見出し画像

ラジオで抱腹絶倒を思い出す

夕方。七草粥を食べたあと、テレビをつけると首相が緊急事態宣言再発令の記者会見をしていた。

内容を聞く限り、前回ほどなにもかもを自粛させるわけではないらしい。元々家で仕事することがほとんどで、年末には親しい友達と過ごすことができて十分満足していたので、予定がキャンセルになった、ぴえん。ということもない。「まあ、普通に暮らしていればいいのか」となった。

きっと多くの人が、去年の緊急事態宣言と今回は心持ちが違うと感じているだろう。今は対策方法がわかっているし、新しい生活様式も身についている。前回あったような、未曾有の出来事に対する恐怖感はない。

なので私も昨日から、「今回は前回と違った心持ちで過ごそう」と考えていた。

フリーランスになってから気づいたのだが、私はひとりでいる時間が圧倒的に長いにもかかわらず、独り言がとても少ない。頭の中にたくさんの言葉が溢れているのだが、口からはふぅとか、うーんくらいしか出てこない。毎日キーボードを叩いて何千字、何万字も生み出しているのに、発話することがほとんどない。

ついでに言うと、発話しないだけでなく、笑うことも少ない。以前ボイストレーニング教室に通っていた時も、トレーナーから表情筋が全く動いていなけど大丈夫? と言われたことすらある。

普段から引きこもり状態で日光に当たらず日常を過ごしていると、セロトニンが分泌されないのか、同居する家族にちょっと喋りかけられることすら神経質に反応してしまう。いつのまにか神経が尖り、他人へキツく当たる人間になっていた。引きこもりと言っても、いちおう月の1/3くらいは仕事相手や友人と喋る機会がある。その時は饒舌に喋るし、楽しいのでたくさん笑う。

いつの間にか自分の中で、喋らず笑わずモードとにこにこ喋るモードの二極化が進んでいたのが、特にどうすることもなく2021年を迎えていた。

今回変えたいのはここである。

というのも、初詣で引いたおみくじに、
「にが虫をかみつぶした様な顔、とがった声、それがどれほど自分の心を暗くし、家庭をくらくし、世間をくらくすることか」と書いてあったからだ。

図星すぎてどの言葉よりグサッときた。だから「つとめてもにこにこと笑いましょう」と。そうする事で、笑う門に福が来るそうだ。

そこで、普段は聴くのを控えているラジオを聴こうと、Spotifyのアプリを開いた。

選んだのは、ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」。実はそれ以前のエピソードも聴いていたのだが、その時は仕事のためというのもあり、あまり入り込めていなかった。

でも、スーミカコンビなら笑わせてくれるはず。そう信じて、今日は書く作業も少ないし、普通に楽しんで聴こうとEp. 12あたりから聴き始めた。

リスナーから送られてくる、赤裸々な近況。スーミカの軽妙な掛け合い。VIOの実情。煉獄さんがとある画家の描く猫に似ている話......。

おばさんを自認する人たちのドーンと来いなフィールドに入った瞬間、腹の底から笑い声が出た。正直聴いたことのない声に自分でも驚いた。おならかと思った。こんな大笑い、今までもしていたのかもしれないけれど、初めてのような気もする。まさにおばさんの大笑い。
おばさんの仲間に入ると、こんなにも軽やかで楽しいのか。

そこからずっと、スーミカの掛け合いを聴きながら笑い続けていた。
そして夕方。家族と食事をしながら、いつもよりも喋り、にこにこと笑う自分がいた。福よこい。


よろしければサポートお願いします!いつか紙の本も作りたいです