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イギリスで列車に乗る 列車の遅延編

前回は時刻表について扱いましたが、レア行先のリストがWikiにあったので前回の記事にリンクを追記しました。正直、それを知ったところで役に立つことはないのですが。
今回は列車の遅延について扱いたいと思います。日本でも列車の遅延はありますがが、イギリスでも列車が時刻表通り来ないことはやはりあります。また列車がキャンセル(運休)になることもよくあります。


遅延や運休のときの払い戻しと補償

もちろん、遅延や運休なら変更や払い戻しをしてもらえますが、切符の種類や鉄道会社により条件が多少違います。日本でいう遅延証明書みたいなものはないので、遅延を後でクレームするためには自分で記録しておくしかありません。

切符の種類により払い戻しのルールは違います。割引がある切符の場合は、切符の変更可だが、払い戻しは不可のタイプの切符もあります。またそのときの手数料も変化します。払い戻しや切符の変更の詳細については鉄道会社によりますので、各鉄道運行会社にお問い合わせください。

RefundとRepayの違い

私の英語力では、どのくらいこの2つの単語のもともとの英語の意味が違うのは説明できないのですが、UKの鉄道の世界ではRefundは(運休で列車に乗れなかったとき)切符の払い戻し、Repayは遅れたが目的地まで行けたが、遅延の程度(遅れた時間)により運賃の一部または全部を返金することをいいます。

以前は遅延をした場合の補償をしてもらうためには、個別に鉄道会社にレターを書いて、その内容に鉄道会社が納得したら補償をするという大変に面倒なものであまりやる人がいませんでした。(ちなみにイギリスでは返金などのため正式に文句をつけるときは、お約束のフォーマットでレターを書きます。私も大家さんとか、各役所などにたくさん書きました。)
Department for Transport (DfT)、日本でいう国土交通省のようなところが、列車が遅延したら乗客からの簡単な申告でスピーディーに返金をする仕組みを鉄道会社に導入させました。これはDelay Repayです。

15分以上の遅延で一部返金され始めて、片道なら1時間で全額まで返金されます。
政府のガイドラインでは以下のような返金率です。

  • 25% of the single fare for delays of 15 to 29 minutes

  • 50% of the single fare for delays of 30 to 59 minutes

  • 100% of the single fare for delays of 60 minutes or more

  • 100% of the return fare for delays of 2 hours or more

ちなみに返金にあたっては自分の銀行口座を鉄道会社に伝えるのですが(クレジットカードで購入したらカード会社から返金されますが)、鉄道会社によっては返金先は自分の口座以外にも、自殺防止の活動団体のチャリティに寄付という選択肢があるものがあります。こういう発想は日本では思いつかないですね。

遅延や運休の理由

これは、本当にたくさんあるのですが、気象条件とか信号故障とか、動物との衝突などは日本にもありますね。人身事故は日本と比較すると少ないと思いますがやはりあります。それよりTrepass、日本でいう線路内への公衆の不法立ち入りが多いです。
以下のリンクには列車の遅延についてのいろいろな理由が挙げられています。

日本ではあまり聞かない理由を拾ってみます。

Leaves on the line (線路上の落葉)
落ち葉が線路の上に落ちて列車が走れなくなってしまうものです。落ち葉でスリップするのと、一部の第3軌条集電の場合は落ち葉で集電ができなくなってしまうというものです。
秋になると落ち葉クリーニング車両(Leaf-busting trains)が走ります。これは水のタンクを積んだ列車でレールに勢いよく水をかけて葉っぱを落とします。秋の落葉シーズンではクリーニングのため、ダイヤ自体が特別ダイヤになることもあるとか。

Cable Theft (ケーブルどろぼう)
信号ケーブルなどを切って盗んでいく不届き者がいます。特にスクラップ価格が高くなると現れます。もし不審者を見かけたらBritish transport police (日本でいう鉄道警察隊のようなもの)に連絡してくださいとのことです。

Vandalism(破壊、いたずら)
これは非行少年(少女?)が多いようですが鉄道施設に侵入していたずらするものです。いたずらしなくても、線路内に立ち入るだけでも違法ですし、線路から出たことを確認するまで列車が止まってしまいます。

Crew shotage (乗務員不足)
これも不思議な理由ですが、乗務員がいないので運休しますというのがかなりの確率であります。特に夜間や休日は多いです。
一つは遅れなどが発生すると労働時間の規制が厳格で、1日に乗務できる時間を超えてしまい、代わりの乗務員も手配できず運休というケースです。
もう一つは、これは本当なのかわからないのですが聞いたところによると日曜日は法律上休みになっており自主的に休日出勤で乗務に手を挙げてもらわないとそもそも乗務員の数が足りないらしいです。

コラム Delayは単数形それとも複数形

DelayはDelaysと複数形で書かれることがあり、しばらくは理由が分からなかったのですが、なるほどKnock-on delaysの発生、つまり、ある列車が遅れるとそれにより別の列車が遅れることになり、玉突き的に次々と遅れが生じるわけです。最初は1列車の遅れですが、こういう状況になると遅れる列車は1つではなく複数あるのでDelaysと複数形を使っているのですね。複数形を使うときには理由があるのが英語らしいですね。

ちなみにイギリスの時刻表は発車時刻を記載しており、ドアを閉めるのはそれより40秒くらい前というルールになっています。ですから時刻表に記載の時間より1分早くホームで乗るつもりでないと、ドアを閉められてしまいますのでお気をつけください。(ちなみにイギリスの長距離バスは10分くらい前からバス停で待っていないと、先に行ってしまうことがあります。)