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ごくたま日記

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ごくたまに書く日記です。
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#この街がすき

道草の花

重いビジネスリュックを背負いながら、今日もスタスタと歩きます。 ただ、ひたすらに、まっすぐに、前だけを向いて道をゆきます。 あまりにカバンが重いので、しばしば首と肩の凝りに悩まされます。 そのまま休まずに進むと、やがて頭が痛くなります。 ***** 行く手に桜が咲いているのが見えました。 桜の木の下まで行って立ち止まり、凝り固まった首と肩のストレッチをすることにしました。 首を反らせて上を向くと、まさに桜色に染まった花々が広がっていました。 木の枝先に視線を移すと、枝

春眠

公園の自然散策路をゆっくりと歩きました。 木立の道は、ゆるやかな上り坂でした。 新緑の空気を吸い込みながら一歩一歩進みます。 木漏れ日を体いっぱいに受け止めようと、両手を広げます。 指先が、道に沿って咲き誇る薄紫のツツジにあと少しで触れるところでした。 そうやって進んでゆくと、高い木々に囲まれた小さな広場に出ました。 見上げると雲ひとつない空でした。 空の手前で風が吹いているらしく、梢がゆれていました。 広場の隅に、木のベンチがありました。 そこに腰掛けることにしまし

味わいのみかん狩り

週末、みかん狩りに行ってきました。 みかんは大好きです。よく食べます。 子どものときは、「体が黄色くなるからもう食べるのをやめなさい!」と怒られながらも、みかんをひたすら食べ続けていました。 「食べ物で遊んではいけません!」と怒られながらも、親指をみかんに刺しては遊んでいました。 ***** 今回お世話になったみかん畑は斜面になっていて、みかん狩りの受付は斜面の中腹にありました。 そのため、駐車場からは斜面を登っていく必要がありました。 歩きやすい道が整備されて

愁色

見知らぬ街に来た。都会のベッドタウン。 夕方、この街の駅前に、ポツンとたたずむパン屋に入った。 甘いパンとホットコーヒーを受け取り、2階のカフェスペースへと向かう。 階段をのぼり終えると、通りに向かって大きな窓があった。1人掛けのイスが並び、カウンター席になっていた。 そこに座ることにした。パンとコーヒーを置き、カバンを下ろし、イスに腰かけた。 コーヒーがまだ熱い。すぐに飲むのはあきらめて、香りだけを嗅いだ。 ***** なんとなく窓の外を見た。道ゆく人々が見え