Duel"Math"ters ~遥か彼方、巨大への挑戦~(後編:将来の展望)

ごあいさつ

デュエマの可能性を引き出すのが生きがいになりつつあるαrufαです。
ようやっと後編を書けるに至りました。こちらは経緯とか感想とか将来の展望など、さらなるデュエマの可能性について書いていこうと思います。こちら前編中編からの続きとなっております。書いてる本人さえ読んでて頭が痛くなる長さではありますが、先に読むことをお勧めします。すっごく頑張ったので「スキ」機能とか感想コメントとかどっか1つで良いので付けてくれるとすっごく喜びます。

ことの発端と続けた理由

実のところ「最大パワー検証」は私が始めたものではありませんでした。
元々は前回記録の記事を書いていらっしゃった末法氏の発案で、氏が色んな2倍効果を探している中で、私がもっと効率の良い手法(ダイナモ増幅)を偶然持っていたのでお声がけさせていただいたという流れとなります。因みにダイナモ増幅はDMEDH及びデュエパーティをルール方向から破壊する手法を研究していた時の副産物です。人の心とか無いんか私。
最初はダイナモ効果を積み上げるだけでグーゴルプレックス(10^10^100)と殴り合う程度の大きさでしたが、私的に研究を続けていく中で本当の意味で巨大数をガチで研究している人たちと知り合うことができ、色々と学んだ結果、ネストの存在や矢印表記、チェーン表記など(もっと大きいガチ数学なものも含めて)を学ぶことができました。これはちゃんとしたものを完成させなければというのが大きなモチベーションとなって、今回の記事の執筆までこぎつけられた、というのがおおよその経緯です。

多分これが一番大きいと思います(大嘘)

今回の記事で出しました、10→10→10→10→10→10とかいうもうどう大きいのかわからないぐらい大きい数が、今のところデュエマが無限ループせずに作れる最大パワー、ということになります。
「今のところ」と言わなければいけないのは、今回採用に至らなかったカード、これから登場するカードによって大きく化ける可能性があるためです。
今回採用できなかったカードは、おおよその理由が「数が大きくならないから」ですが、それ以上に「勝手に無限ループしてしまうから」避けたカードも多くあります。これが非常に面倒でした。残念ながらこのゲームはデュエル・マスターズなので、ちょっと強いカードをそこらに放っておくと勝手にループを始めてしまうのです。
逆に言えば、そういうカードをめちゃめちゃ頑張って組み合わせて「ギリギリ無限ループしないコンボ」を作ることができれば、その瞬間に今回使ったチェーン表記ぐらいの大きさなら問答無用で消し炭にできるぐらい大きくなる可能性があります。カード名で言うなら《「正義星帝」(ライオネル.Star)》や《龍素記号 wD サイクルペディア》あたりですね。無限ループを避けてくれる「各ターンに1度」という制限は、今回のレギュレーションにおいては絶大な可能性を感じています。
ただ少しだけ数学に寄った話をするのであれば、カードゲームは「現実のカードの取り扱いで操作を行う」という制限が絶対にかかるため、究極的な強さを手に入れたとしても急増化関数f_ε0(n)クラスと同等かそれ以下になると予想しています。「ゲームとして成立するテキスト記述」の限界点が恐らくその辺かなぁと。もしΓ0とか届いたら桜の木の下に埋めても構わないよ。更新者待ってます。

本当に伝えたかったこと

さて、後編は軽めのお話で終わらせたいので、今回のデュエマ最大パワーを通して、ちょっと良いこと言って終わろうかなと思います。

すみません、文学的才能がないものでどうやって表現していいか分かりません。というよりも、私自身ふぃっしゅ数の大きさがどの程度のものなのか想像できていません。グラハム数ですら、どの程度の大きさなのか想像もつきません。

ただ、よく考えてみると、10^1000という数ですら、本当にその大きさを想像できているか?となると、実はできていないのではないでしょうか。冪上という演算を定義して、その演算を理解するにつれて、だんだん10^1000はとてつもなく大きな数だ、ということが分かった気になるだけのこと。それはつまり、10^1000の大きさを私たちの頭が認識したというよりは、冪上の
定義を理解した、というだけのことでしょう。

ふぃっしゅ数の大きさについても同じことで、定義を理解して、そういうものだと納得する以外には、説明がつかないと思うのです。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%B7%A8%E5%A4%A7%E6%95%B0

こちらの文章は、日本における巨大数分野の第一人者ともいうべき、ふぃっしゅっしゅ氏という方が残した言葉です。氏の作った「ふぃっしゅ数」という数は、今回の記録とは比べるのもおこがましいレベルにとんでもなく大きな数です。それだけの数を作れる方が、10^1000だって実際のところよくわからないじゃないか、と仰るこの言葉は、相当に重いことでしょう。
実際問題、私も今回の最大パワーの大きさを正確に理解しているとは到底言えません。やればやるほど解らなくなるのは学問が持つ共通の性質みたいなものではありますが、「大きさのイメージが付かない」という部分においては、今回初めて巨大数なんてものを見たという方とさえ大差無いように思います。
ではなんでこんなことをやるのか、やる意味はあるのか、と考えると、「この世界には自分の想像も付かない、よくわからないものがたくさんあるんだ」という認識は、新しく何かを学ぶ際にとても大事な感覚だと思います。結果として出したパワーの数字よりも、パワーを計算するために学んだことは、それ自体も応用ができますし、個人的には大変得難い経験であったなと。「わからないを楽しむ」方法を貰ったのが、個人的な一番の収穫ですね。
因みに巨大数業界は懐の広さも巨大数並みですし、中学数学からでも始められるようなものもそこそこある上に、極めると本当にすっごい大きな数を作ったり、今回みたいな応用もできる分野ですので、皆さんも気軽に入ってきてほしいなぁと思っています。「大きさ」を考えるだけなのに、果ての無い学びと楽しみがそこにはありました。
最後になりますが、とてもとても長い記事になってしまいました。着想元である最大パワー検証という分野の先達となった末法氏、初心者向け巨大数解説discordで計算手法について教えて頂いた先生方、また、合計約15000字の専門用語の塊に最後までお付き合いいただいた読者の皆々様には感謝しかありません。また何か巨大数で新しい発想が得られたり、また別な手法や角度でデュエマと計算を結び付けられる何かが見つかった際は、またお立ち寄りいただければ、筆者冥利に尽きる次第でございます。

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