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ごくたま日記

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ごくたまに書く日記です。
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#秋

秋陽

家の近くの公園の広場に、ひときわ大きな1本の木があります。 もう、すっかり秋めいて、その木の葉っぱも色づいていました。 風が吹くと、まるで桜の花びらが舞うように、色づいた葉っぱたちは、秋風に乗って散っていきました。 ***** 公園で遊んでいると、その大きな木の梢に、キラキラと光るものが見えました。近づいて見上げてみると、1枚の葉っぱでした。かろうじて枝にぶら下がって、落ちそうで落ちない1枚の葉っぱでした。 その葉っぱは、風が吹くたびに、くるくるくるくるとまわります

愁色

見知らぬ街に来た。都会のベッドタウン。 夕方、この街の駅前に、ポツンとたたずむパン屋に入った。 甘いパンとホットコーヒーを受け取り、2階のカフェスペースへと向かう。 階段をのぼり終えると、通りに向かって大きな窓があった。1人掛けのイスが並び、カウンター席になっていた。 そこに座ることにした。パンとコーヒーを置き、カバンを下ろし、イスに腰かけた。 コーヒーがまだ熱い。すぐに飲むのはあきらめて、香りだけを嗅いだ。 ***** なんとなく窓の外を見た。道ゆく人々が見え

秋に晴れた日の車内で

朝の通勤電車は、混雑と逆方向だから空いている。 立っている人もちらほらいるが、皆、座ろうと思えば座れる。いつも、そのくらいの混み具合だ。 今日も空いていた。僕は、ドア付近の端っこの席に座った。 最近は、せかせかと時間を惜しんで、ある本に夢中になっている。 でも、今朝は、「随分と晴れているなあ」と思って、その本は開かずに手に持ったまま、正面の大きな窓の外を見た。 ***** しばらくぼんやりと眺めた。 数日ぶりの青い空だった。 電車は、鉄橋に差し掛かると、 ガ