透子

心を揺らす存在たち、日々の泡。

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最近の記事

詩心と海ー工藤直子「ともだちは海のにおい」ー

はじめての詩は、海だった。 小学生のときに出会った工藤直子の「ともだちは海のにおい」は、心に直接話しかけてくるような、不思議な近さと静けさがあった。 それまで読んでいた本が、自分の外側の出来事だったのに対し、この本はなぜか自分の内側に広がっていく。読み終わっても、ずっと一緒にいたくなる本だった。親にお願いして買ってもらったときは、それこそ大切なともだちと一緒に暮らせるようでとても嬉しかった。 同じころ、NHK教育テレビ番組「おはなしのくに」で本作が放送されていた。(検索す

    • 詩の手ごたえ ーマーサ・ナカムラ「雨をよぶ灯台」ー

      かなり長い間、詩だけは分からんと思っていた。合いそうで合わないピントに諦めがつかず、引越しで大量の本を手放すと手元に残るのは結局詩だった。分からないなりに、詩のもつ静けさが心地よくて好きだった。でも、今ひとつ自信がない。 そんな中途半端なわたしがようやく「不味い!もう一杯!」と叫べたのが、マーサ・ナカムラの「雨をよぶ灯台」だ。 どの作品を読んでも、同期している体感があった。 同時に、文字から伝わるはずの意味は端からズレて崩れ去り、こちらの全身にありもしない妙な像を照らしだ

    詩心と海ー工藤直子「ともだちは海のにおい」ー

    • 詩の手ごたえ ーマーサ・ナカムラ「雨をよぶ灯台」ー