神を殺した先の光景は何か——多量の飴『反復する日々の中で、神さまを殺そう』について

          (約10,000字) はじめに 10月7日から開催されたボカコレから、気づいたら数週間も経った。私はといえば、ボカコレで公開予定だった4本の動画のうち2本を11月に回し、その分だけ他の人の作った動画も見に行こうと思い、ハッシュタグを通して自薦/他薦問わず、足跡を付けてくれたボカロPの曲を全部聞きにいくことにした。いわゆるリスナー活動だ。自薦については何度も同じルーキーがリアクションをしていることも個人的に分かり、ボカコレだって政治のロビー活動みたいなこともするんだなと思いな

          《エンパイア》は呼吸する——『アンディ・ウォーホル・キョウト』展感想

          (約4,000字)  いつもは図書館での仕事がある日曜日。今日はキャンパス全域での電気工事の都合で臨時休館であり、久しく休みとなった。仕事がなくとも図書館に行くことも最近では増えた気がするが、今日は臨時休館だ。実のところ、大学図書館の利用証は他に2枚ほど持っており、勤務先以外の2つの大学図書館を利用する資格も持っているのだが、どうやら一方は毎週日曜日に閉館しており、もう一方は17時までの開館だそうだ。時刻は13時すぎ、せっかくの休みなのでゆっくり寝ようと思ったら、いつの間に

          透明な集合体を目指すこと——「思考実装#8」にあたって

          ※この楽曲は『無色透名祭』にて投稿されたものに再編集を加えたものです。 元リンク:https://www.nicovideo.jp/watch/so40804464  (以下、無色透名祭に際して公開した記事(2022年7月31日公開)を引用し、改稿したものである。)  2022年7月28日から31日にかけて、無色透明祭は奇しくもFUJI ROCK FESTIVAL 2022と同じタイミングでの開催となった。コーネリアスのライブ映像を見ながら、もはや常軌を逸したかのようなリ

          エンコードされないものたち——ボカロ曲とテキストの関係性について

          (約14,500字)  1.はじめに2021年4月25日にて投稿した「『言葉を扱う覚悟はあるか?』ukiyojingu+結月ゆかり(live 2021.4.22.)」で、私はこのようなことを書いていた。実体を正確に把握しているわけではないが、ここでいう「(いわゆる)意味ありげな文章」が投稿者コメント欄に一言だけ追記されていることは決して少なくないと思う。何なら、沿岸都市の動画『透明な日々』にもこうしたコメントがついてもいる。  ボカロ曲の投稿欄に投入されるこの「意味ありげ

          2022ボカスト後日譚——『相互干渉』について

          いつもはかなり長くなってしまうので、たまには短く、かつ気楽に執筆しようと思います。何より、ひと段落終わって肩の荷が下りた感覚もありますので(もちろん9月のスケジュールがたくさん決まっていますが)、今回は固い文体もやわらかめに書いてみようかと思います。 2022年のボカスト、shiranamiとともに「沿岸都市」として参加しました。まずは見に来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。ukiyojinguは初の参加で、かなりギリギリまで作業をし続けて大変なことも多かっ

          私が作ったものはどう解釈されるのか――「思考実装#7」にあたって

           夏も後半に差し掛かる中、大学の司書過程で情報資源組織の講義を受講している。朝5時半に目覚ましをセットし、9時から始まる1限の講義を受けるために朝ラッシュの電車に乗り込み、大学に向かった。早めに家を出ているので特に遅刻することなく、いつものように講義が始まったが、講義が開始して40分以上が経過してもなお、講師が講義の本題に入ってくれない。大学が貸してくれたNDCがずっしりと机に鎮座したまま、そろそろ授業の半分が経過しようとしている。私はNDCをペラペラ眺めながら、講義の本題が

          初音ミクの記憶——デジタルアーカイブはボーカロイド文化の何を残せるのか

          (約12,000字→2022/9/1更新、約15,400字) はじめに 朝ラッシュを終えた阪急電車8300系の心地よいVVVFインバータ音が、いかにも阪急電車らしい緑色のモケットとともに、まだまだ眠い私の身体に主張してくる。8月から始まった図書館司書の資格を取得するための授業に出席するため、私は毎日京都から阪急電車に乗り込み、相互直通先である大阪メトロ堺筋線の終点まで向かっている。京都市から乗り込んでいると、大阪府に入った瞬間から明らかに混雑し始め、淡路駅で自分を含む多くの

          続・少年少女は前を向いたのか――蛇を打ち倒す物語と、分析心理学的発達段階論について(仮)

          (約12,000字) はじめに この記事を公開してから最初の夏、8月15日を迎えた。司書資格を取得するために先月から司書講習を受けつつ、大学図書館で働きながら夏を過ごしている私なのだが、実は司書講習の受講先である大学も勤務先の大学図書館も8月15日はどっちも休みだ。ここ最近、平日は9時から18時ごろまで毎日司書講習のために片道2時間ほどの距離を電車に乗って通学し、土日は大学図書館で働く日々を暮らしてきたが、この生活はかなり身体に来るようで、最近は変に寝付けないどころか、とう

          消えることについて——『青春ヘラ』寄稿文への補足

          (約5,000文字) はじめに 台風の到来に伴い本日開催のコミックマーケット100は無事に開催されるか否かが不安なところもあったが、当日は朝から天気がとてもよく、ROCK IN JAPAN FESTIVALの中止をはじめとして各イベントが警戒態勢を強める中、あれは一体何だったんだろうとでも言わんばかりに空はとても青くいい天気である。個人的に台風によるイベント中止をいうといつぞやの美学会を思い出すのだが、あれは10月中旬だったこともあり、もはや秋というべきだろう。台風は夏の風

          私は果たして透明になり得たのか?——無色透名祭を終えて

           2022年7月28日から31日にかけて、無色透明祭は奇しくもFUJI ROCK FESTIVAL 2022と同じタイミングでの開催となった。コーネリアスのライブ映像を見ながら、もはや常軌を逸したかのようなリズム感と映像との一体感を感じつつ、私はこの文章を今書きながら、同時にTweetDeck上で自身がエントリーした無色透名祭楽曲をモニタリングしている。タイムラインにはエントリー楽曲全体のデータを収集し、分析しているツイートも見かけたが、それを見る感じだと、少なくとも上位10

          数学化する身体と、血液の証明——「思考実装#6」にあたって

           私はいつも、楽曲を作ってからこの文章に何を書くかを考えている。何を書くか、どれくらい長い文を書き込むかは、その都度でかなり異なっている気もする。長いときは非常に長いし、短いときはかなり短い。実装#2を公開した際には、約8,000字くらいの文字で構成されたポエトリーリーディングを前に力尽き、そもそも何も書けなかった。2021年7月の1か月間に書いていた日記をそのまま抜粋した曲を作り、映像にして公開してからもうすぐ一年にもなるのだが、あれを作った8月の日々は自身の創作の中でもか