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未来


物語は二人の少女の待ち合わせのシーンから。誰だろうか?という疑問。バスに乗り込む2人、1人が眠りにつくと、もう一方は手紙を読み始める。それは彼女が小学校四年生の時に、二十年後の自分から受け取った【未来からの手紙】だった。そんな手紙に対して返事をするのと平行して人生を歩んでいく。

フィクションでありながら、リアルに、登場人物それぞれに物語を描くことで虐待や貧困などと言った社会問題に対する筆者の姿勢や考えを表していた、あたかもノンフィクションであるかのように、、、一人一人の体験は非日常であるのだが、集まる場所は一つの教室。違和感なく日常的な内容に感じたのはここがかなり決め手だったと思う。

そんな一人一人の境遇は切ないのもそうだけれど、胸が痛いというか、嗚咽を抱くような。信じられないような描写なのだけれど、世の中には以外と存在していて。読み進めていくことでイメージができてしまう自分が怖いというか。すごく言葉に表現するのが難しい体験をした。

人が魅力的に思うものとか、興味を持つものとかってやはりそれぞれの共通項なんだろうか。少なくともこの本ではそう言った関係の人たちが繋がっていったと思う。それも不自然に。

自分一人では社会問題に対して取り組めることには限りがある。こういった類の本を描くことで、影響を受けた人たちが行動を起こし、社会の壁にヒビをいれていく。という筆者のメッセージ。

『言葉には人をなぐさめる力がある。心を強くする力がある。勇気を与える力がある。いやし、はげまし、愛を伝える事もできる。だけど、口から出た言葉は目に見えない。すぐに消えてしまう。耳のおくに、頭のしんに、焼きつけておきたい言葉でさえも、時がすぎればあいまいなすがたに変わり果ててしまう』

『疑う事で、楽しいゆめが一つ消えてしまう』
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