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"choir"voice.1「あんど、そうおん」

"choir"voice.1「あんど、そうおん」
act:小島基成 / No Fun / 内藤重人

2022年5月10日。
12年ぶり、干支ひとまわりしてVOXhallにブッキングのひととして帰ってきました。
"choir"=「クワイヤ(合唱)」という意味で、
これは自分の名前"chori"のアナグラムだけれど、
VOX時代も「ブッキングとは上質な出会いの物語である」と、
まだ最初は23歳になったばかりの青二才はえらそうに謳っていた、
その初心をとてもおもいだしました。

「and so on」は英語で「など、それから」みたいなニュアンスで、
そのものに特に意味があるわけじゃないけれど、
そういった接続詞や間投詞めいた空気と、
「安堵と騒音が刹那に入れ替わりつつ共存する3組」とおもったので。
ぼくは、たとえばバラードだからハンカチを取り出すとか、
パンキッシュだからぴょんぴょんするとか、
別にそういうのは、したいひとはしたらいいけど、
それがすべてじゃなかろう、とおもっています。
寸評を。

◆小島基成
もっちゃんおかえり!!がまずあった。
30分のなかでほぼ半分近くMCに費やした(曲は4編)のは、
彼を学生時代からそれこそ干支ひとまわり以上見続けてきて、
血よりも濃い水でつながってる弟として、
身内びいきではなく、ほんとうに、誇りにおもったよ。
彼はぱっと見ガンガン大阪弁で声もでかいけど、
詩においては非常に感性が繊細で、そこらへんが30代になって、
キャリアや年齢、環境ももちろんあるだろうけど、落としどころがいまとてもいい血のにおいがする。
胸を張って言える。関西で小島基成を観たらちょびっと、人生とまでは言わないけど、
日常の色彩がすこし変わるとおもいます。

◆No Fun
付オペ金澤くん込で9人編成、ドラムやパーカッション、
鍵盤や管楽器、もうフルコース×3回くらいだけど、エモい。
エモさにもいろいろあって、目的や手段、でも、きょうの彼らは、
真正面からまっとうに感性がびりびりしてて、やばかった(詩人の語彙旅に出る)。
自分もいま(板の上は最大6人とはいえ)大人数のバンドをやっていて、
たのしさもむずかしさも実感すごいある(そういえばなぜかきょうメンバー/スタッフ、おれ込3人来たな……)
はっきりいって「諸君、脱帽せよ」って、
シューマンがショパンを評したくらい、パネエとおもいました。
音楽性がぜんっぜんちがうけど、little phraseとか、Nabowaとか、
そっち系とやってぜんぜん互する以上のかんじがする。
とにかくただエモさに甘えない、委ねないところが最高だった。
あと、No Funだけ照明オペってくれたトクラがマジGJすぎた。

◆内藤重人
ふつう、「ツアー組はトリ前」みたいなのは地方問わずひとつの定跡だったけど、
きょうは物語というか、脈絡としてこの流れでいきたいとおもって、トリとってもらいました。
3組が「オケ使ってのポエトリー」「(詩的濃度ちょう濃い)大人数バンド」「(詩的濃度ちょう濃い)(nordでなくCPだけど)鍵盤弾き語り」っていう、
それがほんとうにハマったなという印象。
重人さんのことば運び、ことば遣いは、あくまでぼくの受け取り方だけど、
”誰も選ばない”のに、ふっと誰かのかたわらに、はらからではなくとも静かに座っている。
ひらがなに、カタカナに、あなたがたに。
「すごいたのしかったです!」って帰ってったお客さんのその笑い顔に。
あたたまった。あたまやからだや、まだ見ぬあしたを。
京都駅から河原町までいって鴨川で寝転んで、そこから、
今出川室町まで歩く不惑てすごい。
重人さん、また次回決まりましたのでぜひおたのしみに!!!

※なるべく自分のブッキング日の感想は書こうとおもいますが、
常にできるかは確約できないので、そこはご海容くださいー。

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