こんにちは地球

(男は立っている。男の周りだけ明るいが、これが夢の中であるか浜辺であるか異次元の狭間であるかはどうでもいい。男が口火を切った。)

こんにちは

 やあ、こんにちは

具合はどうだい?

 あまりいいとは言えないね

そうかい僕もだよ。風邪をひいたのかもしれない

 ああ、最近くしゃみが止まらない

君がくしゃみをするたびに、何人も人が死ぬからね。それを我々は台風と呼んでいる。気をつけてほしい

 ああ気をつけるよ

ときに、一つ質問だが

 なんだい?

君は毎日回っているよね?

 うむ、僕はもう46億年も回り続けている

それも同じスピードで

 うむ、それがなんだ?

人類は増え続けている。本当だったら君の自転は遅くなるはずだ

 実は僕の自転は遅くなっているんだよ

そうなの?

 それもこれも全部君たちのせいなんだ。重くて重くて、でも僕は頑張って回り続けている。だから、体も暑くなるんだ

それはまあ申し訳ないね。自分でも思うんだ。身勝手すぎる、とね

 今や君たちは70億もいる。僕はずっと一人だというのに

君にだって月や火星や太陽がいるじゃないか

 よく見てみろ。あいつらは息をしていない

そうかもしれないね

 君たちは勝手なものだよね。好き勝手に僕の上で楽しんでやがる

変な気起こすなよ

 ああ、それは大丈夫だ。僕は何もしない。いやできやしない

そうか、じゃあ僕はこれまで通り好き勝手やる

 ああ、僕はただ見ているだけだから


まわりまわって、世の中が幸せになる使い方をします。