見出し画像

金塊珠礫、貴族な一日

元旦は外に出かけず、家でのんびりと過ごす。
ここ数年すっかりテレビを見なくなったので、友人からオススメされたNetflixのドラマ「ブリジャートン家」を観ていたのだが、すっかりハマってしまった。

このドラマは19世紀初頭のロンドンが舞台。キャラクター設定に関してはファンタジー要素が強いものの、華やかな衣装とセット、ゴシップ新聞に振り回される貴族たちの人間模様が非常によく描かれていて、一瞬でひき込まれるドラマである。

やはり貴族コンテンツは強い。ぜいたくを尽くした衣装を身にまとい、ガチガチの階級やしきたりに縛られながらも、そのなかで自分の幸せを求めようとする登場人物たち。些細な出来事とタイミングの重なりが大事につながる世界。面白くないわけがない。

本音や弱音を隠しながらしたたかに生きるその姿は、優雅であり滑稽でもある。ついつい1話から最終話まで一気に見てしまったが、8時間も貴族の暮らしぶりを見ていたせいで、うっかり貴族モードが発動してしまった。

これはつまり、宝塚を見ていると「やあ」とか「ごきげんよう」とか言い初めてしまうのと同じ感じだ。ひとり貴族ごっこである。

正直言うと、今日は中国の田舎服のような地味な格好をしていたのだが、心は誇り高き貴族になっていた。

本と服だらけの部屋も、天蓋付きベットのあるプライベートルームに変換される。私だったらこんな装いをするだろうと妄想し、華やかな衣装を自分も着ているつもりで品のある立ち居振る舞いをしてみる。

新婚の弟夫婦と夕食を共にしたが、ドラマで貴族の結婚が描かれているおかげで、貴族モードがより加速してしまった。食事をしながらも、口を開けば遠回しで嫌味ったらしい言い回しとお節介......。

こうなると歯止めが効かない。食後は毎年恒例の麻雀をしたが、それも夫人たちだけが集まる夜会のゲームということになる。貴族はスマホを見ない。そのせいか、いつもより集中力が続き、最終的に久々の勝利を手に入れた。

嬉しいことである。今年はいい年になりそうだ。


【金塊珠礫】きんかいしゅれき
三省堂の新明快四字熟語辞典【第二版】によると、「ぜいたくの限りを尽くすたとえ」という意味。

よろしければサポートお願いします!いつか紙の本も作りたいです