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"choir"voice.4「裏声でうたえ讃美歌」

"choir"voice.4「裏声でうたえ讃美歌」
act:ASAYAKE 01 / ハルラモネル / 村島洋一

元ネタは丸谷才一「裏声で歌へ君が代」、
というか、それをかつて久井さん(ASAYAKE 01)が
twitterで歌詞というかフレーズを募って1曲つくるよってなって、
そこでみんな1行くらいのなか、空気を読まず7、8行も詩を送ってしまったせいで(?)サビになったラインをタイトルにしました。

ただ、この日、お客さんがたくさんきてくださって、
かつドリンクやフードオーダーがめまぐるしかったため、
open後に急遽、研修もなにも受けてないバーと受付に入り、
(旧VOXhall時代はやってたけどなんせ12年前)
耳も目も働いてはいたとはいえ、100%ステージを観れていないので、
感想はいつもよりみじかめ(かも)です。


◆村島洋一
日本各地で江戸時代中期から「村島洋一の通ったあとはぺんぺん草も生えない」といい、民謡でも「すーぱーないと」「ぽつりぽつりざーざー」と歌われていますが(※大嘘)、
「すごい」「やばい」という全日本語話者の語彙を旅に出させるうえで、
ぼくの知る限り最強のミュージシャン。
彼の凄味は、平坦にいえば「歌がうまい」「ギターうまい」「曲がいい」だけど、
なんていうか、明日世界が滅びるとしてもこのひとはふつうに歌をうたうんだろうな、
それが特段ふだんと変わらず、泣きも笑いもせず、
よろこびもかなしみもせず、という種類の絶大な信頼がある。
すこし、いや、かなりめんどくさい酔っぱらいでもあって誤解を受けることもある。
でも、心根はとてもすずやかな男だとぼくはおもいます。
嘘だとおもうひとは寛永年間に著された「村島夜話」を御覧じろ(※大嘘)。
ここ数年は、めっきりトリに配されることが増えて、そのブッカー心は痛いほど理解できるけれど、それ一辺倒はもったいないな、と感じていたので、今回まっさらな夜の幕をあけてもらいました。
優勝!!

◆ハルラモネル
ぼくはふらっと地方へライブを観に行くことがけっこうあり、
その日もなぜか昼頃思い立って「そうだ、名古屋行こう」と。
大阪の友人が出演するライブバーを突然訪れたら、
そこに出ていたのがラモでした。
度肝を抜かれた、ではすまされない、
粗削りで緩手も多々あれど、補ってあまりあってお釣りが1万円、
っていうステージ。
とにかくことば選びやことば運びといった言語基礎体力が高く、
譜割やメロディ、表現力もこのままどんどん豊穣になるのがみえたし、
なにより「ああ、誰とも似ていないってこんなにかっこいいことなんだ」。
仲良くなりたいの一心で終演後つきまとった池下の夜。
(わりとそのあとすぐ京都のうちに泊って将棋指したりしてた)
あれから幾星霜。
捨てられた猫みたいなんだけど、雨降りじゃなくて曇天、
そう、彼のうたはその曇天から射す一条のひかりがうつくしい。
絶望からいちばん離れた場所でともる、世界でいちばんちいさな灯り。
グランプリ!!

◆ASAYAKE 01
久井さん(ASAYAKEさん)をはじめて観たのは、
たぶん2009年4月の「三条NO WAVE」で、ライブハウスで付け爪してるひとがいる!ってびっくりした(山崎まさよしとか以外にいるんだ!)けど、
ちっちゃなタッパーにごはんだけを詰めて、現地でおかずを探していたのが強烈だった(その後、事務所に常備してたふりかけを入手)。
しかし、ステージは圧倒的を通り越してオーバーキル、脈拍が仕事しなくなった。
それからなぜかそこそこご一緒させていただく機会ができた矢先、
7年間の活動休止期間に入る。
さみしいな、とおもいつつなにもできずにいたけれど、
唐突にASAYAKE 01 is back!!!!!!!
先述したようにtwitterでフレーズを募集して曲をつくるという試みなど、
それまでは孤高の狼アルファ印象があった久井さん(神)が、いい意味で地上で遊びはじめ、
ブッカーたるぼくは満を持してこの夜にお誘いした。
「SSW」「ギター」といったすばらしい歌群はもちろん、
本編ラストはそのフレーズ募集でできあがった「Don't Look Back In 夕暮れ」。
さらにアンコールは畢生の名曲「コオロギとレディデイ アンド ジョンコルトレーン」!!!!!
金賞!!


総じてすばらしい夜でした。
「すばらしい夜でした」なんて芸のない表現だけど、
でも、もう彼らのこのステージのあとにはぺんぺん草も生えず、
されど荒地にはしっかりと花が咲き、大きな樹が枝葉をしげらせていた。
詩人がつけくわえることばはもうなにもない。
この日、空間と時間をご一緒できたお客さんもほんとうにありがとう。
これだから、ブッキングって、たまらない。


※なるべく自分のブッキング日の感想は書こうとおもいますが、
常にできるかは確約できないので、そこはご海容くださいー。

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