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AI画像祭(第2回AI画像コンテスト)で気になったこと

AI画像祭(第2回AI画像コンテスト)について、気になった点を挙げてみます。
※この記事は以前Xに投稿した内容に加筆・修正したものです

【1】参加画像への投票が初日からの積算制であること

AI画像祭は3月4日から16日まで画像の投稿募集期間がありますが、投票は4日から可能で、投票数は初日の4日から積算されていく仕組みになっています。

第1回もこの仕組みだったのか私は知りませんが(参加された方の話では、第1回も同じ方法だったようです)、これだと初日に投稿した人がもっとも有利な扱いとなり、プロンプト等にこだわって最終日近くに投稿した人ほど不利になります。

募集期間と投票期間を分けて全員の参加が完了した後で投票を可能にしないと、「マラソン大会開催中!ただし先頭集団は10日以上前にスタート済み!」というのと同じ状況になってしまいますよね。

この仕組みで、はたして最終日に投稿した人が巻き返して入賞することはできるのでしょうか。

募集期間が後半になるほど参加を検討している人の熱も冷めていくおかしな事態にも陥りやすく、2週間近く募集期間を設けている意味も微妙になりそうです。

また、AI画像祭のサイトに表示されるランキングは開始日からの積算で順位表示されるので、初日に上位に入った作品がずっと目立つ位置に展示されていることになり、その面でもあとから参加する人が人の目に付きにくい(より差が開きやすい)仕組みになっていると感じました。

SNS上では「そういうルールなのだから、ルールに納得した者だけが参加すればよい」「いやなら参加しなければいい」という意見もありました。それは仰るとおりかもしれませんが、「入賞を逃したのは、初日に参加することができなかったからでは……」といった感想を、入賞を果たせなかった大多数の人が抱いてしまう(可能性がある)のは、イベントの仕組みとしてもったいないのではないかなと思いました。

【2】SNSでの投票呼びかけが促されること

AI画像祭のフォームから画像を投稿すると「Xで投票を呼びかけよう!」といったメッセージが現れます。

このコンテストのコピーでは「AI画像のクオリティを競う」と謳われていますが、画像を投稿した人に対してSNSでの拡散を促すと、競うのはAI画像のクオリティではなくSNSのフォロワーさんやファンの数の多さ、つまり人気投票に大きく傾きます。

特に【1】の投票期間の積算制とSNS投票呼びかけとの組み合わせがよくないのでは、と感じました。

初日に参加した人は2週間近くにわたってフォロワーさんに投票を呼びかけることができますが、締め切り間際に参加した人は何もできず、1票も入らずに終わってしまう人もいるでしょう。

フォロワーさんの数も実力のうちという考え方もあるかもしれませんし、イベントを企画・運営する側の人からすれば、イベントのことをより多くの人に知ってもらいたい、拡散して盛況にしたい、という思惑があるのだとは思います。ですが、それならAI画像祭のコピーは「AI画像のクオリティを競う」ではなく「人気のAI画像がみんなの投票で決まる!」とするほうが違和感なさそうです。

また、積算制と投票制が組み合わさると、他者に気を使ってSNSで呼びかけることを遠慮してしまう心理も生まれやすいことから、最大限の拡散効果は望みにくいです。SNSでの投稿呼びかけで拡散を促すのであれば、やはり参加作品に対する投票期間は平等になるよう設定するのがベターなのでは、と思えます。

【3】生成AIの機能使用の可否(どこまでOK?)

この点は、もしかすると第1回のAI画像コンテストから参加要件の内容が変わっていないことが理由かもしれませんが(前述のとおり、私は第1回のことはよく知らないので間違っているかもしれませんが)、ここ1年少々で生成AIの機能は大きく広がったのに対して、AI画像祭では参加要件が1年以上前の機能を前提としているためか、かなりザックリで曖昧です。そのため「はたしてこの生成方法は参加する要件を満たしているのか?」がかなり判断しにくいと感じました。

特に「加筆・修正は不可」という点が、いわゆるプロンプトで生成したポン出しのみ投稿可能という意味なのか、それとも、それぞれの画像生成AIで用意されている機能を用いた修正までは許されるという意味なのか、一見してわかりにくかったです(というか、結局どっちだったんですか?)。

AI画像祭はコンテストに参加する際、画像と合わせて生成プロンプトも投稿しなければならない仕組みになっていることから、そのプロンプトで再現できない範囲の加筆や修正は不可という意味にもとれます。

