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大人の男の人が怖い

 大人の男の人が怖い。
 子どもの頃からずっとそうだったけど、大人になってもやっぱり怖い。
 既に私自身が大人の男の人の風貌になっている。
 私の父が普段は寡黙で、機嫌の悪さで周りを操作するタイプの人だったことも影響している。
問題を悪化させたのは、母も先回りして忖度するタイプの人だったので、機嫌の悪い人の機嫌に操作されることは私にとって当たり前だった。
 となると、自然と私も自分の機嫌で周囲を操作しようとしてしまう。でもなんとか30代くらいでそこは自覚して、自分の機嫌は自分でとるように努力するようになった。
 加害者は被害者を生産するだけでなく、被害者を次の加害者に育ててしまう面もある。「弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく」というやつだね。

 機嫌の悪いおじさんは怖いわけだけど、私も既に周囲から怖がられる存在になった自覚がある。
 こんなはずじゃなかったとかかわいかった頃に戻りたいと言ってもどうしようもないので、少しでも場を和ませようとギャグとか言うと、「親父ギャグ」とか「ウザイ」とか言われるのだからつらい。
 もう必要悪というか、社会の中で嫌われることがおじさんの役割なんじゃないかとも思える。
 安心してみんなでヘイトを向けていい存在。
 自分より若い人に対して嫌われないように立ち回っていると、「端から見たら自分は今グルーミングをしているように見えるのではないか?」と疑問に思うこともある。

 自身の加害性を自覚し、それでも加害者になるまいと踏ん張ることで、加害者も被害者も産まないようにするしかない。
すべてをしくじらないのは無理だけど、絶えず加害者になり得る自分を想像して、そうならないように回避したい。

 せっかく怖がられる風貌になったので光のぶつかりおじさんをやることがある。
 傘の持ち方が周囲に対して危なっかしいおじさんの傘に突き刺されに行く。大抵のおじさんたちは謝って傘の先を地面に向ける持ち方に修正してくれる。おじさんは悪い人ばかりではない。

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