赤津で小皿を買いました。
瀬戸には「赤津」「品野」「水野」という三つの窯元の里があります。先月「海の日」の休日に小皿を求めて「赤津」まで足を伸ばしました。どの地区に行くにも、我が家から車で15分ほどという手軽さは、瀬戸の魅力の一つです。
以前夫が「窯垣の小径」を平日に訪れた時に「資料館」も多くのお店も閉まっていたので、今回はあえて休日を選んだのですが、なんとどのお店も軒並みシャッターを下ろしていました。地元の方に聞いたところ、近辺の窯元は週末はお休みとのこと。
それでも諦めきれずに車を止めて歩き回った結果、「Kasen Pottery」という英語の看板が目に飛び込んできました。棚には所狭しとモダンなお皿やお茶碗が並べられています。諦めて帰らなくてよかった。ただお店には人の姿がありません。
隣の建物から英語での話し声が聞こえたので、のぞいてみると玄関に乱雑に置かれた靴が。海外から来た観光客のためのワークショップでも開いているのかと思い待つこと数分、自らも陶芸家で週に数回お店でお手伝いされている女性が奥から出てきて注文に対応してくださいました。
今回数ある食器の中で一際目を引かれたのは、3羽の千鳥が飛んでいる織部の小皿と、黒織部の籠目模様の小皿。(籠目とは竹などで編まれた籠の網目に由来しており、邪気を払う縁起柄だそうです。)迷わず両方とも4枚づつ購入しました。
「工房も見て行かれますか」という窯元の当主のお誘いを受け別棟に。そこでは先ほど聞こえた声の主であろう海外の研修生たちが4名、それぞれの作品づくりに真剣に取り組んでおられました。皆さん母国ではプロの陶芸家で、2階のアパートに住み込みで滞在し、腕を磨いているとのことでした。
奥の部屋では近々ブルックリンのお茶屋さんに出荷されるという特注の抹茶茶碗を見せていただきました。茶碗には注ぎ口がついており、同時に複数分点ててカップやグラスに注ぎ分けることができるようです。日本では邪道と言われるかもしれないけど、海外で抹茶文化を広めるには必要な工夫なのかもしれません。今や抹茶は世界中で大ブーム。特にNYではお茶の専門店も増えているようで、抹茶茶碗を買い求める人も多くなってきていると聞きました。
近年、国内の陶磁器の需要が減り、陶芸家も仕事を掛け持ちしないと食べていけない時代に。一方海外の日本食ブームの影響で、海外進出をする窯元も増えてきているそうです。私も来月、観光でNYを訪れる予定ですが、街の日本茶専門店で瀬戸の器に出会えることを楽しみにしています。
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