一方で、AI画像祭の参加要件にi2iを使う場合の注意書きがあるということは、たとえば手指がおかしい画像が生成されたときにi2iを用いて正しい手指が出るようインペイントで生成し直すのは、有りだったのでしょうか。たとえばniji・journey部門では、Vary(Region)を使って補正をしてもよかったのでしょうか。

AI画像祭はNovelAI部門やniji・journey部門など、使用する生成AIで区分して参加を募る方式であったことから、「Vibe Transferは使用可(あるいは不可)」とか「Style Referencesは使用可(あるいは不可)」など、それぞれの生成AIが用意している機能について具体的に可・不可の要件をある程度は提示してくれるほうが、どの機能まで使ってよいのか判断しやすく参加も容易だったのではと思いました。

※あとそもそもAI画像祭では上位入賞が何位までなのかとか、授与される賞金・賞品が何なのかについても、主催者側のどの情報を見るのかによって内容がまちまちな点も気になりましたが、ここでは省略します。

【4】賞金・賞品の設定と投票制による混乱

賞金が高く設定されていたためか、特にNovelAI部門で顕著に感じましたが、AI画像祭の投票では短時間で多数の得票を得て動きが止まり、下位の画像に追い抜かされそうになるとまた急に短時間で多数の得票が入るといった、妙な動きをする投稿作品が上位にありました。

結局それらの投稿画像は入賞扱いにはならなかったようなので、最終的には不正投票という判断が下されたのかもしれません。この辺は今回のコンテストが高額賞金と投票制の組み合わせによって、不正を招きやすい構造になってしまったのかなと。

積算の投票数で入賞者が決まる、というのは一見簡単なルールにも見えますが、賞金・賞品が設定されていることによる不正行為が混ざってくると、運営者側の手間が増えてしまうデメリットも生じますよね。

そして、運営者の側で「これは不正」と判断されてランキング上位の作品がいくつも入賞から除外されてしまうと、参加者側からは何を持って不正とされたかがブラックボックスになってしまうので、巻き添えを食って自分の投稿作も排除されてしまうのではという不安も生まれやすくなります。

生成AIの会社が協賛として入るなら、それぞれ「審査員賞」などの別枠を設ける、というよりも審査員賞を本筋として賞金を出すならそちらにして、投票枠は副次的な扱いにする(あるいは入賞者に対する賞品を、その生成AIを○ヶ月分使える権利とかにする)ほうが、【1】や【2】の仕組みをとることによる弊害は減るのではないかなと思いました。

【5】AI画像祭で展示される作品の扱いについて

私は実際に渋谷ストリームに赴いて上位入賞や特別賞の作品を見たわけではなく、現地に行かれた方の写真をSNSで拝見しただけですが、そこから感じ取れたのは、AIという新しい技術やその発展については興味があっても、自分や他者から生み出される物に対して愛情、愛着というものをあまり感じない人たちが運営しているのかな……ということでした。

AI画像祭の主催者の方々はもしかするとこのコンテストはおまけの扱い(場賑わせ的)に開催していて、主とするイベントは別にあったのかもしれませんが、入賞して掲示されている画やその下の生成者の名前などが記載されている紙が折れ曲がっていたりズレていたりすると、「コンテストやったんで、とりあえず展示してます」的なやっつけの雰囲気が強まります。

わかります。限られた時間であれだけのイベントを捌いて、かなりの数を展示していくのは非常に手間がかかりますし、それに携わるスタッフさんも大変だったのだろうな、というのも。ある方向での熱意もあったのだろうな、というのも。SNSでは「主催者さんは一生懸命やっているんだ、イベントを企画・実施してくれるだけでもありがたいと思え」といった意見もありました。

ただ、AI画像祭の会場からSNSに流れてくる展示画像や名前の用紙は折れていたり曲がっていたりするものが多いので(展示の数を増やしたい意図かとは思いますが、床に直置きもあったようなので……)、少なくとも私は「せっかく入賞した人も、なんだか適当な扱いを受けているなぁ」という感想を抱かざるをえませんでした

画像は実際の会場ではなく、SNSで流れてきた展示を見たときの驚きを生成AIでイメージ化したものです

SNSで知っている方も多数参加されていたので、せめて、生成者の名前や作品名の掲載されている紙はボードに貼る……までは難しくとも、ラミネートくらいはかけてあげて欲しかったな。

※同じような話題をまとめている方がいらっしゃいました。


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